「コンビニのセルフレジ全店導入へ」という話がひとつ。ただ、これはメインではなくって、実を言うと、セルフレジではないセルフサービスは、既に完全に小売店で定着していて、意識すらされていないという話を書いています。また、セルフサービスはいったい何がサービスなのか?といった疑問についても記載。客にはデメリットしかないように思えるものの、こちらもメリットがあると説明されていました。
2018/02/12追記:
●セルフレジ面倒くさい!万引き犯に間違えられて会社をクビになる人も
●ツタヤは万引き防止タグを引き抜く作業が難しい…苦労する人も
●西友など食品スーパーの方がツタヤよりもさらに面倒くさい理由
●ユニクロやジーユーの方式は服をたたむ作業で余計時間がかかる
2021/05/11:
●昔は百貨店がセルフサービス方式店を作るだけで業界大注目だった! 【NEW】
●コンビニ業界と政府「コンビニのセルフレジ全店導入を目指す」
2011/7/17:
コンビニ全店にセルフレジ 瞬時に会計、25年めど - 共同通信 47NEWS(2017/4/18 12:09)という記事が、以前話題になっていました。タイトル通り、コンビニ業界が経済産業省と一体となり、来店客が自ら会計する「セルフレジ」と呼ぶシステムの普及を目指すという内容です。
ただ、セルフレジにはネガティブな反応もあり、
セルフレジは定着するか 消費者は「面倒くさい」と避けがち、利用率の低さから廃止する店も 2017年03月20日 12時00分 キャリコネはそういう記事。3月13日の発言小町では、「面倒」「結局時間がかかる」という声が目立っていたそうです。
また、お店によって使える機能がまちまちなことや、バーコードの読み取りから精算まですべて行うフルセルフレジと、読み取りは店員が担い精算のみ自分で行うセルフ精算レジの2種類が存在していることも、混乱を招く要因とされていました。
●別の「セルフ」であるセルフサービスは既に小売店で完全に定着
ところで、私が
セルフサービス - Wikipediaを読んでいて驚いたのが、現代の小売店はほぼ全店でセルフサービスが行われているという話でした。これはもちろんセルフレジのことを指しているものではありません。
私はセルフサービスだと認識ていなかったのですが、具体的にどういうのがセルフサービスだというのか?と言うと、顧客自身が直接商品を手にとって選び、買い物かごやショッピングカートに入れてレジに持っていく行為。ごく普通の買い物風景ですが、これがセルフサービスだと言うんだそうです。
えっ、じゃあ、セルフサービスじゃないのどうなるの?と言うと、セルフサービスの発生経緯を説明する中でちらっと出てきます。ただ、正直イメージしづらいところがあるかもしれません。今ではこのような買い方をしている人があまりいないのですが、以下のような説明があります。
<古く小売業では客が商店主や接客対応の係員とやり取りして購入する商品を決定、選ばれた商品を代金と引換に手渡す方法がとられていたが、商品の種類が増えるに従って選択の幅が広がり、商店側の者を介して商品を品定めすることに時間が掛かるようになり、その過程で発生した>
もう一つヒントになりそうなものとしては、セルフサービスが向かない場合があるとされていた百貨店に関する説明部分です。おそらくセルフサービス出現以前のお店では、お店側がお客に合う商品を選んで持ってくることが行われていて、お客さん自身が勝手に陳列商品から選ぶといったことはなかったのだと思われます。
<百貨店のような各々専門化した商店が集まった所や専門的な商品を扱う所では、セルフサービスした場合に、店員の説明が無いと商品の価値(機能や品質)が判り難くなる面もあり、商品比較がしにくいため顧客の側も買物し辛いといった問題も出る>
●デメリットしかなさそうなセルフサービス、客にメリットあるの?
セルフレジについて、店側が得しているだけで「サービスではない」と批判している人を以前見かけました。ただ、買い物時間が短縮できるといったメリットは考えられそうです。
一方、顧客が自分で選ぶセルフサービスの場合は、どんなメリットがあるかと言うと、やはりひとつには「時間」。"商品を選ぶ際の時間短縮に繋がった"と、Wikipediaでは書いていました。また、Wikipediaでは「ノーサービス」という言葉を使っている部分もありました。「セルフサービス」とは別の概念であり、セルフサービスの場合は何らかのサービスが行われているという説明でした。
<ノーサービスの場合は店員が訪れた買い物客の便宜を図ることはないが、セルフサービスではこういった商品を補充する店員が随時店内におり、客は希望するなら店員の案内を求めることが出来る。店員は、商品の性質や品質の説明はもちろんのこと、買い物客が求める商品の取り扱いが店側にあるかどうか、更にはその商品がどの棚にあるか、もしくは棚に切れている場合は在庫としての在る無し、入荷待ちの商品である場合は次の入荷時期などを案内し、店側の運営方針によっては商品の取り置きや注文などといった対応を行なう>
「サービス」ではないものの、お店側のメリットである人件費削減は、結果的に販売価格に転嫁されているのですから、顧客側にもメリットがあるとも考えられます。セルフレジを利用せず、人にレジをやらせるのはお金持ち…みたいな考え方の時代が来るかもしれませんね。
●セルフレジ面倒くさい!万引き犯に間違えられて会社をクビになる人も
2018/02/12:導入が増えたセルフレジでトラブルがあるよ…という記事がありました。さらに、商品のチェックは店員が行い、会計だけ機械で行う「セミセルフレジ」も登場するなど、それぞれの店舗の特性に合わせて、セルフレジそのものも進化しているともしていました。ただ、会計だけセルフの方がどうってことない気がしますけどね。私はこっちの方がむしろ馴染み深いです。
さて、全部やっちゃう本物のセルフレジですが、やはり客側のメリットはやっぱり少ないとされていました。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)やインターネットの掲示板には「セルフレジうざい」などの批判的な声も多いです。
なかには「セルフレジを使ったら万引き犯に間違えられて会社をクビになった」という体験談も散見されるとのこと。これだと大ごと…なのですけど、何しろネット情報なので怪しいです。嘘の可能性があると思われます。セルフレジがトラブルを呼びやすいものだろう…というのは、同意しますけどね。
(
急増のセルフレジ、面倒くさすぎる!TSUTAYAは警報、ジーユーは店員がやる全作業を客がやる Business Journal / 2017年1月27日 6時0分(文=ソマリキヨシロウ/清談社)より)
●ツタヤは万引き防止タグを引き抜く作業が難しい…苦労する人も
そういう信憑性の低い話よりは、記者が実際に「やってみた」という話の方がおもしろいです。TSUTAYAでは、DVDなどをレンタルしてセルフレジを利用するには、会員カードを通して商品のケースに貼られているバーコードをスキャンし、さらに万引き防止のタグを外した上で機械に料金を投入します。面倒くさいですね。
特に、設置された磁石で万引き防止タグを引き抜く作業にはコツも必要で、かなり面倒だといいます。足を運んだ店舗では、この作業を省略して商品を持ち帰ろうとした客もいて、出口で警報が鳴り響いてしまい、ちょっとした騒ぎになっていました。周囲を見わたすと、学生などの若い客は慣れた手つきでセルフレジを使いこなしているが、中高年の客はわざわざ混んでいる有人レジに並んでいたとのこと。お年寄りにはやはり辛いところです。
TSUTAYAはこの後出てくる他のお店と違って「セルフレジを使用いただけば、その分Tポイントを2倍にすることで還元しています」(TSUTAYAコンタクトセンターの担当者)ということで、わかりやすくお客に還元。レジ袋持参でポイントと同じような感じ(引用者注:後に政府によって禁止にされました)ですね。評判悪いTSUTAYAですけど、これは良いやり方だと思います。
●西友など食品スーパーの方がツタヤよりもさらに面倒くさい理由
次の西友は、「導入の一番の理由は、お客の利便性です。人件費削減や利益を出すためというよりも、いろいろなお客様のご精算スタイルを考えて導入しています」としていました。「お客様のためだ」というのです。でも、そりゃ嘘だろうと思いますけどね。ちょっと信じられません。
食品スーパーの場合、セルフレジ導入のハードルがレンタル店より格段にアップするといいます。私が一度使ったときはバーコードつきなので気にならなかったのですけど、バーコードがついていない野菜などの場合、自分でタッチパネルから項目を探してチェックしなければならないそうです。品種や個数などを打ち間違えないかと不安になるでしょう。
"それ以前に、ガラガラのセルフレジとは対照的に有人レジには長蛇の列ができており、そもそもセルフレジはあまり利用されていない印象を受けた"とも、記事では書かれていました。ただ、これは最初にも書いたように、むしろセルフレジによる時間短縮というメリットがはっきりしたものです。私が行った西友も同じ状況でした。
ただし、有人レジの混雑はそもそもセルフレジを作って、有人レジを減らしたせいかもしれません。この場合は、単にお客に負荷を与えただけという話。まあ、その分、他のお店より安くするのでしたら、それはそれでメリットなんですけどね。最初にも書いたように、逆に有人レジは贅沢で高級ってなことになるかもしれません。
●ユニクロやジーユーの方式は服をたたむ作業で余計時間がかかる
ファーストリテイリングが展開するジーユーも、導入の目的はコストカットではなく「レジ精算時間の短縮と利便性の向上」という建前。こういうお客様のため…ってのは、不信感を持ってしまう主張です。ただし、ジーユーの場合はマジで早くて、レジ精算時間の短縮などのメリットは本当だと思わせるところもあります。
こちらは、ICタグによる一括会計を実現したセルフレジで、打ち間違いなどを防いで客側の負担をより軽減してくれていました。商品を入れた買い物かごごと下部にあるボックスに入れ、ボタンを押せば商品が何着だろうと瞬時に会計。クレジットカードもサインレスで使えるため、会計はかなりスピーディ。マジで早いんです。
このやり方が一番良さそうなのですけど、実はジーユーのような服屋さんの場合、別の問題がありました。ほかのアパレル店でやってもらえる、買い物かごから商品を取り出し、きれいにたたんで買い物袋に入れる…という作業を自分でやらなければならないのです。
作者によると、衣類をたたむことに慣れていない人にとっては意外と手間のかかる作業で、やっているうちに「有人レジで会計すればよかった」という後悔が頭をよぎったとのこと。ただ、ここらへんはたたみ方にこだわらない人にとっては、大した問題ではないかもしれません。
2020/12/07追記:その後、GUやユニクロに行く機会がありました。有人レジなしでセルフレジのみでしたので、これをやったのですけど、本当早すぎてびっくり! カゴごとポン!と入れるだけで、一気に計算してくれます。むしろ楽しいです! 私の場合は、きれいにたたまなくても気にならないので、これで十分。ただ、性格によるのだとは思います。
●昔は百貨店がセルフサービス方式店を作るだけで業界大注目だった!
2021/05/11:途中で書いていた「セルフサービスじゃないお店ってどういうお店かよくわからん!」という話に絡んでの追記。
東急ストア - Wikipediaを見ていたら、セルフサービス方式を導入して業界大注目!という話が出てきたんですよ。これも以前少し出てきた話なのですが、要するに百貨店方式がセルフサービスじゃないお店に近いみたいです。
<設立当初は百貨店と同様の対面販売方式で、小型百貨店というべき運営形態であったが、1957年(昭和32年)2月に「スーパーマーケット設立準備委員会」を発足して八幡製鉄所購買会(現・スピナ)の見学や研修会への参加などを通じてセルフサービス方式の導入へ向けた準備を進められた。
1958年(昭和33年)10月に高円寺店2階に木製ゴンドラケースによるオープン陳列を行ってセルフサービス方式を導入し、スーパーマーケット事業参入の第一歩を踏み出すことになった。(中略)高円寺店のセルフサービス方式の導入は、利点を理解しながらもスーパーマーケット事業への進出に二の足を踏むことが多かった百貨店などの大手資本によるものとしては先駆けとなったため、業界紙などから注目を集めることになった>
当時の高円寺店のセルフサービスは全部じゃありませんでした。当時、生鮮食料品はあらかじめ包装などを行っておく「プリパッケージ」ができない商品と考えられていたことから、1階の食料品売り場は従来通り対面販売が継続されていたとのことです。食品があらかじめ包装できない商品だと思われていたというのは、今では信じられない話ですね。
1958年(昭和33年)12月13日に開設した鷹番町店は、新店舗で開設時からセルフサービス方式の導入を行った1号店に。さらに、名刺大の札を商品に添付して、それを基にレジで精算を行う方式で食品売り場にもセルフサービス方式の導入しており、これも画期的だったとのこと。ただ、それでも食料品の一部は対面販売であるなど、移行が難しかったそうです。
<セルフサービス方式の導入を進めるうえでは、商品の事前包装や値札付けといったプリパッケージ技術が必要であったことなどが、こうした漸進的な導入の背景となっており、当社が全商品をセルフサービス方式で販売するようになったのは1959年(昭和34年)11月に開設した荻窪店が最初の店舗となった。プリパッケージで問題を抱えていたのは、先述した食料品だけでなく、衣類や雑貨類などでも同様であり、価格のみならず、素材や大きさ、洗濯方法なども付記した包装の導入などのセルフサービス方式に合わせた商品の形態が模索され、実践に移されていくことになった>
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