私も勘違いしていましたが、改憲賛成派によってよく言われている日本国憲法はアメリカの押し付け憲法…という主張にはだいぶ無理があるのでは?という話。実は当時の多くの政治家が賛成票を投じて、憲法改正案が可決されていたためです。反対は少数派でした。
2023/09/07:
一部見直し
●日本国憲法はアメリカの押し付け憲法…は嘘 圧倒的多数で可決
2017/5/3:ビッグレッドファームグループという競馬の生産牧場などのグループの広報誌であるOur Pleasure 2013年9月号を読んでいたら、全く競馬と関係なさそうな日本国憲法の話が出てきてたまげました。メインとなる話は、表現の自由に関するものだったのですけど、冒頭のある部分が一番気にかかりました。以下のようなものです。
他人事ではない憲法改正論 ─ 競馬メディアの「表現の自由」も危機に ─
古谷コンシェルジュの競馬観 古谷剛彦 Our Pleasure 2013年9月号
<そもそも、吉田茂首相のもと
421 票の賛成多数で日本国憲法を成立させた政党の流れをくむのが、のちの自民党である(反対8 票は共産党と少数右派)のに、「アメリカの押し付け憲法」と、憲法の成り立ちを根本から誤解している。安倍首相のアジア諸国に対する歴史認識が問われている状況で、自国の近代史も認識不足の状況下で憲法改正を主張するのは全くナンセンスである。
ちょっと上記もわかりづらい書き方かもしれません。自民党のご先祖の政党である日本自由党(その後、民主自由党・自由党を経て自由民主党になる)が421票の賛成を入れたわけではなく、吉田茂首相の率いた与党が中心となって成立させたという意味でしょうね。
ただ、これだけ圧倒的な票差で成立させたとは知りませんでした。念の為に
日本国憲法 - Wikipedia(最終更新 2015年11月25日 (水) 12:16)で確かめてみましょう。やはり賛成421票、反対8票の圧倒的多数で可決していたようです。
<(引用者注:1946年)6月8日、枢密院の本会議は、天皇臨席の下、第二読会以下を省略して直ちに憲法改正案の採決に入り、美濃部達吉・顧問官を除く起立者多数で可決した。
これを受けて政府は、6月20日、大日本帝国憲法73条の憲法改正手続に従い、憲法改正案を衆議院に提出した。衆議院は6月25日から審議を開始し、8月24日、若干の修正を加えて[53]圧倒的多数(投票総数429票、
賛成421票、反対8票[54][55])で可決した>
「反対は許されなかった」といった反論も考えれますが、反対している人も中にはいますので、反対が許されていなかったわけではないようです。Wikipediaでは、全員の名前を挙げていました。共産党が中心でしたが、古谷剛彦さんが少数右派としたように、他にもいました。
日本共産党 柄沢とし子、志賀義雄、高倉輝、徳田球一、中西伊之助、野坂参三
新政会 穂積七郎
無所属クラブ 細迫兼光
●自民党の先祖・日本自由党が第一党だった
一方、421票の内訳は、当時の選挙結果がある程度参考になりそうです。実は自民党のベースとなった日本自由党は、このとき過半数を取っていません。なので、日本自由党だけの力で憲法改正案を成立させたわけではありませんけど、前述の通り、中心となっていたのは間違いないようです。
政党名 議席数
日本自由党 141(4)
日本進歩党 94(6)
日本社会党 93(8)
日本協同党 14(0)
日本共産党 5(1)
諸派 38(11)
無所属 81(9)
合計 466(39)
※()内の数字は女性
第22回衆議院議員総選挙 - Wikipediaより
●日本国民の評判も悪くなかった日本国憲法
当時の日本国民はあんまり憲法の支持・不支持は考えずに、第22回衆議院議員総選挙の投票をしたらしいです。ただ、選挙前の感触によると、憲法改正案についても好評だったとのこと。「国民の支持がない憲法」と言うことも無理そうでした。(再び最初のWikipediaから)
<翌3月6日、日本政府は「3月5日案」の字句を整理した「憲法改正草案要綱」(「3月6日案」[48])を発表し、マッカーサーも直ちにこれを支持・了承する声明を発表した。日本国民は、翌7日の新聞各紙で「3月6日案」の内容を知ることとなった。国民にとっては突然の発表であり、またその内容が予想外に「急進的」であったことから衝撃を受けたものの、
おおむね好評であった。[49][50]>
マッカーサー草案がベースであり、当時はアメリカの影響が大きかったのは事実ですが、日本の政治家も国民も強く反対したなんてことはなかったため、「アメリカに押しつけられた」ってのは確かにかなり無理がある言い方かもしれませんね。また、特に自由党の立ち位置を考えると、「自民党、お前が言うな」というのもわからないでもありません。
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