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京都工芸繊維大、森肇副学長が特許不正 別の教授は旅費不正の不祥事


 京都工芸繊維大で旅費不正受給という話がありました。これだけだと短いので検索して、岡山大学の通勤手当不正受給のニュースがあったのでいっしょに紹介。

 両大学ともに懲戒処分は停職となりました。これが甘いとは以前なら思わなかったものの、最近あった韓国人だから?金美景広島市立大准教授を逮捕 英国と偽って旅費を詐取容疑の件があり、扱いの差が気になるところです。(2017/3/25)

 その後、<いきなり懲戒解雇するやり方は「粛清」だ! 前副学長が大学提訴へ>、<京都工芸繊維大副学長の自己盗用、「問題なし」の可能性も>なども追記しました。

2023/10/19追記:
●京都工芸繊維大副学長の自己盗用、「問題なし」の可能性も
2023/11/26追記:
●自己盗用・二重投稿が疑われる副学長の論文、23本に増加か? 【NEW】


●京都工芸繊維大で教授が旅費を不正受給

2017/3/25:まず、最近立て続けに発表されている旅費の不正受給から。京都工芸繊維大の60代男性教授が、2006年4月から16年9月までに、学会参加などを名目に旅費計25件約108万円を不正受給していたことが判明しました。

 さらに後の調査で、同期間に68日の無断欠勤があったことや、08年11月から16年9月までに18件の無届け兼業があったことも新たにわかります。

 これによってくだされた処分は、停職6カ月。ただし、教授は3月末で依願退職するとのこと。また、不正な旅費は108万円でしたが、男性教授は無断欠勤に伴う給与の減額分を合わせて計約287万円を大学に返還しています。
(旅費不正受給の教授に停職処分 京都工繊大、無届け兼業も発覚 : 京都新聞 2017年03月24日 22時30分より)


●岡山大で教授が通勤手当を不正受給

 もう一つは旅費ではないものの、さらに金額が高い374万円もの通勤手当を不正に受給していた事件。このうち既に返納されたのは、174万円です。岡山大大学院自然科学研究科の50代男性教授(工学部系)が行ったものでした。

 教授は2011年から16年の5年8カ月間、学内の宿泊施設を月の半分以上利用していたのに、県外の自宅から公共交通機関で通勤したとして毎月5万5千円を受け取っていました。

 ありがちなパターンではあり、教授は「遠距離通勤が体力的にきつくなった。悪意はなく、通勤手当に対する認識が誤っていた」などと説明。金額は大きいものの、刑事告訴はしない方針で、停職10日の懲戒処分となったそうです。
(通勤手当374万円を不正受給 岡山大が男性教授を懲戒処分: 山陽新聞デジタル|さんデジ 2017年03月01日 21時37分 更新より)


●100万円以上の不正受給なのに処分甘い?

 で、韓国人だから?金美景広島市立大准教授を逮捕 英国と偽って旅費を詐取容疑の話です。このケースでは、詐取した疑いがあるのが34万4000円で逮捕されました。結局、不起訴となったものの、懲戒解雇処分となっています。

 一方、今回の件をまとめると、以下のような感じ。

京都工芸繊維大 旅費不正受給 108万円 → 停職6カ月
岡山大 通勤手当不正受給 374万円 → 停職10日

 また、同様のものでは、倫理学が専門の松葉祥一・神戸市看護大教授、研究費で欧州観光を楽しむの件もありました。こちらも逮捕はされていません。

神戸市看護大 旅費不正受給 92万円 → 処分不明

 逮捕だけですと、外国人ということで「海外への逃亡のおそれがあるから」と言い訳しそうでしたが、処分内容も大きく異なっており、それだけでは説明できません。差別があるのではないかと感じてしまいます。


●発明特許不正で森肇副学長が懲戒解雇、外部ベンチャーに利益流出か?

2019/09/14:京都工芸繊維大学での不祥事があったので追加。今回は「懲戒解雇」という厳しい処分でなおかつ「前副学長」の問題ということで、えらい大ごとになっていました。知的財産の責任者の立場を利用し、自身が設立したベンチャー企業に利益還元できるよう特許に関する不正行為を行ったとされており、不正も大掛かりなものであったようです。

 京都工芸繊維大によると、懲戒解雇されたのは、前副学長の森肇教授(60)。森教授による薬剤カプセルの技術について、森教授が設立したバイオベンチャー「プロテインクリスタル」(PCC)と大学が2007年、共同で特許を出願し認められました。

 ただ、森教授は無断で大学の持ち分25%をPCCに移し、15年に海外の企業にこの特許を独占使用させるライセンス契約を結びます。さらに、大学が単独で出願すると決定した森教授の別の発明について、2017年、大学を含めず森教授自身と海外企業などを出願人として出願し、大学は権利を失いました。

 森教授の発明を大学が単独で出願しようとしたところは妙な気がしますが、とりあえず、実際に起きたのは大学が権利を失うということ。大学側はこれらを不正行為としており、大学が受け取るべき特許使用料がベンチャー側に渡っていた可能性があるとしています。

 また、一連の行為を隠蔽するため事務局職員に指示を出すなどしており、計5件の不正が認定されました。一方、森教授は大学に対し「大学外での(研究による)発明だ」などと反論。大学側も刑事告訴を検討しているということで、今後続報があるかもしれません。
(特許巡り不正行為 前副学長を懲戒解雇 京都工芸繊維大 毎日新聞2019年9月12日 21時41分(最終更新 9月12日 22時29分)より)


●いきなり懲戒解雇するやり方は「粛清」だ! 前副学長が大学提訴へ

2019/09/20:すぐに続報が来ました。大学側より先に森肇・前副学長が動いたようです。まだ実際に裁判を起こしたわけではありませんが、近く大学側に解雇処分の取り消しを求める訴えを京都地裁に起こすと報じられています。

 いきなり懲戒解雇は「粛清だ」 元副学長が大学を提訴へ:朝日新聞デジタル(野中良祐 2019年9月20日00時00分)によると、元副学長は取材に対し、以下のようなことを言っていたとのこと。

「使用契約は大学の了解を得て進めていた。関連特許の申請も、大学が決裁を滞らせたため、やむなく出願人から外し、後から追加する予定だった」
「弁解の機会も不十分のまま、いきなり懲戒解雇するやり方は『粛清』だ」


●京都工芸繊維大副学長の自己盗用、「問題なし」の可能性も

2023/10/19追記:別件で、京都工芸繊維大副学長、論文5本に「自己盗用」の疑い 複数社が調査 | 毎日新聞(2023/10/17 17:00(最終更新 10/17 17:54))というニュースが出ています。

<京都工芸繊維大(京都市)の副学長が著者を務めた学術論文5本に、研究グループとして過去に発表した成果を適切に引用せず使い回す「自己盗用」があった疑いのあることが、毎日新聞の取材で判明した。論文を掲載した海外の複数の出版社編集部は調査を開始。副学長はこのうち1本について出版社に訂正を依頼したという。
 学術論文には新規性のある未発表の内容を盛り込むことが重視される。自身の研究成果であっても、過去に発表済みのものを適切な引用なく再び発表することは「自己盗用」や「二重投稿」と呼ばれ、研究業績の水増しにつながる不正行為とされている。>

 毎日新聞は研究者の協力を得て、論文の類似度をチェックするソフト「iThenticate(アイセンティケイト)」を使い、論文の内容の類似率を計測。例えば、類似率が60%に上る論文がありました。シュプリンガー・ネイチャーの目安では、20%以上なら「類似内容を注意して確認することを推奨」。それをはるかに超えています。

 副学長は取材に、学術誌側から指摘を受けた1つの論文については、「自グループの先行論文の引用をしないというミスをした。共著者として確認不足を反省している」と回答。ただ、4本については、学会が推奨する方法で投稿したなどと説明し、「不適切行為と認定されるような問題はない」と主張しています。

 ここらへん、副学長の主張が正しい可能性はありそう。一部、内部向けなど基準がゆるい学術誌があるためです。ただ、流れとしては厳しくなる方向性ではあります。大学や学術誌などで、先に基準を明確化しておかないと解釈・判定で揉める原因となりますので、まずルールをはっきりさせておいた方が良いでしょう。


●自己盗用・二重投稿が疑われる副学長の論文、23本に増加か?

2023/11/26追記:先月追記した件の続報。副学長の論文に「自己盗用」疑い 京都工繊大が調査委を設置 毎日新聞 2023/11/24 17:52(最終更新 11/24 18:08)によると、その後、京都工繊大を予備調査を行い、その上で正式に調査する方針を決定したそうです。

<京都工芸繊維大(京都市)の副学長が著者を務めた学術論文に、研究グループとして過去に発表した成果を適切に引用せず使い回した疑いがある問題で、同大が調査委員会を設置し、論文を調査する方針を決めたことが、大学への取材で判明した。>
<副学長が2000~20年度に著者を務めた複数の論文に「自己剽窃(ひょうせつ)(盗用)」などの疑いがあるとの内部告発が今年9~10月にあり、大学は規則に基づき不正行為が行われた可能性などに関する予備調査を実施。その結果、外部有識者が参加する調査委の設置を決めたという。>

 前回の記事の時点では、<副学長が著者を務めた学術論文5本に、研究グループとして過去に発表した成果を適切に引用せず使い回す「自己盗用」があった疑い>といったものでした。ただ、その後、疑惑の論文が増えたのか以下の部分で「23本」という数字が出ています。

<毎日新聞が入手した文書によると、副学長が参加する研究グループが20年間に発表した論文を研究者有志約10人が調査したところ、速報性を重視する「レター論文」や学会発表をまとめた「プロシーディングス」を含む23本は過去に発表済みの11本の論文から生み出されていたという。
 06年に国際学術誌に掲載された論文と、05年に日本の応用物理学会の学術誌に掲載された論文は「多少書き方を変えているが、(論文の)ストーリーも分析手法も共通で、最終的な結論も同じ」などと分析している>


【本文中でリンクした投稿】
  ■韓国人だから?金美景広島市立大准教授を逮捕 英国と偽って旅費を詐取容疑
  ■倫理学が専門の松葉祥一・神戸市看護大教授、研究費で欧州観光を楽しむ

【その他関連投稿】
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