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実は必要?Fランク大学の定義とFランク大学が存在する意義とは何か


 Fランク大学って必要なの?いらないんじゃない?という話がメイン。いろいろと理由が出てきたのですが、正直私は納得できるものは一つもありませんでした。

 また、Fランク大学とはそもそもどういう意味?という定義の話を最初にやります。


●Fランク大学はまず「講義の受け方」を学ぶところから

 こういう話はどこまで本当か?というのもあるのですが、デイリー新潮がFランク大学のトンデモエピソードを紹介していました。

 が、先にFランク大学の意味についての説明から。私も由来は知りませんでした。
授業中に殴り合い! 講義を受けるマナーを学ぶ…「Fランク大学」の実態
デイリー新潮 2017年1月30日 08時00分 (2017年2月1日 15時40分 更新)


 Fランク大学とは、入試の倍率が低く、不合格者が極端に少ないか、またはまったくいないため、偏差値を算出できない大学や学部を「Border Free」と分類したことに由来し、入試で名前さえ書けば入学できるような大学を揶揄するものとして定着した俗語である。

 上記の「分類した」の主語がなくて、誰がそう分類したのかがわからりませんね。ただ、たぶん予備校かなにかが偏差値を算出しようとしたら、できなかったってことだと思われます。

 その前で河合塾の偏差値の話が出ていたので、河合塾の分類かな。検索すると、河合塾は"河合塾が予想する合格可能性50%となるライン(偏差値帯または得点率)"を算出していることがわかりました。そして、これを「ボーダーライン」と呼んでいます。(偏差値 入試難易度について|大学進学情報のゴートゥースクール/河合塾グループ)

 おそらくこのボーダーラインを設定できないものを、「Free」としたのではないかと想像します。

 ちなみに、辞書をいくつか見たものの、「Border Free」という言葉は載っていませんでした。


●Fランク大学はまず「講義の受け方」を学ぶところから

 では、具体的なエピソードについて。受験情報に詳しいジャーナリストは、以下のように言っています。

「Fランク大学に多いのが、聞いただけではわけがわからない学部や科目名で、日本工業大学にも『大学での創造的学びⅠ』という科目があります。“学び方”を学ぶことが目的なのだそうで、授業で学ぶのは“ほかの学生とかかわる経験をしてみる”とか“周りを観察して状況を把握しようとする”といったこと。ため息が出ますね」

 記事では、「Fランク大学の“ユニーク”な授業は枚挙にいとまがない」という皮肉めいた書き方をしていましたが、例えば、河合塾「予想ランキング」では偏差値37・5である北海道の北翔大学の例が出ていました。

 北翔大学の生涯スポーツ学部の必修科目である「基礎教育セミナーⅠ」の到達目標に、以下のようなものがあります。

〈基礎学力の向上をめざすことができる〉
〈大学での講義を受けるために必要な知識・スキルを身に付けることができる〉
〈大学で講義を受ける基本的な姿勢やマナーを身に付けることができる〉

 何やらもっともらしいことを書いているものの、実際には"大学に入る前に身につけていて当然のことばかりだ"と記事ではバッサリ。

 "そもそも「講義を受けるマナー」など、小学校でおぼえておくことではないか"とも書いていたものの、関西地方のあるFランク大学の講師によれば、そんなことはないんだそうな…。

「授業中に殴りあいのケンカがはじまったことがありました。講義を受けるマナーを学ぶところからはじめないと、もはや授業にならないのです」

 ちなみに私、北海道出身なのですが、北翔大学という名前は初めて聞きました。少子化でも大学は増えていると言いますから比較的新しいのか、イメージを良くするために名称変更したのかもしれません。

 北翔大学 - Wikipediaを見てると江別市の学校。やはり何度か名前が変わっています。ただ、古い名前も結局知りませんでした。

1939年 北海道ドレスメーカー女学園創設
1963年 札幌市に北海道女子短期大学開学、被服科を開設
1997年 北海道女子大学開学
2000年 北海道浅井学園大学、北海道浅井学園大学短期大学部
2007年 北翔大学、北翔大学短期大学部に校名変更


●実は必要?Fランク大学が存在する意義とは何か

 デイリー新潮のFランク大学記事はこれ一つではなく、シリーズになっていました。意外なことに、その中にはFランク大学の意義を語るものもあります。バッシングしているだけではなかったのです。

「地方ではFランクと呼ばれるものでも、通える大学があることが重要なんです。経済状況が逼迫している地方の家庭では、自宅から通学可能な大学がなければ、そもそも大学進学など考えることもできません。たとえFランクでも、その気があれば高度な学習はできる。そこで抜きん出た成績をおさめ、きちんと就職すれば、ひとつのロールモデルにも、地域のための人材を育てる場にもなります」(日本大学文理学部教育学科教授の末冨芳氏、億単位の国費がつぎ込まれるFランク大学、その役割と未来は デイリー新潮 / 2017年2月1日 8時0分)

 ただ、これは賛同できません。大部分の学生がまともで一部に低レベルな学生がいるだけだから大学そのものは必要、という説明なら理解できるものの、その逆は正当化する理由になりません。

 また、上記の説明は地方に限った話ですから、大学の多い都市部でのFランク大学には適用できない話です。

 さらに別の理由もあったものの、これもまた賛成できる説明ではありませんでした。

「長い不況で、高卒の就職が困難な時代がつづいています。そんななかで、高校を出ても行き場のない若者を、いったん預かる場所がFランク大学になっている。言ってみれば、治安をある程度担保する役割をになっているんです」(受験情報に詳しいジャーナリスト)

 低レベル大学であっても大学に通った方がマシになるという話はわかります。ただ、それは「大学」である必要はないでしょう。本来「大学」と名乗っていけないレベルの大学を維持する理由にはなりません。


●Fランク大学に国から多額の補助金

 それから、元記事のタイトルになっていたように、こういう大学レベルではない大学に多額の税金が使われているというのも無視できません。

「問題は、そうこうしている間にも、Fランク大学に多額の税金がつぎ込まれていることです。教育は未来への投資だとはいえ、“漢字のおさらいをしている”大学生たちに血税をつぎ込んでいる現状は、釈然としません」(受験情報に詳しいジャーナリスト)

 記事によると、国が私立大学に交付している補助金は、年間3000億円以上。2015年度の「私立大学等経常費補助金」交付額で言うと、3174億2449万9000円です。

 私立大学はほとんどレベルが低いですが、一応、それなりの大学もあります。で、Fランク大学とされる大学は、実際にどれくらい貰っているか?と見ると、マジでかなりの金額をもらっていることに驚きを覚えます。
 そのうちFランク大学に交付された金額は、たとえば日本工業大学には4億5953万9000円、千葉商科大学には4億8044万2000円、北翔大学には2億5218万5000円にもおよぶ。これらの巨費で学生たちが学ぶのは、くどいようだが、be動詞や漢字なのである。

●大学のレベルにない大学は隔離を

 序列化を嫌う論者も多いのですが、私は大学のレベルにない大学は区別して良いのではないかと考えています。記事でも似たような話があり、こちらの方向性なら私も支持できます。
 教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏は、今後のFランク大学のあり方について、こう提言する。

「“勉強”とか“ペーパーテスト”という種目が苦手な人は、無理して大学に行かなくても、それぞれの能力を発揮できて尊敬されるような社会をつくることが大事だと思います。子どもたちを画一的な価値観のもとに押し込めば、必ず順位が生じる。そのとき最下層をばかにしたり、切り捨てたりしたところで、問題は解決しないと思います」

 まさに正論だろう。すでに文科省は職業教育をおこなうコースとして、専門職業大学なる新しいタイプの大学の設立をすすめている。

●Fランク大学の中の人が考えるFランク大学の意義

 ところで、似たようなタイトルの記事を最近読んだなと思いました。取り上げていなかったというのは、たぶんしっくり来ない記事だったのではないかと思うものの、検索して探し出しました。「Fランク大学」の存在意義はどこにあるのか 関田 真也 :東洋経済オンライン編集部 2016年04月28日というものでした。

 記事を読み直すと、タイトルに該当する話は最後にちょっとだけ。あと、私の記憶に残っていなかっただけで、ここで「ボーダーフリー」という言葉はここでも出ていましたわ。

"色々と言われていることは分かっているけれど、私はBF(ボーダーフリー)の大学こそ、日本の希望だと思っているんですよ。決して絶望して居直っているのではありません。私たちだからこそ、教えられることがあると思うのです。それは、「人の物差しで生きるな」ということ。いわゆる高偏差値の大学の学生では、社会の物差しから自由になれないし、なろうともしません。私たちは、Fランクですから、社会の尺度からは比較的自由。それは、この生きにくい社会での優位性だと、我々は考えてます。
 人の尺度で生きるのはやめて、自分の価値観を信じる。大学の教員として、それを支える側に立ちたい。私たちの大学の学生は、のんびりしすぎて心配な面もありますが、優しさに満ちています。その優しさこそ、今の日本社会にとって何よりも大切だと、私は信じているのです"(聖学院大学(埼玉県上尾市)の柴田武男教授)

 うーん、微妙な内容ですね。だから、取り上げなかったのか。

 当時どのように思ったか忘れたものの、今思ったのは、大学レベルにないのに「大学」であろうとするのが、まず社会の物差しから自由になれていないのでは?というもの。

 そもそも勉強が得意ではないにも関わらず、なぜこんなにみんな大学に行きたがっているか?と言うと、(実際にはそうではないのですが、)「大学に行けば何とかなる」という凝り固まった考えがあるためですよね?

 私は、「大学に行くだけが人生でない」という道も認める方が、ずっと自由だと考えます。


●日本は教育を重視していくべきだが、それは大学を安易に増やすとイコールではない

 これから日本が凋落する中で、その流れに少しでも抵抗するには、教育が今まで以上に大事だと考えています。ただ、それは大学のレベルを落とすという意味ではありません。名前だけの大学生を増やしても意味ないですからね。中身を良くしないと意味がありません。

 私はもともと大学に行かない人は行かないで良いと考えていましたし、教育レベルの底上げが必要とも考えていませんでした。

 ただ、底上げに関しては、疑似科学や偽医療の蔓延・詐欺の横行・捏造ニュースとトランプ人気などを見て考え直しました。上位だけでなく、全体のレベルを上げていく必要があります。私の考えが間違っていました。

 しかし、その底上げは、大学に偽装してまで学生を集めて、大学レベルではない授業をすることではないでしょう。これは既に私が懸念している「詐欺の横行」の一種になっています。むしろこういうのに騙されない人を作っていかなくちゃいけません。

 そして、それは大学でないとできないというものではないでしょうし、逆にもっと役割を明確化したものの方がはっきりして良いと思われます。


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