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グーグルがやめたフェルミ推定を今さらやる日本 電柱は何本ある?東京にマンホールは何個ある?といった質問の無意味さ


 「電柱は何本ある?」みたいな「フェルミ推定」の他、「論理パズル」「ブレインティーザー」「ケース面接」などのキーワードが出てきます。ただ、大体似たような狙いで、なおかつ全部採用としては意味ないよ…というお話です。

 でも、その意味がないとわかってグーグルがやめているものを、周回遅れで日本企業が面接に使い出しているという情けない話になっていました…。


●面接のフェルミ推定「電柱は何本ある?」「東京にマンホールは何個ある?」

 記事で出ていたフェルミ推定の例は、「日本に電柱は何本あると思う?」という質問。この手の質問で同様に有名なのは、「東京にマンホールは何個ある?」というもので、これら2つだけでで何となく雰囲気がわかると思います。

 このフェルミ推定について、採用支援サイト・ワンキャリアのKEN(ペンネーム)編集長は、以下のように説明しています。

「フェルミ推定とは、手持ちの情報が何もない状態で、『コンビニの1日の売り上げ』など、とらえどころのない数字をいくつかの手がかりをもとに論理的に概算すること」

 こんなことをやって何が意味があるのでしょう?という話。ただ、私は意図が理解できるものだとは思っていました。本当に能力が必要とされるのは、既に正解があるわかりきった問題ではなく、前例のない新しい問題です。その場合に、何とかして問題を解決していく…という問題解決姿勢を見たいのだと考えていました。

 この他に「ケース面接」というのも記事では出ていました。ケース面接は、「どうやってコンビニの売り上げを伸ばすか」など、経営やマーケティングの視点、あるいは発想が試されるもの。学生が出した答えに対して、面接官が「あなたはこう言ったけれど、その数字は実際はもっと少ないのでは」などと質問しながら議論し、合否を決めるのだそうです。

 記事で出ていたPwCコンサルティング人事部の金子賢典シニアマネージャーは、ケース面接について「正解ではなく考えるプロセス」を重視していると説明。コンサルの仕事の基本だから。無理な難題をいわれたときに、あきらめずに自分の力で考えることができるか、実現可能な提案か、考え方が面白いかなども見ている」としていました。
(「日本に電柱何本ある?」 難関入社面接のなぜ  :日本経済新聞(夏目祐介、松本千恵)より)

●グーグルがやめた無意味なフェルミ推定を今さらやる日本

 記事によると、外資系コンサルティング会社などでは「フェルミ推定」や「ケース面接」といった採用手法が以前から取り入れられていたが、最近は「日系の大手もこの方法を取り入れ始めている」とのこと。今になって広がってきているんですね。

 でも、これ、無意味なんじゃないかと思います。フェルミ推定に関して言えば、「グーグルがやっている」という枕詞がお決まりだった時期がありましたが、今はもうグーグルもやっていないはずです。

 で、記事を読む前に検索してグーグルに関しての別記事を用意したのですが、今回の記事でも後半で出てきて拍子抜け。グーグル日本法人から「かつてフェルミ推定やケース面接を取り入れていたこともあったが、入社後のパフォーマンスに直結しないだろうと判断してやめた」という話を聞き出していました。

 私がグーグルがやっていないであろうと予想したのは、過去の投稿で面接で長所を聞く企業はバカ?グーグルの採用がすごいのは面接内容というより科学的であることなどをやっているためです。

 そこでも書きましたし、今回の「入社後のパフォーマンスに直結しないだろうと判断してやめた」でもわかるのですが、グーグルの採用がすごいのは面接内容ではなく、面接内容と採用後のパフォーマンスを分析して、面接内容の効果を計測していることです。

 多くの会社は、そのときどきで面接の質問が違うなど効果を後から計測できないばかりか、そもそも採用方法の効果をはかるという発想すらないでしょう。あまりにも浅はかです。

 しかも、他がやって効果がないとわかったことを今頃やり出すというのが、またアホすぎて涙が出そうです。どうしてこんなんなっているんでしょうね?

 日経新聞の記事も、この話を載せておきながら最後に、「難関面接と敬遠せずに、自分の就活準備に取り入れてみたらどうだろう」となぜか勧めていました。


●グーグルがたどり着いた答えはIQ重視

 これで終わっても良いのですが、もともと用意していたグーグルのフェルミ推定否定の別記事も紹介しましょう。全文表示 | 「地頭力」試すのは時間の無駄だった グーグル人事責任者、衝撃の告白 : J-CAST会社ウォッチ(2013/7/ 3 11:20)という記事でした。

 この記事では、フェルミ推定問題だけでなく、論理パズルを含めて「ブレインティーザー」と呼んでいました。日本でも、ネットから答えを拾ってくる「コピペ全盛」の現代において、考える力を養う大切さを訴えるものとして、大いにもてはやされていたそうです。

 ところが、これらについて、米ニューヨークタイムズ(NYT)紙のインタビューで、グーグルで人事担当の上級副社長を務めるラズロ・ボックさんが、以下のように告白しています。

「飛行機の中にゴルフボールをいくつ詰め込めるか、マンハッタンに給油所は何か所あるか。完全に時間の無駄。こんな質問では何の予測もできない」
「この種の質問を解き明かす力と、将来業務で発揮できる能力やIQとの関連性に疑問が生じた」

 なお、この結果について「最初から意味ないと思っていた」と勝ち誇っても、あまり意味はないですよ。論理的あるいはデータ的な根拠を持って否定しないで、当てずっぽうで当たっただけでは、たまたま馬券が当たったようなもので再現性はありません。たまたま馬券を当てた人が、優れた人ってわけではありませんよね?

 また、「地頭」なんて言葉が出てきていたのですけど、いわゆる「頭が良い」人が役に立たないというのも誤解。

 私がグーグルが今はフェルミ推定をやっていないだろうと予想した理由の一つには、IQ重視のテストを現在採用しているのを知っていたというのもありました。ラズロ・ボックさんの発言でも「IQとの関連性に疑問が生じた」というのがあって、IQは重視していることを示唆していますよね。

 IQは入社後の仕事の出来不出来と関係することが、研究でわかっているのです。これは、仕事ができる人がわかるのはどれ? 字の上手い下手・IQ・面接などなどでやった話でした。

 こういう採用方法に意味があるんじゃないか?と、新しいものを考え出すこと自体は、必ずしも悪とは言えません。しかし、繰り返すように最も大事なのはその採用方法の効果を計測し、見直ししていくことです。これは採用に限らないビジネスの基本だと思われます。


【本文中でリンクした投稿】
  ■面接で長所を聞く企業はバカ?グーグルの採用がすごいのは面接内容というより科学的であること
  ■仕事ができる人がわかるのはどれ? 字の上手い下手・IQ・面接など

【その他関連投稿】
  ■営業はIQが高い人は向かない?余計成績が悪いという研究がある 他の仕事では関係ない能力が営業では必要
  ■普通の面接は無意味だった 就職後の業績がわかるのは構造化面接
  ■適材適所は夢か幻想か?IQの高い人は大体何でもできるという研究の残酷性
  ■他社を早く内定辞退しない就活生はなぜ人として終わっているのか?
  ■ビジネス・仕事・就活・経済についての投稿まとめ

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