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『君の名は。』大ヒットの理由はスマホ中毒 岸博幸教授が珍説を披露 パクリ(オマージュ)についても指摘


 『君の名は。』と『ラ・ラ・ランド』の大ヒットの理由はスマホ中毒だと、岸博幸教授が珍説を披露していました。当然、「んなわけねーだろ」とツッコまれています。なお、岸博幸教授はパクリ(オマージュ)についても、両者の共通点だとした上に、監督が若いからだと分析していました。そして、こっちの主張もまた怪しそうなのです。

 その後、岸博幸教授関連で、<岸博幸教授は論文を1本も書いていない?問題を指摘する告発>、<珍説を唱える岸博幸・慶大大学院教授、内閣官房参与になってしまう>、<謎の首相擁護「改革できないのではない。官僚に負けてるだけ」>などを追記しました。

2023/01/28まとめ:
●謎の首相擁護「改革できないのではない。官僚に負けてるだけ」 【NEW】


●ヒットした『君の名は。』『ラ・ラ・ランド』の共通点は中身がないこと?

2017/4/7:岸博幸教授はいつもへんてこなことを書いているので読まないようにしていたのですが、いつも以上にへんてこ具合が突き抜けていそうな記事を発見。これは久しぶりに読んでみるべきではないか?と思い、ブックマークしていました。『ラ・ラ・ランド』『君の名は。』が大ヒットする社会の危うさ | 岸博幸の政策ウォッチ | ダイヤモンド・オンライン(岸 博幸:慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 2017.3.3)という記事です。

 で、読んでみると、期待を裏切らぬトンデモさで大満足。岸博幸教授は、『ラ・ラ・ランド』と『君の名は。』には2つの共通点があり、日本と米国の双方が同じ問題に直面していることを示しているように感じられる、とまず冒頭で問題提起。その共通点の一つは、中身の薄さであり、『君の名は。』は新海誠監督の世界観や映像の美しさで大ヒットした一方で、じっくり観て考えるというより、気楽に観て気持ちよく感じるという要素の方が大きかった、としています。

 もう一方の『ラ・ラ・ランド』も観た人の感想を聞くと、同じように「映像が綺麗だった」という感想が目立ち、ストーリーは二の次、というかストーリーの感想はあまりなかった、とのこと。ただ、上記の言い方でわかるように、岸博幸教授は『ラ・ラ・ランド』を直接観たわけではなさそうで、この時点で異議が出ていました。

“(略)俺の「ラ・ラ・ランド」観と真逆なんですけど。あなた本当に「ラ・ラ・ランド」見て言ってるか?って疑いたくなる。見てたらこんな「物語二の次の映像だけの映画」みたいな話にゃならんぞ。”(toshi20 2017/03/03)
(はてなブックマーク - 『ラ・ラ・ランド』『君の名は。』が大ヒットする社会の危うさ | 岸博幸の政策ウォッチ | ダイヤモンド・オンライン | ダイヤモンド社より)


●『君の名は。』大ヒットの理由はスマホ中毒 岸博幸教授が珍説を披露

 ここまででも既に十分トンデモなのに、さらに飛躍するのがこの後。日米で同じような作りの映画が大ヒットした理由は、スマホ中毒で、コンテンツを気楽に受け身で流し読みするのが当たり前となったせいだとしていました。無論、データ的な根拠は何一つありません。はてなブックマーク人気コメントの反応もさんざんでした。

“偏差値40にもわかるように書くのと、自分が偏差値40になるのは違うぞ。”(whkr 2017/03/03)
“年取った人がよく「世間では高く評価されてるけど俺は理解できない!これは最近流行ってる新しいメディアの悪影響のせいだ!」って言い出すけどさ、自分も若い頃上の世代から同じことを言われたのを忘れてんのかね?”(wdnsdy 2017/03/03)
“何でスマホなのか言ってることがよく分からないんだけど、これもスマホのせいかナー”(kaeru-no-tsura 2017/03/03)
“本日の電波系記事。ちょっとすごいぞ、これは……。“『ラ・ラ・ランド』と『君の名は。』のヒットが示しているのは、スマホの使い過ぎの弊害が出始めているということではないでしょうか””(FUKAMACHI 2017/03/03)

 なお、以下は岸博幸教授の説を否定せずに、「スマホがなかったから新海監督の今までの作品はヒットしなかった」と、むしろ補強する材料にはなっています。ただ、前述の通り、もともと岸教授の説が根拠薄弱なのですから、これで逆転できるわけじゃないんですけど…。

“「ほしのこえ」「秒速5メートル」の頃にはスマホなんて存在してなくて劇中にはガラケーが出てくるので、安易にスマホと結び付けられるのは迷惑だと憤りたくなる古参新海監督ファン。”(Fuetaro 2017/03/03)


●両作品のパクリ(オマージュ)という共通点も岸博幸教授は指摘

 ヒットした理由とは書かれていなかったものの、もう一つのふたつの作品の共通点はパクリ(オマージュ)だと岸博幸教授はしていました。『君の名は。』には、過去の名作アニメや映画を彷彿とさせるシーンがいくつか見られることを指摘。アニメ業界の関係者に聞いたところ、「新海監督はパクリとも言えることを悪いとは思っていない」としていました。

 また、『ラ・ラ・ランド』も同様に、往年の名作ミュージカルを彷彿とさせる描写が散りばめられていると分析。そして、両作品の監督が44歳、32歳という年齢であることから、著作権に関する意識の明確な変化が出ていると主張していました。

 はてなブックマークの人気コメントでは、スマホ中毒にばかり目が行って批判されていたものの、こっちの主張もかなり怪しいような気がします。オマージュという技法は古くから伝統的にあるものですから、こっちも強引じゃないですかね。ベスト10の人気コメントではなかったものの、やはりはてなブックマークでもチラホラ批判がありました。

“なんだこの浅っい考察は。っていうか映画におけるオマージュは映画ファンがニヤリとするところだろ。タランティーノとか知らないのかメディアデザイン研究科教授は。”
“このオマージュの解釈でタランティーノ作品みたらどうなるんだろw”
“オマージュなんて昔からで、戦争映画なら地獄の黙示録のワルキューレ騎行とかフルメタル・ジャケットのハートマン軍曹とか死ぬほどその対象になっているのに何言っているのだと思う"


●ダウンロード刑罰化に賛成、岸博幸教授はネット規制派として有名だった

 なお、岸博幸教授は、著作権保護のためにもっと規制を!と、うるさい人ですので、こういった強引な話の持って行き方をしたのだと思われます。違法ダウンロード刑罰化も賛成していた人でした。(関連:違法ダウンロード刑罰化の賛成理由(岸博幸))

 ただ、その著作権絶対保護派だった岸博幸教授が、以下のように著作権保護を一部であっても緩くすることに理解を示していたのは、正直意外でした。最近、考え方が軟化したのでしょうか?

<もちろんデジタルの時代といえども著作権の保護が必要なのは当然であり、かついまだに導入が主張される“日本版フェアユース規定”(ネット上での複製を自由にする)などは論外であるものの、保護の度合いの見直しは不可欠ではないでしょうか>

 というか、上記の「日本版フェアユース」=「ネット上での複製を自由にする」という理解は、大丈夫なんですかね? 岸教授が自分の都合の良いように解釈して、「日本版フェアユースは悪だ」とミスリードしているかもしれません。それ以前の強引な解釈を見てわかるように、岸教授の話って何から何まで疑ってかからないと危ないんですよ…。


●岸博幸教授は論文を1本も書いていない?問題を指摘する告発

2020/05/17:岸博幸教授で検索していると、主役じゃなくて脇役なのですが、慶応義塾への第2公開質問状:阿部重夫主筆ブログ:FACTA online(2012年7月 6日)で、教授にふさわしくない教授のひとりとしてお名前が出ているのを発見しました。慶應義塾大学のIT系教授陣の問題を告発する文章です。

<中村伊知哉(大学院メディアデザイン研究科)教授の盟友の菊池尚人(同研究科)准教授も、DMC途絶後もずっと「KMD准教授」とし続けていた>
<この件は一准教授の経歴詐称より重いものにつながっています。慶應の教員採用の実態と、産業界や官界との癒着です。特に竹中平蔵氏などがかかわっている情報通信業界です>
<キム氏に研究実績がないとの指摘がありまたが、中村伊知哉教授、岸博幸教授などのKMD組にも、霞が関経験はあるものの学術論文など一本もありません。国領二郎総合政策学部長兼教授も著名なので、みんなたいそうな学者だと思い込んでいますが、研究実績は非常に乏しい>
<こうした人たちはIT業界と深くつながり、かつ、総務省や経産省ともつながっています。岸教授はエイベックスの社外取締役で、中村教授はミクシィの社外取締役、その他、いろいろなビジネス系の役職を兼務しています>
<こういう人たちが、「慶應大学教授」という肩書きで政府系の役職に就いて、教員の数倍の報酬をビジネスで稼いでいる>


●告発が問題視したのは、慶應義塾大・政府・ITメディア企業の癒着

 学術論文がないとのことでしたが、岸博幸 - Wikipediaでは、「論文」のところに<「ポップカルチャーと安全保障」 Project-P、2003年>というものだけ記載がありました。ただし、普通の研究論文であるような特定できる情報がない上にリンクもなく、どのようなところに掲載されたか不明です。

 一応「Project-P」が学術誌である可能性を考えて、「Project-P」というワードで検索してみました。ただ、同名の別の話ばかり出てきます。「Project-P 論文」で検索しても、やはりそれらしきものはヒットせず。ちゃんとした学術誌に載った論文なのかどうかはよくわかりませんでした。

 あと、最初のときに書いていませんでしたが、上記にあったように岸博幸教授は元官僚で、竹中平蔵さんといっしょに仕事をしたことがあり、その後も政府系の仕事をよくやっていたという人。最近は政府批判も行っているようでどうしちゃったの?と思うのですが、無理のある安倍政権擁護を盛んに行っていた時期があり(この2つ下にまとめ)、基本的には親自民党だと思われます。

 また、書籍を見ていて、幻冬舎から2冊出しているところも気になったところ。幻冬舎見城徹がすごい理由 安倍首相やバーニング周防郁雄と友達だからでやっているように、幻冬舎の見城徹さんはエイベックスとも安倍首相とも繋がりがあるんですよ。ここらへんの人たちは仲良しさんが多いみたいですね。

 それから、スマホ叩きの話題に関して言うと、最近あった香川県ゲーム規制条例、賛成したのは誰?ネット工作コメント疑惑ものことも思い出しました。この条例は当初はスマホ規制も視野に入れられていましたし、賛成派には政府に近い人や組織が多かったというのもあります。


●珍説を唱える岸博幸・慶大大学院教授、内閣官房参与になってしまう

2021/07/18:最近、政府批判もやっているらしいと書いていたのですが、内閣官房参与に岸博幸・慶大大学院教授 経済など担当:朝日新聞デジタル(2021年7月9日 16時02分)によると、岸博幸・慶応大大学院教授は2021年7月9日に、内閣官房参与にを起用されました。以下のように官僚を辞めた後も繋がりはちょこちょこあったようです。

<岸氏は1986年に通商産業省(現経済産業省)に入省。竹中平蔵・元内閣府特命担当大臣の秘書官などを経て退官後、民間企業の役員や内閣府国家戦略特区ワーキンググループ委員などを歴任した。菅義偉首相とは6月26日に公邸で面会している>

 新型コロナウイルスの感染状況や五輪開催をめぐり、ツイッターで「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」などと投稿したことが問題となって辞職した高橋洋一・嘉悦大教授の代わりで経済担当です。高橋洋一さんの方がより露骨に自民党に近いのですが、ともに元官僚仲間の会に参加するなど、ちょくちょく2人いっしょに名前が出ることがありますね。

 また、竹中平蔵・元内閣府特命担当大臣の秘書官という話があったように、こちらもポイント。竹中平蔵さんもまた菅首相と面会する間柄です。竹中平蔵さんも慶應義塾大学なので、政府とのコネが強い大学なのかもしれません。ちなみに、首相との面会の直前には自分の会社(パソナ)が大儲けする五輪に反対する人たちに対して「世論が間違ってます」などとさんざんに叩いて話題になっており、こちらは高橋洋一さんと似た感じでした。


●謎の首相擁護「改革できないのではない。官僚に負けてるだけ」

2023/01/28まとめ:岸博幸教授関連ということで、<海外の「改革できない首相安倍晋三」評価に反論 官僚に負けているだけ>というタイトルで投稿していた話をこちらにまとめました。2つ上で安倍政権を擁護していた時期があると書いていたように、そのときのものですね。

2014/1/16:岸博幸教授が<安倍政権は「改革できない政権」か?>という記事を書いていて、岸博幸教授の立場からすると安倍晋三首相の擁護だろうなと思ったらやはりそうでした。その内容は後述しますが、海外で「改革できない首相安倍晋三」という烙印を押されていることについて、先に補足しておきます。

 例えば、ウォール・ストリート・ジャーナルの<【オピニオン】安倍首相は改革者にあらず―成長戦略は古い自民党の手法 - WSJ.com>(2013年 10月 16日 15:40 By TOBIAS HARRIS)という記事では、以下のようにボロクソに書いていました。「どうせ左翼マスコミだろう!」と思うかもしれませんが、ここは右派マスコミです。

<安倍首相はときにリベラルな改革者を装ってきた。(中略)ところが安倍首相は、自民党を設立して第2次世界大戦後に日本を再建した国家統制主義者のような(中略)統治を目指していることがますます明確になっている。経済が成長している限りは、構造改革など必要ないと安倍首相は考えているようだ>

 以下の批判部分は、まさにウォール・ストリート・ジャーナルが「右派」であるがゆえの批判ですね。「安倍首相が左すぎる」という批判なんですよ。自民党支持者はすぐ野党を「左翼!」と批判するのですが、実を言うと、自民党の政策は海外から見て「左すぎる」としばしば言われています。

 ここらへんはどの部分を見るか?の違いでしょう。日本の右派・自民党支持者は、戦前の美化や韓国・中国叩きや左翼叩きといったところで自分たちを「右派」と考えますが、海外は経済政策などを重視。私も経済政策なんかだと右派に近い考えのために、自民党はどうでもいいところばかり右派なのに一番大事な部分で右派じゃない!と思います。

<安倍首相はこうして自民党の起源に立ち返っている。安倍首相の祖父、岸信介氏を含む自民党の創設者たちは、経済成長を促進しながら、利益を幅広く再分配するために国家権力を使った強大な集票組織を作り上げた。ゴルバチョフ元ソビエト大統領が言ったとされる皮肉の通り、自民党は世界で最も成功した社会主義国に50年間にわたって君臨したのである。
 再生した自民党はかつての自民党と同じではないが、安倍首相は自民党の黄金時代と同様に、国が中心となった経済協調策を取り入れている。今年初めに導入された財政刺激策と最近発表された来年の消費増税の衝撃を緩和するための公共投資計画を通じ、安倍首相は土建国家の名残である建設業界にばらまきを行ってきた。(中略)
 安倍首相は日本の将来に対する自らの構想を喜んで披露している。しかし、その古臭い経済ガバナンスは、日本の資本主義がどう機能すべきかについて具体的に考えていないという実体を隠している。(中略)
 日本は流動性がより高い労働市場に移行すべきなのだろうか。だとすれば、労働者を競争市場に対応させるため、また、失敗した場合にセーフティネットを提供するため、どうすればいいのだろうか。その概要が94ページに及ぶ成長戦略にもかかわらず――あるいはだからこそなのか――安倍政権はこうした疑問やその他の根本的な疑問に取り組むどころか、既存の制度を下手にいじり回しているという感じを受ける>
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304134704579138684231800094.html?dsk=y

 もう一つ雑誌エコノミスト(The Economist)という記事も紹介。こちらもどちらかというと、リベラルではなく保守派な雑誌。ただ、エコノミストは安倍首相に対してもっとこっぴどく叩いている記事が多い印象なので、エコノミストにしてはむしろおとなしい内容です。安倍首相を評価しないことには変わりありませんけどね。

・安倍改革の歩みはのろい:日経ビジネスオンライン 2013年11月21日(木)
<最近では、外国人投資家が「アベノミクス」について言及する場合、単に思い切った金融政策のことを指すようになっている。だが、安倍首相は日本再生計画の第3の柱、すなわち成長戦略についても約束した。成長戦略の要となるのは野心的な経済の構造改革だ。日本再生計画が打ち出された時に投資家を鼓舞したのは、まさにこの構造改革への期待感だった。 (中略)
 だが農業以外の分野における規制緩和の歩みは遅い。インターネット大手・楽天の三木谷浩史社長は11月6日、構造改革に関する安倍首相の諮問委員会の1つ、産業競争力会議の民間議員を辞任する意向を示した(編集注:三木谷氏は11月18日、辞意を撤回した)。重要な医療改革に対して安倍首相が姿勢を後退させていることに失望したとしている。(中略)
 こうした展開は安倍首相の力量や内閣に対する指導力を疑問視させる。今や各大臣や既得権益層に支持された自民党の議員たちが、直接、改革反対に回る有様だ。(中略)
 中でも微妙な問題は、労働市場に対する大幅な改革だ。(中略)この改革は、農業の劇的な変化以上に大きな影響を経済に与える可能性がある。なぜなら、農業はGDP(国内総生産)のわずか1%超を占めるにすぎないからだ。(中略)
 だが、結局のところ戦略特区は、労働規則の抜本的な変化をもたらすことにはならない。(中略)アベノミクスを概ね好意的に見ているモルガン・スタンレーのエコノミスト、ロバート・フェルドマン氏は、特区構想は「悪くないが、素晴らしいというわけでもない」と語る。 (中略)
 今のところ、改革に関しては政治的にかつてないほどの追い風が吹いているし、与党は衆参両院で過半数を手にしている。安倍首相はもっと多くのことを成し遂げられていてもよかったはずだ>
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20131120/256089/?rt=nocnt


 さて、ここからがやっと岸博幸教授の話。岸博幸教授が首相擁護を書いた直接的な理由は、上記の記事を見てというわけではなさそうでした。<安倍政権は「改革できない政権」か?>(岸博幸のクリエイティブ国富論|ダイヤモンド・オンライン 2013年11月29日)によると、以下のようないきさつです。

<今月は米国のヘッジファンドの人たちが大勢日本に来ましたが、彼らと面談すると異口同音に同じ質問をされました。それは、「安倍政権には改革はできないのか?」、「安倍政権は改革する気はないのか?」という質問です>
http://diamond.jp/articles/-/45228

 最初にネタばらししたように岸博幸教授の狙いは安倍首相擁護です。ただ、岸博幸教授も"今国会に提出されている法案を見るとそう思われても仕方ありません"、"改革から逆行している"と認めています。しかも、この後も全然擁護になっておらず、むしろ安倍首相批判ではないか?という内容が続出していたんですよ。

 以下に載せたのは、安倍政権で出している法案などについて、岸博幸教授が問題があることを認めたものざっとまとめたものです。岸博幸教授は前述のエコノミストで及第点を挙げていた農政改革ですらまやかしだとしており、ここだけ読むとむしろアンチ自民党の先頭を走るような内容。ボロクソな評価でした。


1.国家公務員制度改革法案
→幹部公務員の身分保障が残されて、単に新しい局長ポストが増えるだけで改革していない。

2.薬事法改正法案
→例外の28品目については民間有識者の専門家会合で明示的な結論となっていないにも拘らずネット販売を禁止し、更に処方薬については民間有識者による検討もせずに勝手に省令で決められていたネット販売禁止を法律に格上げしており、むしろ今までより後退。

3.産業競争力強化法案
→民間への過剰介入。経産省が過去に作った法律の焼き直しで、実際には何の効果もない。

(3の補足)賃上げ要請と実施しない企業の社名を公表
→民間の需給が適正かを政府が判断し、政府の言うことを聞かない企業の社名を公表するなんて、とても自由主義経済の国とは思えない。経産省は“国家資本主義”を超えて“国家社会主義”を目指していると思われても仕方ない。

4.タクシー規制強化法案
→政府がタクシーの需給を管理するもの。3と同様に民間への過剰介入。

5.会社法改正法案
→経団連の強い反対などにより、社外取締役の設置の義務化が見送られる。

(補足)農水省の減反廃止
→事実上減反は継続で廃止になっていない。


  「民間への過剰介入」「“国家資本主義”を超えて“国家社会主義”」「規制緩和に逆行」といった批判になってっているところが多いですね。これは先程のウォール・ストリート・ジャーナルの批判と通じるもので、「安倍政権の政策が左翼的すぎて全然右派じゃない」といったものです。

 このようにめちゃくちゃ辛い評価つけてどう擁護するのか?と言うと、"担当の閣僚の力不足"や"経済財政諮問会議がまったく機能していない"せいで、"既得権益擁護や過剰介入に傾く官僚を抑えられていない"からだとのこと。そして、"官邸の安倍首相や菅官房長官の改革姿勢は変わっていません"と書いていて、笑ってしまいました。

 以前も書いている通り、一閣僚が首相や官房長官の援護が受けられず孤軍奮闘せざるを得ないというのならこの論理でもわかりますけど、政権の要である総理大臣と官房長官が積極的なのにちっとも改革できないというのは言い訳になりません。これはお二人が無能だと言っているに等しく、むしろけなした内容です。

 百歩譲って閣僚が力不足であったとしても、大体にして力不足の担当の閣僚を選んだのは、安倍晋三首相でしょう?という話。同様に責任転嫁された経済財政諮問会議のメンバーにも官邸が関わっています。どこをどう辿っても安倍首相や安倍政権の責任であって、擁護は無理がありすぎです。

 ただ、安倍首相は「わかっていてやっている」と私は思いますけどね。「改革できない」のではなく「改革しない」、もしくは、初めから大して改革する気がないから実現していないのです。ただ、そうなると期待した安倍晋三首相に裏切られた…ということになるので、岸博幸教授はそれもまた認めたくないのでしょう。


【本文中でリンクした投稿】
  ■幻冬舎見城徹がすごい理由 安倍首相やバーニング周防郁雄と友達だから
  ■違法ダウンロード刑罰化の賛成理由(岸博幸)
  ■香川県ゲーム規制条例、賛成したのは誰?ネット工作コメント疑惑も

【その他関連投稿】
  ■スタジオジブリ、実は読み間違いで正解はギブリ 由来はGhibliで「サハラ砂漠からの熱く乾いた風」などの意味
  ■かぐや姫の物語を批判も、本当は高畑勲監督に恋している宮崎駿監督
  ■文化・芸術・宗教・海外との比較についての投稿まとめ

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