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フリーミアムの事例とデメリット 最大の成功事例はスマホゲーム業界


 "フリーミアム戦略 ~フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略~"と"フリーミアムの事例"(ともに2011/7/17)をまとめて、事例を一つ追加しました。(2017/05/16)




●フリーミアムの基礎となるフリーは昔からあった

2011/7/17:ブログに書こうと思いつつ、使わずに放置していたブックマーク記事から。完全に旬を外した話題で、あんまり最近は聞かない用語ですが、フリーミアムについてです。ただ、あまり使われないというだけで、フリーミアムモデルを採用しているサービスは、ありふれたものです。

 Wikipediaでは、フリーミアムについて以下のように説明していました。
フリーミアム(Freemium)とは、基本的なサービスを無料で提供し、さらに高度な機能や特別な機能について料金を課金する仕組みのビジネスモデルである。「フリーミアム」(Freemium)という単語は、「フリー」(Free、無料)と「プレミアム」(Premium、割増)という、ビジネスモデルの2つの面を組み合わせて作られたかばん語である。フリーミアムのビジネスモデルはWeb 2.0企業の人気を得た。

 「フリーミアムのビジネスモデルは、2006年3月23日、ベンチャー投資家のフレッド・ウィルソン(Fred Wilson)により明確に示された」そうですが、「この用語はアメリカの「Wired」誌の編集長クリス・アンダーソンらによって紹介された」ことで、有名になります。

 彼は「2009年7月に著書「Free: The Future of a Radical Price」(邦題:FREE <無料>からお金を生みだす新戦略)を出版する際、フリーミアムの戦略に基づき2週間限定で全文をインターネットで無料公開」し、「ダウンロード数が30万件を記録したにもかかわらず、著書はベストセラー」といった具合に、実際に成功してみせました。

 このフリーミアム、何とも胡散くさいと感じる人もいるでしょう。"書評 フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略 by wakky 本が好き">では、「フリー」という言葉自体が、ネットをあまりしたことがない人に、「怪しい」「無料より高いものはない」「知らない所で何かを負担させられているに違いない」と思うだろうと書かれていました。

リンク切れ
http://www.honzuki.jp/book/1095/review/24872/

 しかし、このフリーミアムのような概念は新しいように思えて、実はその基礎となるものはもともと私たちの身近に存在していたようです。

 フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略では、初めにそのもともと存在するビジネスモデルを挙げていました。

 それはたとえば、次のようなもので、経済学者は「内部相互補助」と呼んでいるものだそうです。

「一つ買えば、もう一つはタダ」(二つ買うと半額)
「おまけ付き」(商品価格に送料含む)
「無料サンプル」(撒き餌=マーケティング手法)
「お試し無料」(使用期間が有限。解約しにくいことがある)
「タイヤの空気入れ無料」(補完的商品=場所への誘導=マーケティング手法)
「テレビやラジオ」(広告費でまかなわれている=三者間市場(消費者ではない他のものがお金を支払う))


●フリーミアム戦略とは?

 じゃあ、フリーミアムなども特に新しいものではないのでは?と思いますが、「本書の紹介する『無料モデル』はそのどれにも当てはまらない」「当てはまったとしても進化したもの」なんだそうです。以下のような説明がありました。

・直接的内部相互補助
無料:消費者の気を引き、他の商品を買わせられるもの
対象者:最終的に皆が喜んでお金を払う
(要約:入口を魅力的にすること。結局、有料の物を買う)

・三者間市場
無料:コンテンツ、サービス、ソフトウェア
対象者:誰でも
(要約:魅力的なものを支援する誰か(広告主)を応援しよう。広告主の商品にコストが分散されて上乗せされる)

・フリーミアム
無料:基本版(プレミアム版は有料)
対象者:基本版のユーザー
(要約:5%の有料版ユーザーが全体を支える。サービスコストが無視できるほど小さく、利用者が多いので可能)

・非貨幣市場
無料:対価を気にせずにあげるものすべて(このブログとか)
対象者:誰でも
いくつかパターンあり
贈与経済:貨幣の代わりに評判や関心を求めて為される共有
無償労働:無料サービス利用そのものによって生じる労働(グーグル検索はグーグルのターゲット広告のためのアルゴリズムを洗練させる)
不正コピー:楽曲やマンガ、小説など(デジタル技術進歩の宿命)


 このうち、今回のテーマでもあるフリーミアムは、以下のような特徴があります。

1.デジタル技術は進歩し続けており、限界費用は下がり続ける。
2.すると、それまでは気にしないといけなかった費用が急激に安くなり、気にする必要がないほどになる。
3.インターネットでは評判さえ手に入れられれば現実世界とは違い、圧倒的多数の消費者が気軽に購入できる。


●書籍『フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略』

 ブックマークしていたというのは。この書籍のアマゾンのページ(フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略)で、アマゾンの内容紹介を見るだけでもおもしろいです。
「世界的ベストセラー『ロングテール』の著者が描く21世紀の経済モデル」
「〈フリーミアム〉という新しいビジネスモデルを提唱し、ビット世界の無料経済に正面から取り組んだニューヨーク・タイムズ・ベストセラー」

なぜ、一番人気のあるコンテンツを有料にしてはいけないのか?
なぜ、ビット経済では95パーセントをタダにしてもビジネスが可能なのか?

あなたがどの業界にいようとも、〈無料〉との競争が待っている。
それは可能性の問題ではなく、時間の問題だ。
そのときあなたは、創造的にも破壊的にもなり得る
このフリーという過激な価格を味方につけることができるだろうか?

●無料のルール
1.デジタルのものは、遅かれ早かれ無料になる
2.アトムも無料になりたがるが、力強い足取りではない
3.フリーは止まらない
4.フリーからもお金儲けはできる
5.市場を再評価する
6.ゼロにする
7.遅かれ早かれフリーと競いあうことになる
8.ムダを受け入れよう
9.フリーは別のものの価値を高める
10.稀少なものではなく、潤沢なものを管理しよう

 ついでにアマゾンのカスタマーレビューも紹介。
たとえばこうしてボクはこの本のレビューを書いています。
1円たりとも報酬がもらえないというのに。
ボクだけではなく、みんながタダで喜んでレビューを書いています。
それは、「ウェブの世界には、貨幣経済以外に、評判(トラフィック)経済と注目(リンク)経済がある」からだと、この本は言っています。
他人から評価され、注目されることに喜びを感じるので、みんなタダでレビューを書いているのです。

googleは、多くの人から評価・注目されているページを、検索結果の上位に表示しています。
評判経済・注目経済があることを、googleは知っていたのでしょうか。
また、googleは無料かつ便利なのものをたくさん生み出しています。
それは、無料で使ってくれる顧客をたくさん獲得すれば、その中の顧客が有料の商品を買ってくれる可能性が高くなるからです。
無料には顧客を爆発的に増やすパワーがある、とこの本は言っています。

この本では「市場に参入するもっとも破壊的な方法は、既存ビジネスが収益源としている商品をタダにすること。すると、その市場の顧客はいっせいに押しかけてくる」と書かれており、
無料のサービスを使ったビジネスモデルがいくつも紹介されています。
自分のビジネスモデルを作りたいと思っていらっしゃる方にとっては、必読書だと思います。

「このテーマは本にするのに申し分ないと私は思った。『まちがっている』と『自明のことだ』というふたつの意見にわかれる話題は、どんなものであれ、いいテーマに違いない」。

検索エンジンも、百科事典も、今や無料で使えるものがネットを席捲している。ゲームも、ニュースも、音楽も、違法性のあるものが含まれている問題はあるにせよ、無料なものが増えていて様々な影響を引き起こしている。オープンソースのOSをはじめとする無料のソフトウェアが従来のビジネスモデルに立脚した会社に脅威を与えている。有料の新聞や雑誌は厳しい状況に追い込まれている。

本著は、そのような現状をとらえて多角的に考察を重ねて一冊にまとめている。『ワイアード』編集長が書いているだけに、IT業界の理解や背景についてはこなれている。また、前半部分は無料ビジネスの歴史についても述べている。フリーに対しての一般の誤解、ビジネスモデルのパターン、中国で当たり前になっている海賊版の意外な効果、様々な事例についても解説している。

思いっきり短縮して著者の主張を書くなら、フリーに近づくものに抵抗しても難しく、むしろそこで得た評判や注目をうまく課金する道へつなげるモデルを考えた方が現実的だということになる。

実際問題として、今やフリーのコンテンツに依存せずに生活している人はこのページを読んではいないだろうし、結構身近なことなのに、この社会の大きな変化について正しく全体を理解している人は意外と少ないと思われる。著者の主張にどこまで賛成するかは別として、デジタル時代を生きる多くの人にとって一読する価値がある本だと思われる。

●フリーミアムのデメリットとは?

 この書籍の紹介としては、先にも引用した「書評 フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略 by wakky 本が好き」では、ここではフリーミアムの弱点についても触れられていました。

 フリーミアムで利益を得られるのは、飽くまで評判を得られた場合に限ります。しかも、"その評判を得る方法というのはサービスによっても違う"など、確立された方法があるわけではありません。これがデメリットだという説明。

 なので、"このモデルは「サービスを乱立させるがその中からサービスをふるいにかけ秀逸なサービスが残る」という市場原理を有効に機能させる上で有用かもしれない"とも書かれていました。

 ただ、そもそも評判を得られるかどうかわからないというのは、普通のサービスでも同様。大きくヒットしないなら、少ない顧客相手に堅実に稼げる方法を選ぶのもアリ…くらいの感じでしょうか。フリーミアムモデルは万能ではないという話です。


●儒教の文化では模倣することは尊敬を表す行為?

 それから、「本書の中で論師(引用者注:論旨の誤字?)からは少し外れるが印象的だった内容」として、「儒教の文化では模倣することは尊敬を表す行為である」という話があり、「確かに善かれと思っていることを(しかも主観ではなくて思想上の倫理として)直せと言われても困るよな」というものがありました。

 これはどうなんしょうね?儒教文化圏に限らず、紙が貴重だった時代、書籍のコピー(模写)は一般的だったのでは?と思います。今でも模写自体は合法でしょうが、どういった事例をもって「模倣=尊敬」となったんでしょう?興味あるところです。


●フリーミアムの事例

 フリーミアムの事例なのですが、そもそもフリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略という書籍自体が、フリーミアムの実例の一つです。前述の通り、無料公開してベストセラーになりました。

 そううまく行くのか……と正直思いますが、他の成功例かもと思ったものがあり、おもしろい記事でもあった「キンドル」のベストセラー 「無料書籍」ばかりのカラクリ J-CASTニュース 2010/3/18 19:21 を紹介。「アマゾンサイト内で公表されている、キンドルのベストセラーランキング」の「ベスト25のうち、13冊」が、「0ドル書籍」であり、1位から6位も占拠していたんだそうです。

 記事ではこの出来事に関連付けて、「米ユタ州のブリガムヤング大学の研究者2人が2010年冬に発表した論文」を紹介していますが、これがおもしろいのです。

 「論文では、PDFなどで全文を無料で公開した書籍41冊を対象に、電子媒体を公開する前の8週間と公開後の8週間について、紙媒体の売り上げを調査」しています。以下のような結果になりました。

電子媒体で公開する → ノンフィクションの紙媒体の売り上げが5%、フィクション(小説)が26%伸びた。
ダウンロードできる期間を1週間に限定したり、ダウンロードの時に登録を求めた → 紙媒体の売り上げが減少した。(ただ、冒頭の成功事例自体はこちら側です)

 これらのことから、論文は以下のように書いていたそうです。

「電子書籍を永久的に無料公開することと、紙媒体の売り上げが短期間上昇することには、中程度の相関関係が見られる」
「『無料版が出ると、紙媒体に支出する人が少なくなる』と主張する人にとっても、『フリーアクセスは売り上げに害を及ぼさない』と指摘する人にとっても、今回の結果は驚くべきものかもしれない」
「『フリー』から収益を上げるには多くの方法がある。電子媒体の売り上げを伸ばすことも、さらなる動機かもしれない。例えば、キンドルで『シリーズもの』の1冊目を無料公開すれば、2冊目、3冊目の売り上げが大幅に伸びるかもしれない」

 実は先のキンドルでランクインしている「0ドル書籍」の多くはシリーズものであり、「『0ドル書籍』が2冊目以降を購入するための『呼び水』になっている可能性もありそうだ」としています。

 ここで可能性という言い方になっているのは、「アマゾンはキンドル書籍の売り上げを公開しないので、これが実際に起こるかどうかは分からない」ためなのですが、これもまたフリーミアムの事例(成功例?)の一つではないかと思われます。


●最大の成功事例はスマホゲーム業界

2017/05/16:ここから追記の話。フリーミアムの成功事例として、最もわかりやすいのがスマホゲームです。スマホゲームでは、基本的なサービスやゲーム自体を無料で提供する一方、一部だけ課金してもらうということで稼ぐというフリーミアムの典型的な手法をしているものが多くなっています。

 そして、スマホゲームの収益の半分は全ユーザーのたった0.19%が支えていることが判明 - GIGAZINE(2016年03月25日 20時00分00秒)は、その課金ユーザーがどれくらいいるのか?といった話。調査を行ったのは、Swrveというところ。たぶん海外の調査であり、課金がきつい日本とだいぶ違うのではないかと思うのですが、ごくごく一部のユーザーが収益源になっているということが、この調査でもわかりました。

 驚いたことに、課金ユーザーは全ユーザーのたった1.9%しかいません。「スマホゲームに課金するなんて信じられない!」と多くの人が思うのも無理もないことがこれでわかります。そもそもほとんどの人が課金していないのです。

 そして、1ユーザー当たりの平均課金額は1カ月で24.66ドル(約2790円)となっていることもわかりました。記事では、"全体の約98%は無課金ユーザーであることを考えると、課金ユーザー1人で相当な額を課金していることがわかります"としていたものの、どうなんでしょう? 普通のゲームソフトが数千円であることを考えると、大したことないような。日本だともっと金額が高いのではないかと予想します。

 正直インパクトがなかった平均課金金額の約2790円ですが、それより「課金ユーザーがどれくらい収益に貢献しているか」を見た方が良いと思われます。

 最も多いのは、「0~5ドル(約570円)」で39%。しかし、彼らは収益の14.5%にしか貢献していないことがわかりました。一方、50ドル(約5600円)以上課金するユーザーは全体の2.5%しかいないのに、収益には17.5%も貢献しています。課金者の中でも、一部のユーザーが大切な収益源になっているということがわかります。

 さらに、"全課金ユーザーを課金額の少ない方から多い方まで10%ごとに分けて、各グループの収益を占める割合を示"すと、この傾向がよくわかります。全課金ユーザーの内、下から10%のユーザーからの収益は全体の1.2%しかないのに対して、課金額が最も多い「90-100%」は収益の48.4%を占めているのです。

 なお、Swrveによれば、少額を複数回課金するのではなく、一度に大量に課金する傾向があるそうです。これはユーザーの学習がある他、ゲームの開発者が一度に大量に課金してしまうようなシステムを作っているという理由があるとのこと。課金し続けて癖になるというわけではなく、一気にドバっとなんですね。

 ということで、このスマホゲーム業界の事例は成功事例ではあるものの、倫理的な問題も指摘される危うさのある事例でもあります。前述の書籍の例が問題なかったように、フリーミアムモデルそのものが悪いという話ではないものの、何らかの歯止めが必要なケースもありそうです。


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