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実はAIの発展で最初になくなる仕事は、能力がある上司の仕事?


 AIで無能な人の仕事がなくなるのではなく、実は先に能力がある上司の仕事がなくなる、などの主張の紹介です。

 ただ、今回の話は本当かな?と疑ってしまったものでした。なので、申し訳ないくらい疑ってかかっていて、ちょっと辛口になっています。ご気分を悪くされたら申し訳ありません。


●コンサルタントの言うことは嘘ばかり

 AIで仕事がなくなる…は誤解だった 人間の作業を代替するだけで職業そのものを代替するわけではないは極端な話で、イマイチ信用できない感じでした。今回のものは全く別の方向性ですが、これはこれで疑わしいものです。

 作者の「百年コンサルティング」鈴木貴博・代表は今ダイヤモンド・オンラインで連載しているものの、正直苦手な方。いろいろとこねくり回しているだけで、証拠に乏しいので読まないようにしています。

 でも、そういうデータ的な根拠のない話を熱烈に支持する人多いですよね。むしろ論理的な話が嫌いなのかもしれません。

 私はコンサルタント=詐欺師みたいには考えていないのですが、今回の記事冒頭では以下のような同業コンサルタントへのバッシングから入っていました。
人工知時代に生き残るのは、意外にも「こんな人たち」だった(鈴木 貴博) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)(2017.1.10 鈴木 貴博)

「これからの未来は誰でもできるような仕事しかできない人はダメだ。自分にしかできない特別なスキル(能力)を持っている人だけが生き残る」

よく経営コンサルタントなどが、こうした指南をすることがありますが、人工知能の発達についての情報を総合すると、どうやらその教えは怪しいようです。

●実はAIの発展で最初になくなる仕事は、能力がある上司の仕事?

 じゃあ、鈴木貴博・代表はどう考えているか?と言う話。

<第一の予測:10年後、上司が没落貴族になる未来がやってくる>

 正直上記だとわかりづらいのでポイントとなっているところで置き換えると、以下のような感じです。

<第一の予測:上司のように「頭のいい人の仕事」の方が先に人工知能に置き換わる>

 記事のサブタイトルが「実は、能力がない人ほど得をする…?」となっているのは、上記がベースだと思われます。

 この部分は本文だと"実は上司のように「頭のいい人の仕事」の方が先に人工知能に置き換わるのではないかと言われ始めました"という言い方をしていて、何らかの根拠があるように読めます。

 ただ、具体的にどこでそのような言及があったとか、○○という研究でこういった結果が出ているとかいう話は一切ないんですよね。これが困るんですわ。

 とりあえず、"人工知能にはどうしてもできない仕事が、現場で起きている一次情報をかきあつめる仕事"だというのが、理由みたいです。


●上司のお気に入りだけが生き残る

 第一の予測も妙なまとめでしたが、第二の予測の言い方はさらにわかりません。

<第二の予測:七年後、サラリーマンが若手芸人化する未来がやってくる>

 もうちょっとうまいたとえないのかな?と思うのですが、この話のポイントは「いい仕事のポジションの競争倍率がめちゃくちゃ高い」の部分。

 要するに、仕事のポジションが激減するので競争率が高まるという意味でした。こう言い直してしまうと普通すぎて、何てことありませんね。みんな言っていること…というか、そもそもAI脅威論の前提条件です。

 で、そういうときにどういう人が生き残るか?と言うと、「上司のお気に入り」とのこと。作者の主張だと先に上司の仕事が奪われているはずなので変な気がするのですが、数少ない残った上司…といった感じで理解しておきます。


●人工知能とロボットに真似できないのは「指」だけ

 最後の第三の予測は以下。

<第三の予測:15年後、若くて体力のある人だけが生き残る未来がやってくる>

 これはまず、"人工知能とロボットにはどうしても到達できない、非常に優れた人間の体の機関"は「指」であるとしていました。で、その指を使う仕事は生き残るという主張ですけど、「若くて体力のある人」との繋がりは弱くありません?
先日、ある経済学者の方から聞いた話ですが、甲斐の名産である信玄餅の工場を見学したところ、生産プロセスの大半はロボットが行っていたのですが、最終工程の箱詰めだけは人間が作業をしていたそうです。

指先が必要な仕事の大半は現場仕事です。コンビニの棚に商品を補充する店員の仕事や、マクドナルドの厨房で調理のオーダーをさばく仕事、こういった細かい作業をする際には指が不可欠です。指の役割をロボットが代替できない以上、たとえ世の中の大半の仕事が消えてしまっても、こういった仕事だけはなくなりません。

●既にAI上司は実際にお試し中

 元記事からは以上。以降は上記の話に関連しそうなうちの過去記事を挙げながら、作者の主張の妥当性を考えてみたいと思います。

 例えば、最後の指先の話については、AI(人工知能)で農家の職人技すら不要に グーグルテンサーフローでキュウリの選別や唐揚げの盛り付けがやや関係するでしょうか?

 ここで紹介した記事はAIの話でしたのでロボット的な動きについては無関係で、主に認識に焦点を合わせたものでした。ただ、形にばらつきが多く、認識自体が難しい唐揚げを掴んで盛り付けるまでの動作をロボットアームにやらせることに成功したという話は、わりかし近い方向性です。「指先の動きを真似できない」が本当なのかは、ロボット関係の話をもっと調べて確かめた方が良さそうですね。

 それから、AI僧侶が登場、裁判官も弁護士に「もっとAI使え」 ノーベル賞もAIの時代になるか?では、「上司の仕事が先になくなる」に反する実例が既にありました。

 かつて若手弁護士の仕事であった「メールなど膨大なデータから学習しながら必要な情報を探す」という作業が、アメリカではAIに奪われたという例。部下の仕事の方が既に置き換わっていることがわかります。

 この投稿では、上司の仕事をAIができるという話と、部下の評価という話の両方に関係する話題も出ていました。社内を巡回しカメラで人や備品の配置を学習、残業や備品状況をチェックするという部長見習いAIの話題です。なので、上司の仕事を担うAIがもう出てきていること自体は本当でした。

 ただし、いずれはAIに人事評価して辞令まで出してもらうつもりということで、人事そのものもAIにやらせたいという考えだそうです。ですので、「上司のお気に入り」が生き残るという作者の主張には反します。

 考えてみると「そりゃそうだよね」という話なのですが、他のことがどんどんAIでできるようになっているのに、「人事評価だけ人間の上司がやる」という作者の前提には無理があります。

 ということで、やっぱり全体的にどうかなぁ?と感じてしまう記事でした。


【本文中でリンクした投稿】
  ■AIで仕事がなくなる…は誤解だった 人間の作業を代替するだけで職業そのものを代替するわけではない
  ■AI(人工知能)で農家の職人技すら不要に グーグルテンサーフローでキュウリの選別や唐揚げの盛り付け
  ■AI僧侶が登場、裁判官も弁護士に「もっとAI使え」 ノーベル賞もAIの時代になるか?

【その他関連投稿】
  ■生徒「なぜ仕事を奪う研究を?」、AI研究者を責める 新井紀子教授の回答は?
  ■囲碁AIがさらに進化 世界に置いてかれる日本AIは中国にも完敗
  ■ビジネス・仕事・就活・経済についての投稿まとめ

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