日本の男女別の高校・大学進学率、高いのはどちらなのか?と言う話。意外なことに日本の高校進学率は女性の方がわずかに高そうでした。ただ、この数字を見てから大学進学率を見ると、これまた驚くような感じで極端に変化しています。こうした特徴は日本独特なのか?ということで、欧米や韓国の傾向も見てみました。
2022/02/14追記:
●理系や数学が苦手なため?女性の進学率が異常に低い国がある理由
●予想外!日本の男女別の高校・大学進学率、高いのはどちら?
2017/3/9:日本の教育状況について調べていて、
(PDF)「教育指標の国際比較」(平成25(2013)年版) (PDF:1379KB) というのを見つけました。で、この中の「義務教育後中等教育への進学率」を見ていて、おもしろいことに気づきました。「義務教育後中等教育」なので、要するに高校進学率じゃないかと思うのですが、女性の方が高いのです。これはなかなか意外でしょう。
(PDF)「教育指標の国際比較」(平成25(2013)年版) (PDF:1379KB) の「義務教育後中等教育への進学率」では、義務教育年限 9年(6~15歳)という説明がありました。なので、やはり高校進学率ってことだと思われます。この進学率は、データのある最新の2012年で以下のように、女性の方が高くなっていました。
【全日制等進学者】
男 93.7%
女 94.7%計 94.2%
じゃあ、大学は?と見ると、今度は逆転した上に、一気に差が開きました。
【大学型高等教育 純進学率】
男 56%
女 45%
計 51%
なお、純進学率というのは<純進学率は,各種の高等教育への初回入学者数を該当年齢人口で除した値である。初回入学者とは,当該教育段階に初めて入学する学生を指す>という定義だとのこと。理論上100%を超えることがある定義のようで、オーストラリアの女性の純進学率が110%になるなど、100%を超えているところがありました。
●欧米や韓国の傾向は?OECD平均値で見ると違いが目立つ2つの国
男女別の高校進学率が日本以外で記載されていた国は、ほとんどありません。載っていたのは、イギリスと韓国の男女別の高校進学率だけでした。なので、海外全般の比較というわけには行かないものの、とりあえず、この2国とは比較できます。で、こちらを見ると、イギリスは女性の進学率が高く、韓国は男性の進学率が高いと分かれていました。
【義務教育後中等教育への進学率】
イギリス フルタイム在学者 男85.9% < 女90.2% (2010年)
韓国 全日制進学者 男99.7% > 女99.2%(2011年)
一方、高校と違って多数の国が載っていた大学進学率の方を見ると、イギリスはそのまま女性の方が高いのですが、なぜか韓国では同じになっています。国際比較すると韓国は日本との共通する傾向を見せることが多い国であり、韓国も日本と同様に男性の方が高くなると思っていたので、これは予想外でした。
【大学型高等教育 純進学率】
イギリス 男67% < 女82%
韓国 男71% = 女71%
実を言うと、欧米だと女性の方が大学進学率が高いというのは、以前から聞いたことがあったんですよね。今回のデータを見ても明らかにそうなっています。OECD平均は、男55%、女69%。男の進学率が高い国はたぶん日本だけで、男女同じである韓国も例外的な存在でした。結局、日本と近い傾向なのだと考えられます。
●女性の方が大学進学率が高い理由は単純…女性の方が優秀なため
100%を超えている国があるところを見ると、高卒すぐではなく後から大学に入っている人も結構いそう。これは想定していませんでした。とはいえ、
女性と男性、数学・科学・読解力が苦手なのはそれぞれどっち?でやっているように、そもそも女性の方がどちらかと言うと勉強ができるというのが世界的な傾向であり、女性の進学率が高いのも当然だと思われます。以下は、PISAのテストの結果を比較したものでした。
【女子の平均得点/男子の平均得点の値】
国名 数学的リテラシー 読解力 科学的リテラシー
OECD全体 0.98 1.08 1.00
ただ、他の国とやや傾向が異なって女性の学力が低めの国がありました。これがまた日本と韓国だったのです。ほぼピタリといった相似を見せていました。すでに上の方で「国際比較すると韓国は日本との共通する傾向を見せることが多い国」と書いたように、こういった国際比較をすると、日本と韓国って似た傾向になることが多いんですよね。
【女子の平均得点/男子の平均得点の値】
国名 数学的リテラシー 読解力 科学的リテラシー
日本 0.97 1.05 0.98
韓国 0.97 1.04 0.99
こういう話を知っていたので、日本の高校進学率で女子が高く、韓国の大学進学率で男女いっしょだったのは、予想外でした。もっとそっくりになると思ったんですよね。とはいえ、前述の通り、結局、他の国々と比較すると、日本と韓国が特殊で似た傾向だというのは相変わらずみたいです。
●理系や数学が苦手なため?女性の進学率が異常に低い国がある理由
2022/02/14追記:別にみんなが大学に進学しなくてはいけないわけではありません。ただ、本来男女で能力的にほとんど差がない上に、多くの国でむしろ女性の方が大学進学率が高いにも関わらず、日本でだけ女性の進学率が極端に低いというのは、何らかの理由があると考えられます。
教育の男女格差、なぜ生まれる? 現状と問題点、専門家に聞く|学習と健康・成長|朝日新聞EduA(2021.01.25)で出ていた畠山 勝太・サルタック・ジャパン理事はこの理由について、教育現場にいる女性や働いている女性が少ないのを目の当たりすることで影響されているのではないかという話をしていました。また、ここでも韓国と同じって話が出ているのが興味深いです。
<子どもにとって学校と家庭は、社会を学ぶ場。日本の子どもは、その双方で、「男は働き、女はそれをサポートする」というジェンダー意識を内面化しやすい状況にあります。諸外国にも同様の問題はありますが、特に日本はそれが顕著です。
まず、日本の教育現場は、女性教員の割合が低い。「令和2年度学校基本調査」によれば、小学校の女性教員率は62.3%ですが、中学校では43.7%、高等学校では32.5%、大学では25.9%と、高等教育になるほど下がっていきます。
校長や教頭などマネジメント層における女性教員率はさらに低く、OECDの国際教員指導環境調査を見ると、先進諸国の女性校長の割合は平均すると47.3%と男性と女性がほぼ半々なのに対し、日本はわずか7%と最下位。女性校長の割合が20%を切っている国も日本・トルコ・韓国ぐらいしかありません。
さらに、女性教員の内訳にも偏りがあり、「平成28年度学校教員統計調査」によれば、中学校での国語と英語の女性教員割合はそれぞれ68.4%、65.1%なのに対し、数学と理科ではそれぞれ28.2%、32.8%しかありません。
日本の子どもは学校教育を通じて、教育段階が上がるほど女性は少なくなる、理系に女性は少ない、上司は男性で部下は女性、というのを見せつけられているわけです>
同様に家庭でも「社会で主に働くのは男、主に家事と育児をするのが女」というジェンダー意識が内面化。男性が中心になって仕事をしている光景が学校でも家庭でも当たり前であれば、女の子は将来的に社会で活躍するイメージを抱きづらく、勉強へのモチベーションを持ち続けるのは難しいだろうと予想されていました。
なお、最初の投稿のときに書いていたように、男女で科学の得意・不得意にほとんど差がなく、女性は理系が苦手というのは事実ではありません。また、過去にやった
女性は男性より数学が苦手…を研究した結果 女子と男子で差がつくのはいつ?では、女性が自分で数学を苦手だと思ってしまう錯覚が起きることが報告されています。ここらへんは思い込みや偏見による影響が強そうです。
【本文中でリンクした投稿】
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女性と男性、数学・科学・読解力が苦手なのはそれぞれどっち? ■
女性は男性より数学が苦手…を研究した結果 女子と男子で差がつくのはいつ?【その他関連投稿】
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