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日本の科学研究レベル低下、ネイチャーも指摘 中国・韓国・ドイツの逆を行く日本の政策


 以前から何度も書いているように、日本の科学論文は他国と比べて相対的に衰えていることが明らかです。ノーベル賞というのは過去の遺産が評価されるものであり、現在のレベルは示していません。日本の科学が優れていると誇るより、むしろ強く危機感を持つべきです。

 今回、科学誌のネイチャーも今までとはまた別の視点で、日本の科学研究が衰えていることを指摘していました。(2017/3/23)

 また、これとは直接関係しないものの、日本政府の研究軽視を象徴するような出来事がありましたので、"日本政府の学術研究軽視を象徴する「CiNii」の騒動"(2017/04/05)という小見出しで、追記しています。

2017/07/08追加:被引用多い論文数、日本はついに10位にまで低下 でも反省はしない


●日本の科学研究レベル低下、ネイチャーも指摘 重要雑誌で8%減少

2017/3/23:日本の科学研究の現状を憂慮していたのは、23日付で発行される英科学誌「ネイチャー」が別刷り特集のレポート。
(日本の科学研究「この10年で失速」 英ネイチャー特集:朝日新聞デジタルより)

 既に日本の論文数 数十カ国の調査で他国がすべて増える中、唯一減少などでやっているように、日本の論文数は世界的にも異常な推移を示しています。ネイチャーが、多くの学術誌に掲載された論文のデータベースの分析では14%増で、減少とはならなかったのもやはり憂うべき結果でした。

 というのも、全体の収録論文の数が05年から15年までに約8割増えていることから見ると、日本の増え方はやはり異常と言って良いレベルなのです。当然、全体に占める割合も激減しており、7・4%から4・7%に低下。半分までは行っていませんが、4割ほど減少した計算です。

 この指摘だけだと、全体の論文数は増えていなくても、レベルの高い論文数は成果主義などで維持しているのでは?と思うかもしれません。

 ところが、ネイチャーやサイエンスなど、研究者が選ぶ上位68の学術誌に掲載された論文を分析したところ、16年の日本の論文の絶対数は12年と比べて8・3%も減っていることがわかっています。むしろハイレベル分野での凋落の方が激しいかもしれません。

 過去に書いているように、重要論文数では、既に中国に大きく負けている分野が多くなっています。日本の科学研究のレベルはかなり低下していることは、疑いようがないのです。

  ■日本人ノーベル賞受賞者は将来激減 既に中国に大敗の重要論文数


●中国・韓国・ドイツの逆を行く日本の政策

 このことについて、「ネイチャー」は、「日本の科学研究が失速し、科学界のエリートとしての地位が脅かされている」と指摘。さらに、以下のように書いていました。

「日本は長年にわたり科学研究における世界の第一線で活躍してきたが、これらのデータは日本がこの先直面する課題の大きさを描き出している。日本では2001年以降、科学への投資が停滞しており、その結果、日本では高品質の研究を生み出す能力に衰えが見えてきている」
(英科学雑誌 日本の科学研究の失速を指摘 | NHKニュース 3月23日 4時36分 より)

 また、特に、日本が以前から得意としていた「材料科学」や「工学」の分野では、論文の数が10%以上減っているとも指摘。得意じゃない分野がさらに苦手になっているより、得意分野がなくなってきているっていうのですから、たいへん悲惨な結果です。

 ネイチャーでは、その理由として、ドイツや中国、韓国などが研究開発への支出を増やすなか、日本は大学への交付金を減らしたため、短期雇用の研究者が大幅に増え、若い研究者が厳しい状況に直面していることなどを挙げていました。

 実を言うと、大学への交付金については定義次第なところがあり、「むしろ増えている」という主張もあります。しかし、他国が大きく上がっている中で日本が微増に留まった場合、相対的に見て日本の研究にかける資金が低下していることになりますから、大きな流れとしては間違っていません。

 何より結果として日本の一人負け状態というのが事実なのですから、詭弁を弄するよりもその現実とまず向き合うべきでしょう。


●日本政府の学術研究軽視を象徴する「CiNii」の騒動

2017/04/05:「CiNii」(サイニー)という国内の膨大な数の論文を検索できるサービスで、突然、多くの論文が消えるということが起きました。また暗い話なので、書こうか書くまいか相当迷ったのですが、これは日本の科学技術の現状を象徴する話だと言えるので、書いておくことに。

 とりあえず、国立情報学研究所(NII)が運営している「CiNii」が廃止されたという理解は誤解。「CiNii」自体は残り、検索機能も残るそうです。

 では、なぜ大量に消えたか?と言うと、1997年以降、紙の論文を電子化し、CiNii上でPDFデータを無料公開する「電子図書館事業」(NII-ELS)を進めて、430万論文を電子化・公開してきたプロジェクトが、国からの支援が途絶えたことで17年3月で終了したためでした。

 国は、論文の電子化支援について、科学技術振興機構が運営する「J-STAGE」に一本化する方針で、CiNiiの掲載論文もJ-STAGEなどに移行するよう各学会に推奨していたそうです。

 じゃあ、国に問題ないか?と言うと、そうではなく、問題大アリ。というのも、実際には、J-STAGEへの移行作業は遅れており、多くの論文が移行できないまま、CiNiiの論文PDFの公開を停止してしまいました。移行が済んでいない論文は同日以降、CiNiiから消え、J-STAGEにも載っていない状態なのです。
(「CiNiiから論文が消えた」 研究者に困惑広がる - ITmedia NEWS[岡田有花,ITmedia] 2017年04月05日 12時58分 更新より)

 移行する予定だからいいじゃない?と思うかもしれませんけど、「卒論のテーマが決まらない」など、困惑した投稿が相次いでいるそうです。
(多くの論文検索できず SNSで困惑の声 「CiNii」 | NHKニュースより)
 
 予算がないから仕方ないという擁護も考えられるものの、多くの論文が見ることができないことによって、また日本の科学の停滞を招き、結果的に国家が損失を被ることになります。

“研究が滞ることによる損失は国の予算化の際には考慮されないのかな。並行稼動させて移行が済んだものから消すようにできればよかったのにね。”(nakex1 2017/04/05)
(はてなブックマーク - 「CiNiiから論文が消えた」 研究者に困惑広がる - ITmedia NEWSより)

 “日本国の学術軽視が如実に現れているな。”(taron 2017/04/05)という声もあったように、日本の学術研究軽視を象徴する出来事であり、日本の科学研究レベルの低下は必然なのだと感じさせるものでした。


●被引用多い論文数、日本はついに10位にまで低下 でも反省はしない

2017/07/08:遅くなっちゃったのですが、被引用多い論文数、国別10位に後退 科技白書で指摘  :日本経済新聞(2017/6/2 9:05)という記事も出ていました。2017年版の科学技術白書は、"研究価値が高いとされる被引用件数の多い論文の国別順位で日本は10位まで下がり、基礎研究力の低下が著しいと指摘"しています。

 具体的には、被引用件数が上位10%に入る論文数を見たようですね。12~14年の平均でみると、トップは米国の39.5%で中国、英国、ドイツ、フランスが続きます。日本は5%で、カナダ、イタリア、オーストラリア、スペインより下の10位でした。日本は02~04年にシェア7.2%で米英独に次ぐ4位で、その後は徐々に下がってきているそうです。

 この分析は事実なので良いんですが、対策が「若手研究者の雇用安定や企業の資金を大学などに呼び込む施策」というのには、うーんと首を傾げます。

 「若手研究者の雇用安定」に異議はないものの、国の施策で若手研究者が求められている以上に増えてしまったという加害者的なところがあります。また、彼らの雇用が不安定なのも、国の予算の問題があるでしょう。

 なので、これからは反省して改めます…というのなら良いのですが、「企業の資金を大学などに呼び込む施策」を訴えているところを見ると、国がやり方を改めるつもりはなく、民間資金を当てにしていそうな感じ。ダメそうですね…。


【本文中でリンクした投稿】
  ■日本人ノーベル賞受賞者は将来激減 既に中国に大敗の重要論文数
  ■日本の論文数 数十カ国の調査で他国がすべて増える中、唯一減少

【その他関連投稿】
  ■韓国のノーベル賞は将来も少ない…が、既に日本以上の重要論文数の分野も
  ■岸見一郎氏監修「嫌われる勇気」、日本アドラー心理学会が批判してドラマ放映中止まで要求
  ■自衛隊教官の「愚痴を言わない人ほど挫折」に科学的根拠はあるのか?
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  ■科学・疑似科学についての投稿まとめ

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