日本の経済が悪い理由は教育なわけないでしょ?という話。なので、大学などのせいにしている人はおバカさんですよ、といった感じになっています。(2017/3/19)
その後、"安倍首相「教育の質の向上で、労働生産性を上げよ」"という話を加えています。(2017/04/26)
●日本の経済が悪いのは、長い会議のせい?
2017/3/19:デービッド・アトキンソンさんが以前、日本の生産性が他国と比べて相対的に低下している現実を指摘する記事を書いたところ、その生産性低下の「犯人探し」をするコメントがたくさんついたそうです。
(
日本を「1人あたり」で最低にした犯人は誰か 「世界最高の労働者」を活かせないという罪 東洋経済オンライン / 2016年12月23日 7時0分より)
例えば、「会議が長い、根回しが大変、働き方が非効率。だから日本は生産性が低い」という意見。うちでも会議の話をやっているように、無駄な会議の問題は確かに解決すべきものだと思います。
■
会議を多くせよ!CIAスパイの工作手口が日本企業そのものと話題に ■
実は簡単にできる!会社の無駄な会議を削減する4つの方法 会議室を減らすなど ただし、これだけで全部を説明しようとなると、無理が生じてきます。
アトキンソンさんは「日本の生産性の伸びがほぼ止まったのは1990年代からですので、説明要因としては不十分」と指摘していました。なるほど、その通りという指摘。私も気をつけなくちゃいけません。
●日本の経済が悪いのは、画一的な教育のせい?
こうなるともうわかるように、タイトルにした教育というのも今に始まった話ではありません。
アトキンソンさんはイギリス出身なので、日本の教育のことはよく知りません。ただ、こういう教育のせいという主張はいい加減なことがあるという例として、自身の国でのエピソードを紹介していました。これもなるほどというものですし、デタラメすぎて笑っちゃうものでした。
英国経済が低迷していた時代、私の母校でもあるオックスフォード大学は痛烈な批判に晒されていました。「アカデミズムに偏りすぎで卒業生はビジネスに向かない、社会で本当に役立つことを教えていない」という、どこかで聞いたことのある批判がなされていたのです。
ですが、経済が好転した今、オックスフォード大学の評価は180度変わり、2016年には「世界一」と言われるまでに復活しました。では、オックスフォード大学は何か変わったのでしょうか。いえ、オックスフォード大学の制度も文化も、12世紀からそれほど変わっていません(もちろん、多少の「調整」はしています)。にもかかわらず、経済が好転すると「成功の主要因」のように語られるのは、興味深い現象です。
●日本経済停滞を大学のせいにしているバカは誰?
この話で思い出したのは、
今18歳なら大学なんて行かない ホリエモンの意見を茂木健一郎が称賛。ただ、今読み返してみるとそういう内容ではありませんでした。お二人とも画一的な教育批判をしそうな方なのですけどね。
どういった内容だったか?と言うと、今は誰でも、どこでも、ネットの上で最先端の情報に接することはできるし、アイデアがあればクラウドファンディングもできるし、仲間も集められるからという主張でした。
上記の投稿の他にもう一つ思ったのは、そもそも国が「日本の大学はアカデミズムに偏りすぎで卒業生はビジネスに向かない、社会で本当に役立つことを教えていない」というスタンスを取っているということです。
関連:
国立大文系学部廃止、文部科学省は実学重視? 成果ある学部への転換促す●生産性の相対的な低下の犯人は経営者
では、アトキンソンさんは、生産性の相対的な低下の犯人は誰か?と考えていると、経営者です。まあ、これはそりゃそうかもしれませんね。生産性が高まらないのは細かく見ていくと個々の会社の問題であり、その個々の会社で責任があるのは経営者です。
日々生産性を高める努力をしている経営者の会社と、そうでない経営者で会社で差がつくのは当然。それを教育や社員のせいにするというのは、筋違いな話です。
ついでに言えば、最初にあった無駄な会議を撲滅しない…という選択をしているのも経営者ですからね。生産性向上に関わる施策を取るのは経営者の仕事であり、他の誰でもありません。
また、実を言うと、前述のような方向性の大学改革が進んでいるのは、経済人の「大学は企業にとって学んでほしいことを何も教えていないから変えてほしい」という要望とも関係しています。
ひょっとしたらこれも結局、自助努力をしない経営者が責任転嫁しているだけ…って話になるのかもしれません。
●安倍首相「教育の質の向上で、労働生産性を上げよ」
2017/04/26:「大学教育のせいで生産性が低い」と言っているわけではないものの、「教育」と「生産性」というキーワードが入った話があり、この投稿のことを思い出して追記。
首相 教育で生産性向上を 大学改革の具体化を指示 4月25日 21時48分 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170425/k10010961101000.html
政府の経済財政諮問会議で、民間議員が、生産性の向上には人材への投資を充実する必要があるとして、大学改革に向けた提言を示しました。ただ、記事では生産性との関係を示したデータみたいなものはなく、その根拠は不明でした。
この提言を踏まえてのことだと思われますが、会議の最後に安倍総理大臣も、「人材への投資や教育の質の向上は、労働生産性を上げ、成長と分配の好循環を加速させるうえで重要だ」と述べています。
さらに、安倍総理大臣は、私立大学への助成金の配分方法の見直しなど、民間議員の意見を踏まえた大学改革の具体化を検討するよう松野文部科学大臣ら関係閣僚に指示したとのこと。配分方法の見直しというのは、具体的には、学生数などに応じて配分されている私立大学への助成金を、教育の成果を反映して大胆に傾斜配分する、というものみたいです。
【本文中でリンクした投稿】
■
会議を多くせよ!CIAスパイの工作手口が日本企業そのものと話題に ■
実は簡単にできる!会社の無駄な会議を削減する4つの方法 会議室を減らすなど ■
今18歳なら大学なんて行かない ホリエモンの意見を茂木健一郎が称賛 ■
国立大文系学部廃止、文部科学省は実学重視? 成果ある学部への転換促す【その他関連投稿】
■
底辺大学の下克上はアメリカに学べ!定員割れ私立大学半分の衝撃、18歳人口急減で過去最悪は免れないか? ■
安倍首相は朴槿恵大統領と同じ?親族が運営のイベントに利益誘導 AO義塾斎木陽平塾長の「全国高校生未来会議」 ■
ミスコン、慶応大が中止で早稲田大は禁止 女性差別という批判は妥当か? ■
日本の男女別の高校・大学進学率、高いのはどちら?欧米や韓国の傾向は? ■
「僕はもう政治家」AO義塾・斎木陽平塾長は安倍首相の親戚だった ■
学校・教育・子どもについての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|