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自己責任論の蔓延が日本のブラック企業問題を悪化させている? 自己責任論を唱える人ほど責任を放棄している


 奴隷が逃げるのは黒人の気質の問題 ブラック企業を辞める奴も根性の問題?で、過労死事件の問題を会社側でなく、社員側に持ってくるというのは「自己責任論」の一種みたいなものか?と書きました。

 で、この「自己責任論」と「ブラック企業」で検索かけると、かなりたくさん出てきました。結構指摘されている視点なのかもしれませんね。(2017/3/6)

 あと、自己責任論に近い批判の例がありましたので、最後に追加しています。(2017/05/14)


●自己責任論の蔓延が日本のブラック企業問題を悪化させている?

2017/3/6:とりあえず、Wikipediaのブラック企業の項目に、自己責任という言葉が出ていました。
ブラック企業 - Wikipedia(最終更新 2016年12月20日 (火) 11:30 )

 激務で長時間労働・過重な責任

・過労や心身の不調、労働災害に対し自己責任論を持ち出す。従業員に非現実的な身体能力(絶対に疲れない、眠くならない、人体に有害な環境でも平気、泥酔しても安全運転etc)を求め、全ては従業員の能力不足に起因するというスタンスを貫く。

(中略)

 長時間労働

・「残業なし」

 ・「残業手当がない」という意味。タイムカードで残業の記録を途中まで付けてそれ以降も残業を継続させたり、本人の「意思」で残業すると帳簿に書かせたりする。自己責任の名目の下「無給」で残業させることを指す(拒否すれば解雇をちらつかせる)。

●働けない奴は振り落とせ!「勤労イデオロギー」と自己責任論

 また、以下の対談では、自己責任という言葉が出まくっていました。
声に出して言いにくい「日本の大問題」第2回 藻谷浩介×湯浅誠 人口減少社会 日本人が「絶滅危惧種」になる日 地方が消滅し、都会は認知症の老人ばかり(週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(4/6) 2014.2.21

湯浅 日本にはもの凄く強い「勤労イデオロギー」があるからでしょう。「働かざるもの食うべからず」の精神です。現役世代が多い時代はそれで良かったかもしれませんが、今の日本には働ける人が2人に1人しかいない。

 高齢者や障害者に対してはいたわりの精神があり、介護離職者にもそれなりの理解があるけど、そうではない現役世代で仕事がない人間や妻子を養えていない人には「人間失格」という烙印を押してしまう。こういう考えの人は年配の富裕層に多くて「私たちは戦後の酷い状態でも子供を生んで子育てをした」という自負心がある。

藻谷 だから頑張りなさいと。しかし彼らもこれから必然的に年金も減るし、介護も受けられないという問題に直面する。現実を目の当たりにすれば、勤労イデオロギーが通じないことは、わかってくれるんじゃないでしょうか?

湯浅 いや、それは難しいと思いますね。なぜなら、彼らは必死に働いて、戦後の貧しい時代を生きぬいてきた。勤労イデオロギーを否定することは、自分の人生を否定することになるからです。今後10年間で団塊の世代が後期高齢者になって、要介護者が激増し、そのために介護保険や年金が崩壊しても、彼らはそのリスクを受け入れる覚悟はあると考えている。

藻谷 そこで出てくるのが、自己責任論ですね。

湯浅 はい。自己責任論は、働けないということも含め、うまくいかないのはすべてその人個人の責任だという考え方。日本人の根っこには勤労イデオロギーがあって、それが近年の経済第一の競争社会の中で強まってしまった。働けない奴は振り落としてしまえと。仕事がないのも子供が作れないのも、介護が受けられるだけのカネがないのも、「結局その人の頑張りが足らなかったからでしょう?」という風潮になった。

藻谷 自己責任論を唱える人たちは、結局は介護離職や子育て、人口減少という問題を解決できるとは思っていない。ただ、若者に頑張れと精神論を振りかざし、マイナスを押し付けているだけ。こんな状況で、若者が子供を作りますか?

湯浅 自己責任論が蔓延する社会になって、成果主義がエスカレートし、ブラック企業がはびこって、うつ病になる人が激増したのに、対策は取られなかった。「できないやつが悪いんだ」「若者がたるんでいる」と言って押し切られる。

●マルチ商法のアムウェイも自己責任論で正当化

 過労死型の自殺は、仕事のできる人・責任感の強い人ほど危ないという話も過去に書いています。自己責任を強く持たせることはブラック企業を喜ばせ、日本の会社員を死に追いやるものです。

 ということで、誰にとっても問題である話であり、特定の政治思想に偏りたくなかったのですが、自己責任論は保守派が大好きなところです。そして、逆にこれを批判している人となるとどうしても左派が多くなってしまいます。

 ブラック企業の象徴だったワタミの渡邉美樹さんなんかも自民党ですよね。ブラック企業は保守派にとっても問題のはずなので、こういう形にはしたくなかったのですが、仕方ありません。

 …ということで、残りは左派色が強いところばかり。

 タイトル見て一番おもしろそうだと思ったのが、マルチ商法のアムウェイと自己責任の話。ただ、これ、右派が発狂しちゃうリテラの記事でした。また、以下を読んでわかるように、アメリカの保守派がマルチの味方したという、これまた目を覆いたくなる話も書いてあります。
「前向きキラキラ系」がはまる! アムウェイ創業者が語る“ブラック企業の論理”|LITERA/リテラ 2015.01.14

 2年半かけて裁判で争った末、「報酬が新規会員の勧誘ではなく、最終消費者の製品販売のみに基づいていたこと」から「ピラミッド商法ではない」との判決を得て、アムウェイのセールスプランは合法的とのお墨付きを得ることになった。

 この背景には、アムウェイの共同創業者リッチ・デヴォスが政治的に働きかけを行なったことも大きいようだ。アメリカン・ウェイを体現する共和党を積極的に支援。「フリーエンタープライズ体制」のレーガン政権時代には共和党全国委員会の財務会長に任命されたほどの関係だからだ。その後、日本アムウェイは10番目の拠点として1979年に設立され、日本でも急成長をとげる。

 しかし、その後も「アムウェイに騙された」と元ディストリビューターからの批判は続くことになる。こうした批判に対し、共同創業者リッチ・デヴォスは次のように反論する。

「アムウェイビジネスに挑戦して失敗した人たちもたくさんいるが、そうした人々も自分自身に正直になれば、製品販売やスポンサー活動など必要な努力をしていなかったと認めざるをえないだろう。ビジネスを興すには、一生懸命に長時間働いて、障害があってもくじけず、前向きな姿勢を貫くことが必要だ。こうした素質を最初から持たない、もしくは身につけることができない人たちは、別の人生を模索した方がよい。私には、アムウェイに挑戦して自分向きではないと判断した人たちを批判するつもりはまったくない。しかし、アムウェイを批判する前に、自分の行動に責任を持ってほしいと思う」

 つまり、成功した人以外は「必要な努力をしていなかった」。失敗した責任は自分で負えという自己責任論を展開するのだ。

 こうした自己責任論は現在のブラック企業が氾濫する日本でもよく聞かれる“ブラック論理”だ。(小石川シンイチ)

●保育園に落ちたのも自己責任

 次はしんぶん赤旗。保育園の待機児童問題を踏まえた内容のインタビューです。順番を変えて、待機児童問題との関係がわかりやすいところを先に。
2016 焦点・論点/「自己責任」論脱し 新しい可能性/神戸女学院大学教授 石川 康宏さん/権利の保障 攻勢的に迫る 2016年4月22日(金)

 70年代までは「憲法をくらしの中にいかそう」という運動が日本社会の一定の改良を進めました。それが80年代に逆転し、90年前後からの「構造改革」路線が社会権保障制度の本格的な破壊を進めます。今日の待機児童問題や高学費・奨学金問題、ブラック企業・バイトのまん延はこうした自民党政治自身の産物です。

 「待機児童がいるのは最初からわかっていたこと」「奨学金を借りたら返すのは当たり前」という新手のバッシングは、これまでの公務員や生活保護などへのバッシングが、政府や財界、メディアによる「自己責任」論まん延に向けた先制攻撃であったのに対し、国民生活を守る国家責任の放棄を見抜かれたことへの受動的な焦りの反撃でしかありません。攻守はところを代えています。

 もはや「自己責任」を繰り返しさえすれば国民・市民の運動を封じることができるという状況ではありません。

 また、以下の部分は、待機児童問題で住民が指摘「保育園に入りたいなら引っ越せばいい」「保育園を作る根拠があるなら出せ」でやったように、自治体が保育の環境を整えることは、法律で決まっているということを踏まえておくとわかりやすいです。
 たとえば憲法25条は「健康で文化的な最低限度の生活」を送る権利が「すべての国民」にあるとして、「すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」義務が「国」にあるとします。26条は国民の「教育を受ける権利」を国家が保障する。27条は「勤労の権利、義務」にくわえて「勤労条件の法定化」、つまり人たるに値する労働条件を国家が守ることを明らかにしています。日本国憲法における社会権の核心です。

 しかし、日本社会の実態はこれとかけ離れています。個人の尊厳を守る責任を負った政府がそれを放棄し、問題を国民の「自己責任」に解消する姿勢をもっているからです。いま急速に広がっている市民の運動は、ここに最大の問題があることを見抜いています。問題の根本を見抜く目を深めさせるところに、立憲主義を守れという運動の格別に大きな意義があると思います。(中略)

 日本の政府や財界が90年代から「勝ち組・負け組」論や「自己責任」論の大キャンペーンを開始した時に、「社会権を忘れるな」「国家には国民の生活を守る義務がある」と正面からの反撃がただちに広がらなかったのは、権利としての生活・教育・労働保障に対する国民の理解が不十分だったからです。

●中間層は崩壊させておいて「自己責任」で正当化

 最後は、都知事選にも立候補した宇都宮 健児さんの書籍を。
自己責任論の嘘 (ベスト新書)

生活保護費が削減され、逆進性の高い消費税を増税、ブラック企業が跋扈して、安定した雇用が失われる。「自己責任」という言葉を突きつけられ、徹底的に痛めつけられる弱者。中間層は崩壊し、貧困と格差が広がっていく。それが安倍政権のいう、取り戻す日本の正体である。では、なぜそんな政府を多くの人が支持しているのか。そこにわれわれが陥っている罠がある。本書ではその詐術を暴き、自己責任論の呪縛を解き放つための方策を論じていく。


●自己責任論を唱える人ほど責任を放棄している

 ざっと見てきて象徴的だと思ったのが、途中で出てきた保育園に関する法律の話。

 自治体が国の法律を守れていおらず、自己の責任を果たしていない状況なのですから、本来、責任問題を追求されるべきは国や自治体のはずです。ところが、なぜか保守派が責めるのは、その無責任のおかげで弊害が出ている人たちです。これはむしろ、めちゃくちゃ無責任な考え方でしょう。

 政治思想の話をして申し訳ないんですが、保守派の方はこのように国や自治体の責任は問わず、一部の国民にすべての責任を取らせようとします。

 一方で、今回のメインテーマであるブラック企業の経営者はどうか?と言うと、きちんと給料を払うとか、社員の健康を維持するとかいった自らの責任を放棄しておいて、社員にすべての責任をなすりつけています。よく似た構図になっていました。

 なお、


●田母神俊雄氏「過労死なんて本当にあるのか?」

2017/05/14:政治の話になると思考停止する人が多いのであんまり触れない方が良いのですが、この手の問題ある主張はどうしても保守派から出てくることが多いです。田母神俊雄さんが、以下のようなツイートをしていました。

"NHKで先制の過労死を放送しているが私は過労死なんて本当にあるのかと疑問に思っている。こんなことを言えば多分大批判を受けるだろう。しかし大人なんだから疲れて倒れそうだと思ったら休憩すればよい。日本の国全体がさぼりやすい国を目指しているようだ。受験生も勉強時間を法律で限定するのか。" (田母神俊雄 @toshio_tamogami 2017年May12日 20:10)

 田母神俊雄さんは元自衛官で超お偉いさんでした。ただ、自衛隊の人がこのような時代錯誤の考え方の人ばかりなのか?と言うと、そうではないというフォローもしておきます。

 元自衛隊メンタル教官・下園壮太 暇があるなら寝ていろ!という教えでやったように、元自衛隊のメンタル教官である下園壮太さんは、疲労がたまってしまうと突然「折れる」人が出てくることを指摘しています。「突然」ですので、田母神さんの言う「疲れて倒れそうだと思ったら」では対応できません。実際、自衛隊も失踪者を出していました。自己管理できないのです。

 そのため、軍隊では、「人は疲れる」ということを常に意識するように訓練しているとのこと。米軍などでは、任務中でも少しでも余裕があるときは、交代で積極的に昼寝をすることを推奨しているそうです。

 ここの「訓練」「推奨」という部分だけ読むと、自己責任論とも受け取られそうですが、休む訓練が必要だというのは逆に言えば、訓練しないと休めないということを意味しています。なので、少なくとも休む訓練を社員に行うことを会社に義務付けるなどしないと、無理という話。そうであるなら、普通に労働時間を制限する方がスマートです。

 また、長距離ランナーが、まだのどが渇いていなくても、定期的に水分を補給することを訓練するのと同じとも言っていましたから、自己責任というよりは、休ませるルール作りという感じでしょう。

 過労死の本当の恐ろしさ~疲労を感じないまま死亡~などでもやっているように、自分では疲れを正確に認識できないため、外側から休ませるように働きかけなくてはいけません。「疲れたら休めばいい」は非科学的な考え方なのです。


【本文中でリンクした投稿】
  ■過労死型の自殺は、仕事のできる人・責任感の強い人ほど危ない
  ■奴隷が逃げるのは黒人の気質の問題 ブラック企業を辞める奴も根性の問題?
  ■待機児童問題で住民が指摘「保育園に入りたいなら引っ越せばいい」「保育園を作る根拠があるなら出せ」
  ■元自衛隊メンタル教官・下園壮太 暇があるなら寝ていろ!という教え
  ■過労死の本当の恐ろしさ~疲労を感じないまま死亡~

【その他関連投稿】
  ■楽しみながら社員をうつ病自殺に追い込もう!社労士の木全美千男氏のブログが炎上・閉鎖 (そういや、この人も保守派みたいでした。次参照)
  ■炎上の社労士・木全美千男氏はネトウヨ?生長の家・稲田朋美・八紘一宇といったキーワードが登場
  ■ブラック企業は日本特有の問題って本当? 外国人に聞いてみた
  ■日本の労働組合は変だ!ブラック企業悪化の一因は企業内労組が主体のせいか?
  ■炎上社労士オススメ、うつ病にする方法 実行者らは傷害罪などになる可能性
  ■ビジネス・仕事・就活・経済についての投稿まとめ

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