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信じていたら恥ずかしい…男性脳・女性脳診断は大嘘 違いはあるがごくわずか


 「信じていたら恥ずかしい」とタイトルにつけちゃいましたけど、我々が単純な結論を導き出したがるという傾向があるのは否定できず、今まで信じていたとしても特別劣った人間だというわけではありません。

 ただ、男性脳・女性脳診断みたいなものがいかにデタラメかという話は知っておいてほしいと思います。



●右脳人間・左脳人間など…脳に関する逸話は間違いだらけ

 "脳にかかわる世間の関心は強く、さまざまなことが語られる"と言います。ただし、それが正しいとは限りません。2009年、OECD(経済協力開発機構)が公表して、有名になった「神経神話」“Neuromyths”には、以下のような間違って広まった「神話」の例が挙げられていました。

「人間の脳は全体の10%しか使っていない」
「右脳人間・左脳人間が存在する」
「脳に重要なすべては3歳までに決定される」
「男性の脳と女性の脳は違う」
(「男脳」「女脳」のウソはなぜ、拡散するのか (2ページ目):日経ビジネスオンライン 川端 裕人 2017年3月25日より)

 最後の「男性の脳と女性の脳は違う」が今回の話。「脳に重要なすべては3歳までに決定される」は、直接やっていないものの、似たものでしたらいくつか書いていると思います。

 一方、「人間の脳は全体の10%しか使っていない」「右脳人間・左脳人間が存在する」は、メインで扱ったことがあるものでした。

  ■脳は10%しか使っていない,右脳が芸術,左脳が論理的という迷信
  ■右脳派・左脳派なんかそもそも存在しないので、利き脳診断は大嘘


●信じていたら恥ずかしい…男性脳・女性脳診断は大嘘 違いはあるがごくわずか

 東京大学大学院総合文化研究科の四本裕子准教授によれば、男女の脳の違いとして語られる「男性の方が左右の脳の連携がよくない」という説には元ネタがあるそうです。1982年に『サイエンス』誌で発表された論文でした。

C DeLacoste-Utamsing, RL Holloway (1982) Sexual dimorphism in the human corpus callosum Science 1982;216:1431-2.

 ただし、この論文のデータは男性9人、女性5人からしかとっていませんでした。これは、サイエンス=科学というレベルじゃなく、自由研究レベルです。サイエンス誌がこのような低レベルの論文を掲載したというのは信じられませんが、血液型診断の祖・古川竹二の論文が予想以上にひどい 根拠以前の問題と似たような感じになっていました。

 一方、四本裕子准教授は、性別によって差があることまでは否定していません。実際、そのような実験がありますし、男性と女性の学力差 TOEICで大差、数学・科学・読解力で苦手なのは?で見たように、学力差も見られますので、差があることは間違いないと思われます。

 しかし、勘違いしちゃいけないのは、その差の大きさ。ごくわずかしか違わないんですよ。学力で言えば、女性の方が男性よりはっきりと読解力が高いことがわかっているものの、それ以上に個人の差の方が大きいです。

 1VS1で比較した場合、女性より男性が勉強ができるというケースはいくらでもあります。何を当たり前を…という話なのですが、実は皆さんこれに引っかかってしまい、「女性は~だからあの人は~」という、適用できない理論を当てはめてしまうのです。

 もう少しわかりやすくなるように、違う言い方をしてみましょうか。例えば、男性の国語のテストの平均点が55点で、女性の平均点が60点だったとします。これは男女で差が出ているように見えます。

 ただ、このことを元にして、Aくんは男の子なので女の子より点数が低い、Bちゃんは女の子なので男の子より点数が高いとは言えないという話。個人差の方がずっと大きいのです。

 やっぱり何を当たり前のことを…という話なのですけど、こういうことを普段言ってしまっているというのが現実なんですね。



●普通の研究発表がいつの間にか男女差のデマになる

 四本裕子准教授によれば、fMRI装置をスキャンしてみても、この部分が男女で形態的に違うみたいなことは見つからないと言います。ただし、「脳内部でのつながりの強さ」には、差があるとのこと。「パターンの違いを学習したAIに分類させると、約92%の精度で男女を見分けることができ」ます。

 ところが、「こういった組み合わせで何が言える」というわけではなく、このことによって具体的にどのような差になっているかまではわかりません。しかも、これもやはり結局、前述の通り、個人差の方がずっと大きいだろうという話になります。

 また、パターンで見分けられる程度の差という意味では、おそらく20代の人と30代の人、というふうに比べてもやっぱり差は出るだろうとのこと。「脳内部でのつながりの強さに男女で差があるから~」という、皆さんが好きなズバッとした形にはならないのです。

 しかし、そうならない研究でも、単純な話にしたがるというのが我々の習性。『PNAS(米国科学アカデミー紀要)』の論文のプレスリリースが出てネットに広まったとき、以下のように言われました。

「女性はマルチタスクにすぐれていて、男性は難しい課題に集中することができる。だから女性は家にいて家事をやるのが得意で、男性は外で仕事をするのがいいということがわかり、報告された」

 ところが、実際の論文は、fMRIを使った脳研究で、脳の中のネットワークが、女性は半球“間”のつながりがやや強くて、男性は半球“内”のつながりが強い傾向があるというだけ。どうも話が広まるうちに、捏造されてしまったようなのです。

 この記事は、"「男脳」「女脳」のウソはなぜ、拡散するのか"というタイトルでしたが、内容とは合っておらず、なぜ拡散するのかも書いていませんし、解決策も書いていませんでした。

 とりあえず、我々にこのようなことをしでかしてしまう習性があると、まず認めるべきだと思います。全体タイトルに「信じていたら恥ずかしい」と入れちゃったのですが、批判したからと言って、解決する問題じゃありませんからね。

 それを踏まえて対策をとるとすれば、研究結果から発展するであろうデマの形をあらかじめ予想し、プレスリリースなどのときにしつこいほど「~のような単純なことは言えない」と強調しておくことかな?と思います。

 ただ、最近の研究の発表は、華々しく成果を強調する傾向が強まっており、わざわざ研究者あるいは研究機関の成果を小さく見せるような発表はしたくないだろうなぁとも思います。研究者の側にも問題がないとは言えないでしょう。


【本文中でリンクした投稿】
  ■脳は10%しか使っていない,右脳が芸術,左脳が論理的という迷信
  ■右脳派・左脳派なんかそもそも存在しないので、利き脳診断は大嘘
  ■血液型診断の祖・古川竹二の論文が予想以上にひどい 根拠以前の問題
  ■男性と女性の学力差 TOEICで大差、数学・科学・読解力で苦手なのは?

【その他関連投稿】
  ■男性脳・女性脳のデマ 男性は女性より脳が大きくIQも高い…は疑わしい研究
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