日本の家事の男女分担は、女性の負担が極端に多くなっています。これは今まで主に欧米との比較で言われてきましたが、アジアなどと比較しても日本の女性への偏りは際立っており、世界でただ一国日本だけ異常といった状態です。この理由として、「男性の所得が高いから」という説があるようです。これに関わる記事を今回読みました。
2017/4/25:
●日本の家事の男女分担、女性の負担が多いのは男性の所得が高いから?
●日本人男性の家事参加率の低さ、アジアでも異常 韓国と似てる?
●海外の場合、妻の方が所得が高い家庭はそれほど珍しくない!
●日本の家事の男女分担、女性の負担が多いのは男性の所得が高いから?
2017/4/25:男性の所得が高いというのは女性との比較でという話ですので、男女の所得格差が大きいとも言えます。これ自体も本当なら問題なのですが、その話は今回本題じゃないので置いておきます。
私が今回見たのは、統計データ分析家の本川 裕さんが、所得の男女差と、家事の負担の偏りについて、図にしていたもの。これを見ると、男女の所得格差と家事の負担の偏りとの関係はある程度見られたものの、それだけでは説明できない場合が多くなっていました。
どうも大きく分けて、欧米とそれ以外で家事の負担に関する考え方が異なるみたいなんですね。なので、日本の家事分担が女性に極端に偏っているのは、非欧米的な文化と男女の所得格差の二つの合わせ技のようです。
(
日本の夫婦の「稼ぎと家事」の分担は世界で最も特異だ | 本川裕の社会実情データ・エッセイ | ダイヤモンド・オンライン | ダイヤモンド社より)
●日本人男性の家事参加率の低さ、アジアでも異常 韓国と似てる?
以上が全体の内容ですが、この話は細部もおもしろいです。既に最初に書いているように、日本は特別な国のようで、アジア諸国が、日本と同様に「主に妻」の割合が高いかというとそうでもないということが、ISSP調査を見るとわかります。
私は男女平等ランキングでいつも中国が悪くないことを不思議に思っていました。ただ、データで客観的に見ると、事実、日本とは異なるところがあるようです。例えば、2012年の「そうじ」を主に妻が分担している割合は、日本8割・中国7割、「料理」の場合は、日本9割・中国7割と、日本の方が多くなっています。
また、いつも言っているように、韓国は日本と似ていることが多く、今回もそうなりました。最初に書いた文化的な側面があるというのは、ここからもわかります。ただし、それでも韓国は日本よりは低くなっていました。例えば、韓国のそうじは7割、料理8割5分といった感じで、日本の8割・9割よりは低くなっています。
調査は6分野において行われていますが、日本が41カ国の中でトップであるのが、料理・買い物・病気の世話と3つもあります。三冠王です。それだけでなく、それ以外の3分野でも日本は強い(?)です。洗濯が8位であったものの、41カ国の中ですから十分トップレベルでしたし、他二つはそうじ3位・修繕2位という世界一を狙えるレベルです。
なお、この修繕というのは「自宅での簡単な修理」となっており、むしろ男の仕事というイメージがあるものでしょう。実際日本でも「女性の方が多い」というのは2割程度にすぎず大体男性がこなしている仕事なのですが、多くの国が1割を切っているために、それでも世界的には女性に任せている男性が多い国になっているのです。
●海外の場合、妻の方が所得が高い家庭はそれほど珍しくない!
非欧米的な文化と男女の所得格差の二つの合わせ技と書いたように、日本では男性の所得が妻より多い割合が高いという理由もあります。というか、実は私が今回一番驚いたのが、そもそも
日本以外の国では、妻の方が所得が高い家庭がそれほど珍しくないということでした。
もちろん他の国にも男性の方が所得が高い場合の方が多いです。海外でも女性の方が多い家庭が多数派ってことはありません。しかし、「男性の所得が妻より多い割合」を見ると、調査対象の41カ国のうち実に38カ国が50~75%の間に収まっています。つまり、
25~50%の家庭では、女性の方が所得が高いというわけです。本当、驚きでした。
具体的に日本はどれくらいかというと、グラフを見た感じ、88%くらいでしょうか。ほぼ9割の家庭で、男性の所得が妻より多くなっています。また、先程の「女性が家事を主にやる夫婦の割合」を同様に読み取ると、65%くらいになっていました。
トルコも38カ国に入らなかった特殊な国で、「男性の所得が妻より多い割合」はかなり日本に近い87%くらいです。ただ、欧米型のために「女性が家事を主にやる夫婦の割合」は52~53%くらいと大きな差が出ています。なので、トルコより非欧米型とされていた韓国やチェコ・ロシア・スロバキアなどの方が、「女性が家事を主にやる夫婦の割合」が上になっていました。
例外の3カ国、最後の一つはオーストリアですが、75%ラインに乗っかる感じでほぼ大多数の国と同じといって良いレベル。さらに欧米型でもあるために、「女性が家事を主にやる夫婦の割合」は50%を切っており、特に高くはありません。
妻の方が高収入…が珍しくないというのが、今回最も驚いたものだったのですが、昔どこかで、妻の方が給与が高いのが辛くて仕方ない夫の話を紹介したことがあったと思います。海外ではそこらへんどうなっているのかというのも気になるところです。ただ、そもそもこういう劣等感を抱かなくちゃいけない社会というのは、男性差別的だということも強調しておきます。女性だけでなく、男性も被害者なんですよ。
家事の女性への偏りの是正・男女の所得格差是正・男性が多く稼がなくちゃいけないという偏見の是正、これらはセットで行うことが望ましいと思われます。
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