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カメラもスマホ部品も日本製ばかりなのにニコン倒産危機・リコーも一部撤退報道


 日本企業が落ちぶれているって話はあんまりやらないようにと思いつつ、ニコンの危機は日本の製造業衰退のトレンドに乗ったもので、紹介したくなりました。で、そのニコンに関係する話を検索していたら、カメラは日本企業だらけ、スマホも日本の部品がないとやっていけないといった日本すごい系の話ばかり出てきます。温度差がすごいことになっていますね。(2017/3/10)

2017/3/10:
●海外「有名なカメラって全部日本?」…日本製カメラが市場を独占
●日本企業なしでは作れない…スマホ部品も日本のシェアが1位
●日本製のすごさを誇る影で、ニコンは倒産危機に
●ニコンの中心事業・半導体露光装置はなぜ売れなくなった?
2017/04/12:
●リコーも一部撤退という報道 苦戦の個人向けカメラで検討
2019/07/08:
●ニコン復活?開発縮小・売上減少でも最終利益は倍増
●かつては半導体露光装置といえばニコン…次世代装置では?


●海外「有名なカメラって全部日本?」…日本製カメラが市場を独占

2017/3/10:ニコンはカメラのイメージ強かったので、その話から。ただ、日本すごい系の話って、得意げに自画自賛しているみたいで正直苦手なところがあります。

 とりあえず、検索して出てきた海外反応! I LOVE JAPAN  : 世界を完全に制した日本のカメラ! 海外の反応。(2014年01月28日10:00)では、「世界を制覇した日本製カメラの凄さ!」と題して、「思ったんだが今売られてる有名なカメラって全部日本製じゃないか?」という海外の声を紹介。以下のようなコメントを載せていました。

・思ったんだけど、今世の中に出回ってる有名なカメラってほぼ全てが日本製だよね?
オリンパス、ソニー、パナソニック、キヤノン、ニコン、シグマ、全部日本企業じゃん!
唯一ライカがドイツ製としては有名だけど・・・。
なんでアメリカには有名なカメラメーカーがないの?

・日本はカメラだけじゃなく車も凄いの作ってるよね、トヨタ、ホンダ、マツダ、日産などさ。
日本は昔はアメリカやヨーロッパの製品を模倣してたんだけど、いつの間にか本家をも上回る物を作り出してしまったんだよ。


●日本企業なしでは作れない…スマホ部品も日本のシェアが1位

 また、ニコンそのものの話はないのですけど、スマホでは「日本製の部品は無くてはならない存在」という話もあります。日本を持ち上げる話を好んで取り上げるサーチナでそういった記事がありました。スマホ市場に姿はないが「日本製の部品は無くてはならない存在」=中国メディア サーチナ 2016年10月29日 14時15分 (2016年11月1日 00時00分 更新)というタイトルです。

 記事では、まず、世界のスマホ市場シェアのランキングにおいて、もはや上位に日本企業の名前は見られないのが現状と、一度落とします。しかし、これは持ち上げるための前フリで、<それは必ずしもスマホ市場で日本企業が必要とされていないということではなく、むしろ日本企業は縁の下の力持ちとして世界のスマホ市場を支える役割を担っている>と続いていました。

 ここで紹介されていた中国メディアの今日頭条の記事が、上記のような内容だったんですね。「世界のスマートフォンメーカーは日本企業なしではスマホを作れない」と指摘し世界のスマホメーカーにとって「無くてはならない存在」であると指摘していたそうです。

 他のサイトなんか覗いていみると、4割とか5割とかって数字が出ていますので、スマホ部品は日本製が最も多いと考えられます。


●日本製のすごさを誇る影で、ニコンは倒産危機に

 上記のスマホ部品の話は、ニコンが実はスマホのせいで苦しくなったという事情があり、関連する情報を検索している中で出てたもの。つまり、スマホが海外製でも部品は日本製だ!と誇る人が多いものの、その影で苦しんでいる日本企業もいるということなんですね。

 また、最初にあった日本製が市場を独占しているというカメラ業界そのものが、そもそもスマホに食われているという事情もあります。衰退産業なのです。

 日経新聞では、「Nikon」のブランドで知られるデジタルカメラでは、スマートフォンの普及で市場縮小は止まらないと指摘。ニコンは自己資本比率が5割を超し、財務の健全性が高いとはいえ、うまく次の手を打たなければ、ジリ貧に陥るとしていました。
( ニコン、「敗北宣言」からの再出発 「Disruption 断絶を超えて」特別編  2017/1/2 7:00 日本経済新聞 電子版 (新田裕一)より)


●ニコンの中心事業・半導体露光装置はなぜ売れなくなった?

 この記事では、デジタルカメラの前に他の分野でのマイナスが大きく響いていたことを紹介していた記事。ました。そちらは韓国と中国メーカーが主力になったせいで落ちぶれた…という、日本すごい系の話で楽しむ方々には一番腹立つものが原因の一つになっています。
 ニコンは昨年11月、構造改革費用を計上し、2017年3月期の連結最終損益が60億円の赤字(前期は182億円の黒字)となる見通しを発表した。赤字は7年ぶり。その元凶が屋台骨だった半導体露光装置だった。(中略)

 半導体露光装置は「人類が生み出した最も精密な機械」とされる。ニコンは1990年代に光学レンズと精密機械の高い技術で市場を席巻し、世界シェアの半分を握った。しかし、主要顧客が日米の半導体メーカーから韓国勢や台湾勢に移ると、事態は一変。競合するオランダのASMLが低コストで量産できる技術で先行し、ニコンは守勢に回る。

 シェアが10%強まで低下しただけではない。追撃のための無理な投資がたたり、赤字が続く。ニコンの経営陣はようやく「挽回はもう無理だ」と敗北を認めた。

 この記事では「倒産」の二文字はないものの、倒産に向かってまっしぐらと見ているサイトもありました。かなり苦しんでいるようです。


●リコーも一部撤退という報道 苦戦の個人向けカメラで検討

2017/04/12:リコーは最初の日本すごい!の話で名前は出ていなかったので、もともとすごくないのかもしませんが、ピンチなんだそうです。リコー、カメラ事業縮小 個人向け撤退含め検討  :日本経済新聞(2017/4/12 2:00 日本経済新聞 電子版 )という記事がありました。

 内容は、価格競争が激しい個人向けは撤退も含め検討し、経営資源を車載向けなど業務用に集中させる形で、カメラ事業を縮小するというもの。2011年にHOYAから一眼レフカメラ「ペンタックス」を買収していたものの、赤字続きでした。

 こちらの記事においても、やはり苦戦の理由はスマホとされています。スマートフォンに市場を奪われ、デジタルカメラの世界出荷台数はピークの10年と比べ5分の1になっているとのこと。

 ただし、日経新聞は飛ばし記事が多いことでおなじみであり、リコーは報道について、「個人向けデジカメ事業からの撤退はない」と否定していました。とはいえ、以下のようなコメントもしています。(リコーは「PENTAX」以外に、「GR」「THETA」といったブランドがあります)

「個人向けデジカメのラインアップの検討は考えている。(PENTAXブランドについてなど)具体的なことについては答えられる状態ではない。また逆に、今後注力するブランドについても、現時点ではお答えできない」
(2017年04月12日 11時00分 更新 リコー「個人向けカメラ撤退はない」 報道を否定[ITmedia]より)

 完全撤退はなくとも、縮小方向というのはありそうなニュアンスでした。


●ニコン復活?開発縮小・売上減少でも最終利益は倍増

2019/07/08:ニコンの方で追記。スーパーサイクルに乗り切れなかったニコンの挽回策:日経ビジネス電子版(竹居 智久日経ビジネス記者2019年5月10日)という記事についてです。復活方向ということで、一応前向きなものですね。

 記事によると、半導体業界自体は絶好調でした。半導体の需要が拡大する「スーパーサイクル」に業界全体が沸いていたそうです。ただ、ニコンはその波に乗れませんでした。

 そこでニコンは15年に発表した中期経営計画を翌年に撤回し、最先端の露光装置の開発も縮小、希望退職制度による1000人超の人員削減など痛みを伴う構造改革も行いました。これにより、19年3月期決算は、売上高が前の期比1.2%減の7086億円となったものの、最終利益は91%増の665億円と黒字を大きく伸ばしています。


●かつては半導体露光装置といえばニコン…次世代装置では?

 私は売上より利益が大事と言っているものの、一方で開発費削減というのは将来に響くために難しいところ。記事でも、「2期連続の黒字を達成するなど事業基盤は安定したが、成長の芽は見えにくくなった」「最先端の露光装置に見切りをつけては顧客開拓も進まない」と指摘しています。

 かつては半導体露光装置で世界をリードしたそうですけど、前述の通り、今は完敗。光源にEUV(極端紫外線)を使う次世代の露光技術もASMLの独壇場とのことで、将来も圧倒的に負けることが確実な情勢。デジタルカメラ事業も依然として…というか、想定以上に落ち込んでいるとのことでした。

 代わりにニコンが成長エンジンと位置付けたのが、光で金属加工をする「光加工機」などの材料加工事業。生産自動化やマスカスタマイゼーション(個別大量生産)のニーズが高まる中で、ニコンが培った精密制御や光応用の技術を生かせるとみているといいます。

 研究によると、良い企業というのはかつての栄光のある分野にとどまらず、変化できる企業だとのこと。昔強かった分野で弱くなるのを寂しいと思う人もいるでしょうが、勝ち目がない露光装置やデジタルカメラにしがみつくより、別の事業を育てていこうという、ニコンの方向性は正しいと思われます。


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