日本の電機メーカーなんかは、最近一般客向けより企業向けの企業の方が堅調。名より実を取った企業の方がうまくいっているというイメージがあります。なので、これはこれで悪くないと思うのですが、旭硝子はガラスシェア世界一でありながら、商業施設などの一番良いところ、目立つところでは使われないそうです。
記事を読んでいると、理由は地味で使えないって感じに見えますが、儲けの少ない部分なので、旭硝子も敢えて捨てていたってところもあるようですね。目立つことより、収益を重視していたというのが、一番の理由かもしれません。ただ、利益が少なくても敢えて目立つところを狙いに行く…というのが今回の話絵でした。
2021/01/14追記:
●わかりやすかった旭硝子をわかりづらい「AGC」に社名変更のなぜ?
●ガラスシェア世界一なのに、AGC旭硝子が目立つ所で使われない理由
2017/3/20:AGC(旭硝子)が目立つ所で使われない…という話があったのは、
窓を液晶画面にする新商品が、旭硝子社内で賛否両論だったワケ 笠井英雄(旭硝子 事業開拓部新ガラス商品展開グループ ガラスサイネージ担当リーダー)|ダイヤモンド・オンライン( 「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁 2017年2月3日)という記事です。
<連結売上高で1兆3263億円の旭硝子は、世界一の総合ガラスメーカーではあるが、正面から指摘されたくない“泣き所”を抱えている。
商業施設に例えるならば、“顔”である1階部分が弱いのだ。1階は、業者に対する要求水準が高く、受注競争も激しい。華々しい実績はできても、個々の業者の実入りは少ない。一方で、建物の2階よりも上の部分は、地味ではあるが、数量が稼げる。これまで、旭硝子は1階を避けてきたのだ>
ただ、記事そのものは、旭硝子もその華やかなところを狙うという内容。事業開拓部の笠井英雄さんは、この一等地に食い込もうと、情熱を傾けています。笠井英雄さんを筆頭に約30人の専任メンバーが取り組む新規プロジェクトが、「インフォベール」という高付加価値型の新製品がその中心でした。
<これは、街中でもよく見掛けるようになったデジタルサイネージ(電子看板システム)の一種だが、建物などにある既存の窓ガラスの内側から、直接、液晶ディスプレイのユニットを貼り合わせてしまう点が他と異なる。隙間なく密着させることで画質が大幅に向上し、一般的なサイネージのように設置スペースを取らない。さらに、高いデザイン性が持ち味である。
窓ガラスに超薄型のディスプレイをベタッと貼り付けたような格好で、サイズは大きくも小さくもできる。最大の特徴は、ガラスと化学の複合技術であり、世界でも旭硝子にしか製造できない点だ>
●旭硝子は本当に世界一なのか?ガラス業界シェアランキングを確認
旭硝子のシェアを別のサイトで確認。
ガラス業界のシェア・ランキングなどを研究-業界動向サーチによると、平成25-26年の日本国内での旭硝子のシェアは44.3%。2位の日本板硝子が20.4%ですので、倍以上です。世界に関して言えば、"ガラス国内首位の旭硝子は板ガラスにおいて世界首位のシェア"という書き方。最初のものとは異なり、板ガラスのみという感じです。
少し古いものの、
【企業特集】旭硝子(下)世界シェア上位の商品が多数!旭硝子が強いこれだけの理由|週刊ダイヤモンド 企業特集|ダイヤモンド・オンライン(2011年10月13日)も見てみました。こちらでは、以下のように分野別にシェアを掲載。板ガラスだけでなく、他の分野でもかなり強いので、本当に世界一といって良さそうなレベルです。
<液晶ガラス>
1位 米コーニング 50%
2位 旭硝子 25%
3位 日本電気硝子 20%
<板ガラス>
1位 旭硝子 14%
1位 日本板硝子+英ピルキントン 14%
1位 仏サンゴバン 14%
<太陽電池用ガラス>
1位 旭硝子 記載なし
1位 日本板硝子+英ピルキントン 記載なし
●世界での知名度はイマイチ?「AGC」というブランド名を宣伝中
旭硝子 - Wikipediaで「世界」という単語が出てくる部分も見てみました。ここでは世界一という書き方はしていないものの、世界最大手との記述。<旭硝子(あさひがらす、AGC)は、世界最大手のガラスメーカーである>としていました。
また、<建築材料、自動車向けなどのガラスを中心に、電子部材やその他の化学関連素材を製造・販売している>との説明。さらに、<特に、ガラスについては、世界における最大手である。建築用ガラス、フッ素化学製品などを主に取り扱う>といった記述も見られます。
ただ、海外での知名度としては、まだまだなのかもしれません。以下のような話もありました。
<2007年9月8日に創立100周年を迎えた。これを機に、単体の略称であった「AGC」を全世界的な統一ブランドとして定着させる旨を発表、世界的な広告展開を実施中である。社名ロゴは年初に発表した新しいものへと正式に変更され、大多数の連結子会社・系列会社がこの新ロゴを用いるようになった>
ちなみに、
意外な企業アリ!三菱グループ・三菱財閥の金曜会会員企業リストでやったように、旭硝子も三菱系です。三菱系は、一般的な知名度が高くなくても業界的にはすごいという、地味に良い会社がありますね。
●わかりやすかった旭硝子をわかりづらい「AGC」に社名変更のなぜ?
2021/01/14:その後ブランドだけでなく社名の方も変更になっていたので、最初に追記。
旭硝子、社名を「AGC」に 18年7月から: 日本経済新聞によると、旭硝子は、2018年7月1日付で社名を「AGC」に変更すると発表していました。これは社名変更前の2017年8月1日の記事ですが、その後実際に社名を変更しています。
私は認知度が低く、わけのわからない名前にするのはどうか?と思ったものの、むしろAGCの方が定着していたみたいですね。事業の国際化を進めており、創立110周年にあたるのを機に、世界的に認知されている企業ブランドと社名を統一しグローバル展開を加速する…とされていました。
また、そもそも旭硝子は、社名になっている主力のガラスのほかにも、電子部材や化学品、セラミックスなど多くの製品を扱っていた…という理由もある模様。こうした状況では「ガラス」だと困るところもあるかもしれません。そこで、事業部や地域を越えた一体化を進めるために07年に世界で企業ブランドを「AGC」に統一。国内外の子会社の社名もAGCを冠したものに変えていたところでした。
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