「ワタナベ」という読む苗字で、「なべ」違いのものが38種類もあるなど、「ワタナベ」に関する記事がありました。が、本題じゃない方の「渡辺さんが豆まきをしない理由」が、一番気になってしまいました。
●渡辺さんが豆まきをしない理由
この話があったのは、
「渡辺」「渡部」「渡邊」「渡邉」の知られざる真実 | 東洋経済オンライン(2017年05月28日)という記事。TBSテレビ「マイネームSHOW」取材班が、番組のために調べた話を書いています。
で、「渡辺さんは節分のときに豆まきをしない」というのは、この「渡辺」姓について調べていたときの副産物。ワタナベさんたちのご先祖様に関係する話だそうです。
平安時代、京の都で酒呑童子(しゅてんどうじ)という鬼が暴れまわっていたときに、子分たちとまとめて退治したのが「渡辺綱(わたなべのつな)」。そして、"この一件から鬼たちは渡辺姓を恐れるようになった"ので、邪気ばらいの豆まきもしなくて良いという理屈なんだそうな。
渡辺姓の有志が集まって結成された「全国渡辺会」というのがあるのが、まず衝撃なのですが、ここの副会長・渡辺華靖さんも「先祖代々1000年以上、豆まきをしたことがない」とおっしゃっておりました。
ただ、この豆まきの話は一般のワタナベさんたちには不評。番組で集まってもらったいろいろな漢字のワタナベさんらは、「えー! 豆まきしたほうが楽しいのに!」「1年に1度のイベントだし、やりたい!」と、豆まきをしなくて良いと言われても、嬉しくなさそうでした。
●渡辺綱が「渡辺」を称した理由
なお、渡辺綱は、「日本初の渡辺さん」でもあると書かれていました。気になって、
渡辺氏 - Wikipediaを見たものの、そういった記述はありませんでした。
とりあえず、渡辺綱が嵯峨源氏源融流の家祖であることは間違いなさげ。この渡辺氏は、嵯峨天皇の皇子である左大臣源融(みなもと の とおる)を遠祖としているそうです。
ただ、問題のこれ以外にも以下の渡辺氏があること。ここらへんを一つ一つ見ていかないと、本当に最初かどうかはわからなそうでした。
・摂津国の藤原北家秀郷流の荒木氏族。
・播磨国の赤松氏族。
・河内国の楠木氏族。
・山城国の賀茂氏族。
・伊予国の藤原北家九条流の土佐一条氏族。
ところで、渡辺綱が「渡辺」と称したきっかけですが、摂津国多田(兵庫県川西市)に仁明源氏の源敦の養子となったことが関係していました。母方の里である摂津国渡辺(大阪府大阪市中央区)に居住し、そこで渡辺綱と称したそうです。地名由来なんですね。
渡辺 - Wikipediaによると、渡辺というのは、渡部(わたのべ)から転じた職業や渡し場に由来するとのこと。前述の摂津国の地名が有名ですが、日本各地にこの地名があるそうです。
●ワタナベの「なべ」は38種類もある
渡辺氏 - Wikipediaでは、同音異姓と異音同姓を挙げていました。
同音異姓 渡邊、渡邉、渡部(わたのべ/わたぶ)、亘鍋、綿鍋、綿奈部、綿辺、渡那部、渡邁、渡鍋(わたしなべ)、綿部がある。
異音同姓 「ワタノベ」(渡野辺、渡延、渡野邊)・「ワタリ」(渡利、渡里、亘理、渡、亘、渉、弥、和多利、済、日理、和田利)・「ワタリダ」(渡田)がある。
ここまで話を広げると収拾がつかなくなってきますが、最初のTBSでは、「なべ」違いの漢字に限定して見ています。
まず、メジャーなワタナベさんの人数。渡辺はおよそ109万人、渡部(※わたべ含む)はおよそ18万2000人、渡邊はおよそ3万3000人、渡邉はおよそ2000人だそうです。
しかし、名字研究家の高信幸男さんによると、マイナーなワタナベさんがまだいろいろといます。"かつて調べたデータによれば、渡辺姓の「ナベの字」は少なくとも38種類ある"という、すごいことになっていました。
この“ナベ”の字は一般的な「しんにょう」と点が2つの「にてんしんにょう」や、つくりの上の部分が「白の字」と棒が1本多い「自分の自」、さらに、その「自」の横棒が繋がっていたり、離れていたり…と違いがかなりわかりづらいものが多いです。
●ワタナベが多量に増殖した理由
これだけわかりづらいと間違いそうなのですが、マジで間違いのせいで違うバージョンが増えたという説があるそうです。昭和40年頃まで戸籍は手書きで登録でした。"そのため、複雑な字形の「ナベの字」は申請した側と戸籍担当者との間で記入ミスが起きやすく、微妙な間違いがそのまま登録されたことも“ナベの字”が増えた理由"だと考えられています。
ただし、最も有力なのは、"主に明治時代、渡辺家の本家と分家を識別しやすくするために“ナベ”の字を変えていった説"。
そういえば、
日本一長い苗字の人、上沼田下沼田沼田 又一又右衛門は実在するのか?でも、上沼田や下沼田は沼田家と分けるためと言われていた…気がして読み直したのですが、だいぶ記憶違い。
もともと「沼田」で三代目以降「下沼田」になった藩士がいた…というだけで、本家との区別うんぬんではありませんでした。
あと、よくよく考えてみると、本家との区別が必要だというのなら、ワタナベ家以外でもいっしょです。他の多い姓でも同じように増殖していないと、納得しづらい説明でした。
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