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中国日本インドのGDP統計捏造不正 産経新聞や日銀の指摘とは?


 GDPの捏造疑惑の話をまとめて投稿。もともと書きたかったのはインドの話だけでしたが、日本人の関心が高い中国の捏造疑惑を紹介。また、日本でも統計の不確かさを指摘する声があり、あの産経新聞も懸念を示していたなどの話も載せていました。ただ、その後、疑惑では済まない確定的な統計不正が多数判明しています。

冒頭に追記
2021/12/29追記:
●数字が大きく減るから…GDPに関わる統計を政府職員が自ら改ざん 【NEW】


●数字が大きく減るから…GDPに関わる統計を政府職員が自ら改ざん

2021/12/29追記:あれだけ多数統計不正があったのに、また日本で統計不正がありました。前回同様にGDPにも関わるものです。これまた前回と同じように、統計法に違反する可能性もあるとのこと。建設統計、19年以前の分は廃棄 GDPへの影響検証、困難に | 共同通信(2021/12/15 21:32 (JST)12/15 21:43 (JST)updated)などの記事が出ていました。

<建設業者の受注に関する国の統計調査を国土交通省が書き換えていた問題で、2019年以前の調査票を同省が廃棄したことが15日、分かった。保管期限の2年間を過ぎたためで、同省は「再集計は困難」と説明している。国内総生産(GDP)の算出などに与えた影響の検証は難しくなった。書き換えは毎月、数百から千件程度あった>

 今回の件で特に悪質性が高いと言えるのが、以前は国土交通省が都道府県の担当者に指示して改ざんさせていたということ。さらにこの問題を指摘された後は、なんと国土交通省が自ら数値を改ざんしていたということも悪質。政府側が捏造を指示した、あるいは、捏造の実行犯であった…というちょっと信じられないことになっています。

<建設業の受注実態を表す国の基幹統計を国土交通省が書き換えていた問題で、同省が2020年1月までに会計検査院の調査を受けたため、データの回収を担う都道府県に書き換え作業をやめさせ、同省本省の職員が自ら書き換えを行っていたことがわかった>
<同省は、回収を担う都道府県の担当者に指示し、遅くとも10年代前半から書き換え作業を行わせていた>
<複数の国交省関係者によると、こうした都道府県での作業について、検査院が20年1月までに気づき、問題視して調査を進めていた。それを受けて同省は同月、都道府県に対し書き換え作業をやめるよう指示した。ただ、書き換え自体はその時点ではやめず、今年3月までの1年超は本省職員がデータの書き換え作業を行っていた。
 同省建設経済統計調査室は取材に、検査院の指摘で問題だと認識した後も、本省側で書き換えをしていたことを認めた>
(国交省職員、検査院の指摘後は自ら統計書き換え 自治体には中止指示 [国交省の統計書き換え問題]:朝日新聞デジタルより)

 なお、国土交通省は「(当時の担当者は受注実績が)いきなり大きく減ると、数字に大きな影響が出ると思ったのではないか」などとよくわからない説明をしています。「大きく減る」となるとGDPにも影響が出た可能性が高いでしょう。つまり、自公政権に有利な処理がされたと言えるわけですが、廃棄済みで検証不可能となっていました。


●有名な中国のGDP捏造疑惑 政府は対策で処罰も多数

2017/5/24:GDPの捏造疑惑で最も有名なのは中国でしょう。『中国GDPの大嘘』の大嘘 内容は著作権侵害で高橋洋一教授は素人、講談社が認めるは、その中国GDP捏造批判の本が盗作だったというオチがついたものでしたが、よく中国のGDPが捏造だと言われていること自体は本当です。

 中国GDP捏造を訴える多くの人の主張とは異なり、統計の不確かさに関しては、意外なことに中国政府も気にしています。信頼回復に躍起 監視を新組織で 毎日新聞2017年4月28日 20時36分(最終更新 4月29日 00時14分)は、そういう記事でした。

 これによると、中国国家統計局は4月20日、統計データの監督、取り締まりに当たる専門組織「統計執法監督局」を新設。そして、寧吉哲局長は発足式で「統計の偽造、ごまかしは処罰し、データの真実性、正確性を確保していく」と述べています。統計を是正したい考えです。

 中国のGDPがデタラメだと言う人も言っていることですが、中国では地方政府の問題があります。地方政府の経済成績が幹部、官僚のその後の昇進に影響するとされているため、実態より内容を良く見せかけて中央に報告する行為が後を絶たないのです。

 これに関しては既に処罰が行われており、"昨年1年間に統計データをめぐる違法行為に問われたのは九つの省や自治区で計15件、1件当たり10人以上が処罰された"とのこと。

 もちろん記事では、"中央政府の意向でデータが操作されているとの疑惑も根強い"ことにも言及。"16年の実質成長率が1~3月から3四半期連続で6.7%と同じ伸びとなった際も、「あり得ない」と海外からの批判が渦巻いた"と書いていました。


●中国だけじゃないGDPの捏造疑惑、インドでも疑惑の発表

 ただ、こういった統計の不確かさは、中国だけの問題とも言えません。何かと中国と共通点が多いインドでも、同様の問題がありました。 インド与党筋も「疑念」、誰がための7%成長か 2017/3/4 5:30 日本経済新聞 電子版 (ニューデリー=黒沼勇史)によると、実質成長率が前年同期比で7%になったとし、6%台前半への減速を織り込んでいた市場予想を覆し、多くの疑惑の声が出ていたそうです。

 実際、中身を見てもおかしなところがありました。個人消費は、10~12月期に10%増となり、7~9月期(5%増)から2倍に加速。モディ政権下では初めての2桁増であり、ここだけ見ると絶好調という数字。ところが、10~12月期の消費はミクロ統計で見ると、絶好調どころではありません。10~12月期の方が良い消費関連データを探すのは難しく、どれを見ても下がっている状態。これは怪しいと言わざるを得ません。

 また、10~12月期にモディ政権は、紙幣廃止を実施していました。流通紙幣の86%に相当する高額2紙幣が突然無効になり、現金決済が7~8割を占めるインド経済は混乱。少額決済の多い個人消費が最も影響を受けた…はずなのに、GDP統計では逆に個人消費が2倍に加速したというのです。

 日雇い労働者は仕事を失い、小売業者は売り上げが半減し、食料を買う現金にも事欠いた中で、統計だけは絶好調と言われても納得できないでしょう。おかしすぎます。

 経済に詳しい与党関係者の中には、「10~12月期は成長率がマイナスになってもおかしくないと考えていた」という人すらいます。「10~12月期の成長率は良すぎて真実たり得ない」「この統計に関し疑念が湧いている」としていました。与党内ですら疑惑を持たれるほどのひどさです。


●意外!産経新聞が「信認損なう恐れ」と日本のGDPについて指摘

 もともと書きたかったのは上記のインドの話だけだったのですが、インドは興味持たれないだろうということで日本人に好評な中国の話とセットにしました。さらに日本の話も少しということで、検索して見つけた避けられない「超インフレと預金封鎖への道」 日本のGDPは捏造されている | マネーボイス(2016年4月10日 『カレイドスコープのメルマガ』)というものを。

 2015年11月16日に内閣府が発表した2015年7~9月期の実質GDP速報値では、前期(4~6月期)比でマイナス0.2%、年率換算ではマイナス0.8%でした。前期の4~6月期では、年率換算でマイナス0.7%でしたから、さらに下がっているという格好。ところが、同じ年の12月8日に発表された実質GDPの改定値では、前期比プラス0.3%、年率換算ではプラス1.0%と大幅上方修正。こちらも怪しいことになっています。

 意外なことに、安倍政権大好き!の産経新聞すらこのことを問題視。「GDP改定値が、年率換算で、それまでのマイナス0.8%からプラス1.0%に上方修正された謎」について、「推計精度で大きな“ぶれ” 信認損なう恐れも」と書いていていたそうです。

 そして、これとそっくり同じことが、次の発表でも起きました。2016年2月15日発表の2015年10~12月期の実質GDPの速報値が、「実質GDPが前期(7~9月期)と比べてマイナス0.4%減、年率換算ではマイナス1.4%」。これが3月8日発表の2015年10~12月期の実質GDPの改定値では、前期(7~9月期)と比べてマイナス0.3%、年率換算ではマイナス1.1%に上方修正されたのです。

 ここまでは事実でしょう。ただ、その後の"二度にわたる上方修正は、かつてなかったことです。官邸からの圧力によって、内閣府がGDPを捏造している疑いは深まるばかり"というのは憶測であり、特に根拠がありません。中国の逆転以来報じられない日本と中国の名目GDPの比較と推移で追記したように、日本でもめちゃくちゃな統計があるは事実ですが、GDPまで疑うにはもっと証拠が必要だと思われます。


●日銀が政府が発表するGDPに疑念、元データの提供を迫る

2018/11/24:政府統計、信頼に揺らぎ GDPなど日銀が不信感  :日本経済新聞(2018/11/13 1:30 中村結)という記事がありました。この記事について、ツイッターで「日本のGDPが実際より低い疑いがあるが、財務省がデータ提供を拒否している」といった解釈をしている人がいました。天然なのか、安倍政権のために捏造しているのか知りませんが、これは何一つ正しくありません。実際には、以下のような内容でした。

・国内総生産(GDP)など基幹統計の信頼性に日銀が不信を募らせ、独自に算出しようと元データの提供を迫っている。
・内閣府は「業務負担が大きい」などと反論し、日銀に一部のデータを提供しただけ。

 日銀は一時「もっと日本のGDPは伸びている」と主張して、政府のGDPを攻撃していました。なので、私も記事タイトルを見た時点で、政府のGDPが小さすぎるという主張なのかと思ったら逆。以下のように、どうもGDP水増しの方向性を疑っているようです。安倍政権ではこの手の話が多いですね。

・厚生労働省が毎月まとめる賃金に関する統計では、2018年1月に統計手法を変えたところ前年同月比の伸び率が跳ね上がった。専門家から異議が噴出し、賃金データを基にまとめる内閣府の報酬統計も実際に修正することになった。
・日銀は早くから厚労省統計の賃金の異常な伸び率に着目し、7月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)では統計方法変更の影響を除いた数字を採用。
・日銀の関根敏隆調査統計局長は「消費増税前後の成長率の振れは内閣府の発表より小さかった」などとする検証結果も示している。 (これはひょっとしたら消費税増税の負の影響はもっと少ないって主張かも)


●インドのGDP成長率は捏造されてる?政府の元・首席経済顧問が指摘

2019/11/25:インド関係での追記。インド経済成長率7%は「水増し」との衝撃暴露 |ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト(2019年7月26日(金)19時15分 K.S.ベンカタチャラム)という記事が出ていました。

 記事によると、14年には米誌フォーブスが、そして15年にはIMFが、経済成長率でインドは中国を上回るとの予測を出していました。これは当然でしょう。インドはまだこれから伸びるという国で、中国は一番伸びる時期はすでに終わっています。将来的には、米中印の3カ国が世界の中心になると言われています。

 ところが、インドは苦戦しているとのこと。グーンと伸びるのは将来の話とは言え、インドが伸びる・伸びる言い続けてきた私としてもこれは予想外。失業率は過去40年で最悪の6.1%だといいます。マジでひどいですね。16年の高額紙幣廃止がまずかったというのは以前書きましたが、この他に17年の拙速な物品・サービス税(GST)導入も引き金だとされていました。

 ただ、ここに追記する話ですのでメインは「捏造」。かつてインド政府の首席経済顧問も務めていた米ハーバード大学のアルビンド・スブラマニアン客員講師の報告によれば、11年度から16年度までのGDP成長率(政府発表の推定値)は2.5ポイントほど「水増し」されていた疑いがあるといいます。

 スブラマニアン客員講師は報告書に、今回の数値は「最終的な結論」ではないと明記。もちろん政府も反論し否定していました。確定ではありません。とはいえ、インド経済は高い失業率、農業の危機、製造業の落ち込み、輸出の停滞と輸入の増加、個人消費が縮小という「捏造」に説得力を与える状況。かつて政府の要職にあった人物が疑問を投げ掛けたというのもインパクトがあります。


●GDPや給与に関わる勤労統計、東京都が偽装隠蔽してたことが判明

2019/01/09:厚生労働省が公表している現金給与総額や変化率などの「毎月勤労統計」は、従業員500人以上の事業所はすべて調べなくてはいけないことになっています。ところが、東京都分は3分の1ほどしか実施していませんでした。別記事によると、バレないように偽装していたようです。
(勤労統計、全数調査怠る 都内実施は約3分の1 厚労省:朝日新聞デジタル(2018年12月28日15時00分)より)

 これは非常に重要な数値。調査結果は国の経済規模を示す国内総生産(GDP)の算出などにも使われており、GDPの信頼性が揺らぐ恐れがあるためです。特に東京都の大企業のデータなんかは、日本で最も重要なもの。大きく動く可能性もあるでしょう。


●勤労統計、調査対象入れ替えで大きく上昇 捏造か?

 「毎月勤労統計調査」は、これの前にも問題が指摘されていたものでした。2018年に入って調査対象を見直したところ、統計上の所得が高めに出ていることが西日本新聞の取材で判明。調査対象となる事業所群を新たな手法で入れ替えるなどした結果、従業員に支払われる現金給与総額の前年比増加率が大きすぎる状態が続いています。

 調査対象の入れ替えとならなかった事業所だけで集計した「参考値」の前年比増加率は、公式統計を大きく下回る月が目立っています。数字が良くなるように見せかけるために入れ替えたと、疑われても仕方がないでしょう。

 大和総研の小林俊介さんは「統計ほど賃金は増えていないと考えられ、統計の信頼性を疑わざるを得ない。報道や世論もミスリードしかねない」と指摘。また、手法見直し前は誤差が補正調整されていたことに触れ「大きな誤差がある以上、今回も補正調整すべきだ」とも。以前はやっていた補正をわざわざやめてしまったようです。
(統計所得、過大に上昇 政府の手法変更が影響 専門家からは批判も|【西日本新聞】 2018年09月12日 06時00分より)

 しかし、この時点でも担当者は「補正や手法見直しは考えていない」としていました。かなりヤバイ国です。


●第三者委員会の調査がひどすぎ…実際には身内が調査・上司が同席など

2019/01/29:第三者委員会の調査は、良くない調査であることが多いです。ただ、厚生労働省「毎月勤労統計」不正調査の第三者委員会の調査は、特にひどいですね。民間でもちょっと聞いたことのないというひどさ。政府が一番ひどいってあり得ませんわ。

 まず、めちゃくちゃだと思ったのが、第三者委員会の調査だと言いながら、実際には身内が調査したものが含まれていたこと。この問題が判明したのは、衆参厚労委員会の閉会中審査で。野党の追及で「身内」による聞き取りや、報告書の素案を厚労省が作っていたことがわかりました。また野党が仕事してくれましたね。
(統計不正、異例の調査やり直し 「身内」批判高まり判断:朝日新聞デジタル 森田岳穂 2019年1月25日20時19分より)

 さらに、企業などが設けた第三者委員会の調査に詳しい久保利英明弁護士は「これでよく第三者による調査だと言えたなと思う。ここまで第三者委員会の体をなしていないものは珍しい」と厳しく批判。多くの問題を指摘していました。

・「誰が誰に対して何時間くらい聞き取りを行い、どんな方法で聞いたかが重要だが、それがほとんど報告書に書かれていない」
・「問題に関与した人数も多く不正が行われた期間も長いので調査には最低でも2~3か月かかるはずで、調査期間があまりに短すぎる」
・幹部などへの聞き取り調査に厚生労働省の官房長が同席していたことについて、「独立性や中立性を保って聞き取りを行うことが第三者委員会の目的のはずなのに、そこに調べられる可能性がある人がいることは本末転倒で大問題」。
・一部の職員に電話やメールだけで聞き取りを終えていたことについて、「電話やメールで聞き取りをする場合、本人が回答していることを確実に確認をして担保する必要がある。(中略)時間がないから電話やメールで済ませるというのでは、まじめに調査する意欲があるのか疑いたくなる」
(「これでよく第三者の調査と言えた」弁護士 不適切統計問題 | NHKニュース 2019年1月28日 22時50分より)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190128/k10011794691000.html?utm_int=all_side_ranking-social_002

 こちらの話で考えられないと思ったのが、上司である官房長が同席していたこと。上司が睨みを利かせている中では、正直な回答ができないことが簡単に予想できるため、絶対に考えられないやり方。日本政府は常に予想を超えて、考えられないひどいことをやってきますね。呆れました。

 さらにその後読んだニュースによると、そもそも調査結果の原案を厚生労働省が作成していたことが判明。久保利英明弁護士は「第三者による調査は対象組織の人にタッチさせないのが基本だ」とした上で、「調査結果の原案をどうするかは最も大事なポイントで、これを役所が行っているようでは第三者の調査とは言えない」と指摘していました。今の委員会メンバーはもう完全にダメなんでしょうね。
(統計不正 第三者委の調査結果 原案は厚労省が作成2019年1月29日 4時34分 NHKより)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190129/k10011794711000.html


●日本の重要統計4割に間違い・法律違反の疑い

2019/02/05:ここからその後判明したひどい話。 「毎月勤労統計」をめぐる厚生労働省の不正調査問題をうけ、政府が56ある基幹統計が適正に調査されているか点検した結果、4割(39%)にあたる22統計に計31件の間違いなど何らかの問題があったことが判明。しかも、間違いのあった統計のほとんどにあたる21統計(38%)には、統計法違反に該当する可能性がある間違いがあったとのこと。政府が違法行為をしまくり…ってめちゃくちゃです。

 例えば、国土交通省の「建設工事統計」では、施工高などを「百万円単位」で書くべきところ、「万円単位」で記入したため、公表した全体の値が実態よりも大きくなるなどしていました。17年度の施工高は15・2兆円としていたものの、実際には13・6兆円。前年度比伸び率は大きく伸びる14・9%としていたものの、現実には2・5%に過ぎませんでした。相当ひどいですね、これ。民間の決算発表でこれやったら、大騒ぎですよ。
(政府基幹統計、4割の22統計に間違い 抽出方法など:朝日新聞デジタル 別宮潤一 2019年1月24日17時36分より)

 あまりにも間違いが多すぎるので、はてなブックマークでは、「この集計も間違ってるかもしれん」(nt46)というコメントが1番人気に。おもしろいコメントですけど、「立法も行政もあやふやなデータに基づいて雰囲気でやってるってことでしょ。そりゃ日本が没落するはずだよ」(sika2)が2番人気になっていたように、笑えません。


●不正の責任者を異動させておいて「現職ではないから国会招致できない」…隠蔽か?

 私は研究不正や企業の不祥事において、不正などが生じたことはもちろん問題であるがより重要なのは事後対応だと、口を酸っぱくして言っています。そういう意味では、先の厚労省の不正調査は最悪でした。さらに政府の事後対応の悪さが出ていたのが、国会招致問題です。

 不正調査問題をめぐり更迭された大西康之前政策統括官について、野党側が衆院予算委員会への招致を求めたものの、「現職ではない」との理由で政府参考人として与党側が拒否したのです。
(更迭の厚労省局長級、与党が招致を拒否「現職でない」:朝日新聞デジタル 2019年2月4日09時24分より)

 はてなブックマークで、「現職でなくしたのはお前らじゃん。問題起こしたら異動させれば追及できなくなるのはおかしいだろ」(hate_flag)などの声が出ていたように、これは隠蔽工作と見られて仕方ありません。

el-condor これモリカケと同じじゃないか。こういう言い訳が立つ人事異動をしておいてこう。ということは政府が探られたくないポイントもモリカケと同じ、つまり統計不正にもガッツリ官邸が噛んでいる、という理解でよろしいかPgm48p
Pgm48p 厚労省の息のかかってない第三者委による再調査を政府が拒否、現局長でないという理由で国会招致も与党が拒否、となると真相解明は絶望的。政府与党が不正の追及を阻害する動機に焦点を移さざるを得なくなる
shironeko_t あれだけ野党から「こういうことをするなよ」と釘を刺されてもやり通すこの面の厚さ。国民は本気で舐められてる
Ayrtonism はあ? 依願退職したんならともかく、今も現役の官僚ではあるんだろ。当時のことを聞くのに他の誰が適任なんだよ。こんなの、ただのズルじゃねえか。
kumanomiii 何がなんでも関係者に証言させたくないという強い意思を感じるんですけど何ででしょうね。


●中江元哉前首相秘書官がやってた!賃金伸び率を上げる部分入れ替えの提案

2019/02/22:安倍政権は、統計不正問題の解明に協力的でなく、むしろ隠蔽する方向性。痛くもない腹を探られるのが嫌であれば、積極的に疑惑を解明した方が良いのにそうしていません。これでは、安倍政権が統計不正に密接に関わっており、それを隠しているように見えてしまいます。過去にも森友学園・加計学園問題など多くの問題で見られたものです。

 ただ、統計不正問題に限って言えば、安倍政権中枢が関与しているわけではないのではないかと私は考えていました。前述の通り、調査を邪魔するのは悪手であるものの、野党のやることになんでも反対しているだけで、深い考えはないんじゃないかという予想です。

 ところが、この問題でも安倍政権中枢が濃厚に関わった可能性が浮上してきてびっくり。中江元哉前首相秘書官(現財務省関税局長)は衆院予算委員会で、厚生労働省が設置した「毎月勤労統計の改善に関する検討会」をめぐり、2015年9月14日にに議論の内容について報告を受けていたことを大筋で認めました。従来の答弁は虚偽答弁だった模様。

 また、勤労統計の中規模事業所の定期的な総入れ替えについて、部分入れ替えを提案したということに対して、「専門的な検討を進めてもらったら良いのでは、と申し上げたかもしれない」としています。本来の方法である総入れ替えは賃金伸び率が下がることが多いとされており、賃金を良く見せる方向性の入れ替えの仕方を提案したということになります。

 さらに決定的なのが、根本匠厚労相の答弁。「委員以外の関係者から『部分入れ替え方式を検討すべきではないか』との意見があったと、阿部座長に連絡した」として、この関係者について「中江氏のことだと思われる」と語りました。
(中江氏、答弁を事実上修正=調査手法変更に意見か-統計不正、「官邸関与」めぐり:時事ドットコム 2019年02月20日20時17分より)


●面会当日深夜に有識者検討会の案を勝手に改ざん どう考えても圧力のせい

 はてなブックマークでは、この提案は違法行為の提案ではないかという声も出ています。

vanbraam 調査手法(総入れ替え)は法令で決まってる事なのでは?それを変えるには法改正等が必要なのでは?その手続きなしに調査手法を変えるのは違法なのでは?首相秘書官が官僚に違法行為を教唆するのは極めて重大な犯罪では?

 また、関係者らは圧力ではないと否定するでしょうが、立場上、首相秘書官の提案は強い圧力になります。民間で考えてみればよくわかりますけど、社長の側近がわざわざ提案してきていることを無視なんてできないでしょう。

 この面会があった2015年9月14日当日の深夜に、厚生労働省が有識者検討会の中間的整理案の「現在の総入れ替え方式が適当」という文言を、「引き続き検討する」と書き換えたことも判明しています。何もないのに、たまたま提案があったのと同じ日の深夜に、有識者の検討会で作られた文面を、勝手に改ざんするということは起きません。圧力のせいとしか考えようがないでしょう。
(厚労省、面会当日書き換え 勤労統計検討会の整理案 | 共同通信 2019/2/21 21:35より)


●圧力をかけたメンバーが豪華、黒田日銀総裁・首相ブレーン伊藤教授・麻生副総理など

2019/03/16:前述の首相秘書官の当日の深夜に改ざんが行われた以降にも、調査方法の変更を求める圧力をかけていたようです。15年11月4日の諮問会議の議事録に以下のような記録があります。

・まず、日銀の黒田東彦総裁が、「直近の名目賃金のマイナスは統計上のサンプル要因が影響。実勢は緩やかに上昇していると考える」と主張。
・民間議員で安倍晋三首相に近い伊藤元重・東大大学院教授(当時)も、勤労統計の問題点を記した資料をもとに「課題のある個別統計を見直すことは非常に大事。サンプル替えの際、足元の基調が変わったり過去のデータがさかのぼって大きく改定されたりする。経済社会の現状をより客観的に映し出すよう、改善を進めてほしい」と呼応。
・高市早苗総務相(当時)は「実体経済を反映した統計の検討を進める」と変更に前向きな回答。
・統計委を所管していた甘利明経済再生相(当時)も「指摘された課題について来春までに方針を整理するよう統計委にお願いしたい」と賛成。
(閣僚や日銀総裁から批判→見直し開始 賃金の統計調査:朝日新聞デジタルより)

 これ以外にも、15年3月に中江元哉・首相秘書官が厚労省に「問題意識」を伝達。10月の諮問会議では麻生太郎財務相が調査対象の入れ替え時に数値の変動があることを問題視し「統計委で具体的な改善策を早急に検討してほしい」と要求していました。これだけ豪華なメンバーが言及していて、圧力がなかった…というのは無理がありすぎです。

 なお、入れ替えで現金給与総額などの賃金指数が下がりやすいのは、調査に継続して応じる企業を集めた旧サンプルに比べ、新サンプルは新興企業や経営難の企業も加わって賃金が低く出やすいためと説明されていました。そして、過去のデータを実勢に合わせる修正を実施するので、過去のデータも下方修正されることになります。

 しかし、サンプル入れ替えをしないわけにはいかないでしょう。サンプルを入れ替えない場合、調査対象は老舗企業だけ…ということになります。例えば、戦後まもなくから続いている優良企業だけを調べるといったことになる…と言えばわかりやすいでしょう。実態と大きく乖離してしまうことが理解できると思います。


【本文中でリンクした投稿】
  ■『中国GDPの大嘘』の大嘘 内容は著作権侵害で高橋洋一教授は素人、講談社が認める
  ■中国の逆転以来報じられない日本と中国の名目GDPの比較と推移

【その他関連投稿】
  ■日本は3位どころじゃない?世界のGDPランキングとドイツとの比較
  ■一人当たりGDPランキング、ルクセンブルクがダントツ1位の理由
  ■日本のGDPが高い理由は単に人口が多いから 中身は先進国で最低、日本の潜在能力はもっと高いはずなのに…
  ■経済規模7倍、日本は中国に敵わなくなる 頼りのアメリカも重い負担
  ■ビジネス・仕事・就活・経済についての投稿まとめ

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