ジャーナリストの山口敬之さんに強姦疑惑が持ち上がっているというニュース。この件がややこしくなっているのが、捜査員から被害者に「上からの指示で、逮捕できなかった」と連絡があったというのが一つ。さらに、この山口敬之さんが安倍首相に極めて近く、安倍政権に都合の良い情報を流す方だったということです。
また、この件で不起訴を判断した中村格・刑事部長というのが、安倍内閣で菅官房長官の右腕だったという方。どっから見ても怪しいとしか思えない内容でした。関連して<元検事「異例中の異例」ベテラン刑事「ありえない」>などの話も追記しています。
冒頭に追記
2022/07/29追記:
●安倍首相のおかげで警察庁長官になり、安倍首相の件でやめる?
●長官候補ではなかった中村格氏、安倍政権で忖度繰り返し大出世
2022/08/07追記:
●安倍元首相銃撃事件と同日に山口敬之氏の敗訴・賠償命令が確定 【NEW】
●安倍首相のおかげで警察庁長官になり、安倍首相の件でやめる?
2022/07/29追記:安倍首相(当時)に近い山口敬之さんの事件における中村格さんの対応について、今回のデイリー新潮記事では「逮捕状を握りつぶした」という書き方をしていました。ただ、中村格さんはこの対応で責められるどころか警察庁長官にまで大出世。安倍首相のおかげで出世したとも指摘されています。
しかし、「中村格さんは安倍首相のおかげで警察庁長官になり、安倍首相の件で警察庁長官をやめる」ということになるかもしれません。<安倍元首相暗殺で引責辞任濃厚 “逮捕状握りつぶし”中村格警察庁長官の命運を握る官邸幹部>(22/7/26 デイリー新潮)という記事が出ていました。
<安倍晋三元首相(享年67)が7月8日に殺害され、警察庁の中村格長官(59)は12日、事件後初となる記者会見に臨んだ。(中略)
《「安倍元総理が銃撃を受けて亡くなるという重大な結果を招いたことについて、警察として警護警備の責任を果たせなかったものと極めて重く受け止めている。警察庁長官としてざんき(編集部註:慚愧)に堪えない」》
元首相が凶弾に倒れるという重大事件が起きてしまったことに、中村長官は《警察庁長官としての責任は誠に重いと考えている》と述べたが、(中略)自身の出処進退については明言を避けた>
https://news.yahoo.co.jp/articles/0699d945e7fa432f1c76bd80311ec50b41b523da
私は読む前から、辞任しない可能性もあるのでは?と思っていました。で、記事を読んでみると、記事でもそもそも辞めない可能性がるという書き方ですね。警護警備に関する見直し報告書が出る8月ではなく、当初予定していた9月以降に辞任して、引責辞任ではない形にする可能性が指摘されていました。ひどい話です。
●長官候補ではなかった中村格氏、安倍政権で忖度繰り返し大出世
同じ記事では、「安倍首相のおかげで出世した」に関する話もあったのでここらへんもまとめ。例えば、「中村氏は当初、警察庁の長官候補とは見なされていませんでした。高槻高校から京都大学法学部に進み、同じ86年に警察庁へ入庁した露木康浩氏(58)がトップランナーだと目されていたのです」という記者の話が載っています。
また、精神科医の和田秀樹さんは《安倍氏に気に入られたおかげで警察庁長官になった中村格のキャリアは治安とは程遠い交通畑、あるいは知能犯対象の捜査二課のキャリアだ》と酷評。以下の過去記事デイリー新潮「『安倍総理ベッタリ記者』山口敬之逮捕を中止した、次期警察庁長官の忖度捜査」でも、権力と結びついて出世してきた…という書き方でした。ここらへんは統一教会と自民党の関係とも似た感じ。自民党はこんなんばっかりです。
《(引用者注:中村格氏は、)民主党政権が誕生した09年9月、官房長官秘書官に就いた。12年12月、自民党が政権を奪取した際、交代して警察に戻る流れだった。しかし、民主党時代の秘書官で終わりたくなかったようで、就任したばかりの菅義偉官房長官に「続けさせてください」と土下座して“猶予期間を得た”というのは語り草だ》
・警察庁OBによる人物評
《「それ以降は、国内の実力者と菅さんとの間を繋げたりとか、忠実なしもべとして活躍し、信頼を勝ち得たわけです。昭和61(86)年入庁組は当たり年で長官・総監候補が複数いた。少なくとも中村君が菅さんの秘書官になるまでは、露木(康浩)君が長官レースでは先を走っていた。彼は内閣法制局に出向した経験もある秀才タイプ。でも現在、彼は刑事局長で中村君の後塵を拝している。トラブルを回避する高い危機管理能力を誇る中村君を官邸の番犬・守護神として菅さんは重用し、結果、中村君は出世してきた。今でも菅さんとは1日1度、会うか電話をしている間柄らしいよ」》
●安倍元首相銃撃事件と同日に山口敬之氏の敗訴・賠償命令が確定
2022/08/07追記:安倍元首相銃撃事件があったために前回追記の話と時系列が逆になってしまったのですが、安倍元首相銃撃事件と同日に安倍元首相と近いジャーナリストの山口敬之さんの敗訴が最高裁で確定しています。伊藤詩織さんが性被害にあったことが認定され、賠償命令が出ていました。
<ジャーナリストの伊藤詩織氏(33)が性被害を受けたと訴えて元TBS記者の山口敬之氏(56)に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷(山口厚裁判長)は山口氏の上告を退けた。山口氏が同意なく性行為に及んだと認定して約332万円の賠償を命じた二審・東京高裁判決が確定した>
<二審判決によると、伊藤氏は2015年、就職先の紹介を山口氏に求めて都内のすし店などで飲食した後、ホテルの部屋で、酒に酔って意識がない状態で性行為をされた。山口氏は「(伊藤氏が)誘ってきた」と反論したが、伊藤氏が直後に知人や警察、病院に被害を伝えていたことなどから、判決は「信用できない」と退けた>
(
伊藤詩織さんの性被害、元TBS記者への賠償命令が確定 最高裁決定:朝日新聞デジタル 根岸拓朗 2022年7月8日より)
伊藤詩織さんは一方で、ネットやSNS上で激しい中傷やバッシングを受けたため、投稿者らに賠償を求める複数の訴訟を起こしており、こちらは継続中。統一教会問題もそうなのですけど、安倍元首相や自民党に不利な話は支持者によって擁護されてきており、こうした無理な隠蔽・優遇が銃撃事件にも繋がったと考えられます。
統一教会と自民党の関係を指摘する記事は近年もたまにあったのですが、右派が多いヤフーニュースコメント欄なんかでは「何が悪い!」といったコメントがびっしり…といった状況。統一教会は政治家と結びつく理由として、裁判での敗訴を挙げており、自民党との関係は問題視すべきだったのですが、これが進みませんでした。
そもそも本来であれば、最も悪い新興宗教団体である統一教会問題は政治家が解決すべきだったのですが、解決しないどころか積極的に結びついて統一教会の宣伝に加担する始末。問題が解決する方向性が見えていれば、銃撃事件は起きなかったでしょう。隠蔽したことで、恨みが募る一方になってしまいました。
それから、確定した2審の判決は、「記者会見や著書の内容のうち、食事中にデートレイプドラッグを飲まされたという部分は的確な証拠がなく、真実とはいえない」と一部認め、伊藤さんにも55万円の賠償を命じていまず。今回の事件でデートレイプドラッグが使われたかどうかまではわからず、この主張は勇み足でした。
なお、デートレイプドラッグ事件自体は日本でも急増していて、右派新聞すら「多発」と報じています。また、デートレイプドラッグ事件の特徴を見ていくと、伊藤詩織さんの事件で起きた出来事と驚くほど一致しており、伊藤詩織さんが「山口敬之さんがデートレイプドラッグを使用した」と疑ってしまったこと自体はわからないでもありません。
また、確定した2審の判決は、伊藤さんが被害を公表したことについて「性犯罪の被害にあった女性が泣き寝入りせざるをえない状況を憂慮し、これを改めるきっかけにしたいという目的で、公益を図るためだった」とも認定していたとのこと。「#MeToo」の動きが世界で広がる中で注目を集め、日本での性被害をめぐる議論のきっかけにもなりました。
(最高裁 伊藤詩織さんの性的被害認め 賠償命じる判決確定 2022年7月8日 19時07分 NHKより)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220708/k10013708631000.html
●圧力で証拠揃った強姦を不逮捕・不起訴に?
2017/5/30:ジャーナリストに強姦疑惑という内容という見出しを見た時点では、ブログで取り上げるつもりはありませんでした。強姦されたと主張する女性・伊藤詩織さん(家族の意向で名字は伏せたものの「匿名の被害者女性と報じられたくなかった」として名前を公開)が、不起訴に対して不服申し立てをしたという話を読んでも、それは変わりませんでした。
被害者の方はたいへん不満でしょうが、証拠を十分に用意できなかった場合、不起訴となることは致し方ありません。最近、痴漢冤罪問題が注目されているように、本来、この原則は曲げてはいけないものです。
ただ、読み進めてみると、この事件はかなり特殊そうでした。痴漢冤罪問題では、「容疑者が犯人と決めつけられる」と言っている人がいるものの、今回の件は全く逆方向でおかしかったのです。
警察の捜査によって、タクシー運転手や、ホテルのベルボーイ、ホテルセキュリティーカメラ映像、下着から採取したDNA片の鑑定結果などの
証拠が揃い、2015年6月にいったん逮捕状が発行されました。しかし、”捜査員からは逮捕直前、「
上からの指示で、逮捕できなかった」と連絡があったという”のです。前代未聞でしょう。
(
「私はレイプされた」。著名ジャーナリストからの被害を、女性が実名で告白 BuzzFeed News 2017/05/29 18:04 渡辺一樹より)
●安倍首相に最も近い山口敬之氏の強姦疑惑だった
もちろんこれは被害者側の訴えであり、事実ではない可能性があるものの、そもそもこのような主張が出る時点で聞いたことがありません。
そして、これをさらにややこしくしているのが、問題のジャーナリストである山口敬之・元TBSワシントン支局長の特殊性。山口さんは、安倍首相と個人的に仲が良く、普段から露骨に安倍首相よりの情報を流している方のためです。
BuzzFeed Newsでは、2016年6月に出版した著書「総理」(幻冬舎)では、次のように記していることを指摘していました。
「安倍氏と私は一回り違いの午年で、出会った当初からウマが合った。時には政策を議論し、時には政局を語り合い、時には山に登ったりゴルフに興じたりした」
また、これを最初に報じた週刊新潮の
握り潰された「安倍総理」お抱えジャーナリストの準強姦逮捕状 被害女性の告白 | デイリー新潮(2017年5月18日菖蒲月増大号 掲載)では、“安倍首相に最も近いジャーナリスト”と書いていました。
今回の事件は、森友学園問題・加計学園問題も思い出しますが、山口敬之さんは森友学園でもやはり安倍内閣のために働いています。
森友学園の籠池前理事長の証人喚問の件で、FAXをいち早く入手し、籠池前理事長より先に公開。FAXの比較的問題の少ない1枚目のうち、特に安倍首相にとって都合の良い「希望に添えない」の部分だけを強調しており、安倍首相のために印象操作したのではと疑われていました。
(関連:
安倍昭恵夫人付職員・谷査恵子氏、南アフリカ左遷ではなくイタリア異動 隠蔽と買収で一石二鳥?)
●元秘書官の中村格氏が逮捕中止の指示認める
「上からの指示で、逮捕できなかった」というからには、指示を出した人物がいるということです。週刊新潮は、"菅義偉官房長官の秘書官も務めた中村格・警視庁刑事部長(当時)による隠蔽の可能性"について言及していました。
また、私は直接読んでいないので確認できませんが、記事を読んだ人によると、
“逮捕中止が自身の判断だったのを刑事部長本人が認めてる”(yas-mal 2017/05/10)とのこと。これはいわゆる「忖度」ですけど、新潮の先の記事によると、中村さんは首相への“忖度”による捜査中止を否定しているとのこと。
もう少し検索していると、記事で認めているという話が出ているのがありました。
室井佑月「奥さん、あの噂、知ってます?」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)では、"彼は官邸からの忖度(そんたく)などは否定しているものの、逮捕を阻止したことは認めている"と書いています。
あと、そもそも"準強姦事件に、警視庁の刑事部長が直接判断を下すというのはありえない"とも、書いている記事もありました。
(
(3ページ目)“安倍の太鼓持ち”山口敬之のレイプ事件潰しは官邸の圧力? 逮捕寸前に中止命じた警察官僚は菅官房長官の右腕|LITERA/リテラ(2017.05.10)より)
なお、同じ記事では、タクシー運転手の証言も出ていました。
「女性は何度か“駅の近くで降ろしてください”と訴えていたのですが、男性が“何もしないから。ホテルに行って”とそれで、結局、2人をホテルに連れて行ったのですが、到着しても彼女はなかなか降りようとしませんでした。けれど最終的には彼女は体ごと抱えられて、座席から降ろされたんです」
●中村格・警視庁刑事部長の経歴は?
今回の件でキーになりそうな中村格(いたる)さん。ただ、経歴のようなものは見つかりません。とりあえず、
刑事部 - Wikipediaに名前が見えています。
中村格
刑事部長 在任期間 2015年(平成27年)3月23日- 2016年(平成28年)8月22日
前職 内閣官房長官秘書官事務取扱
後職 警察庁刑事局組織犯罪対策部長
また、
手放せない2人(2013/6/22付 日本経済新聞 朝刊)という記事を検索していて見つけました。
"警察庁と外務省から派遣された中村格、市川恵一両秘書官"は、菅義偉官房長官の記者会見でいつも"長官から少し離れた場所に座って"おり、手放せない存在であるという話。ただ、ここで単に「危機管理」と「歴史認識」の担当だからとされていました。
この二人は安倍政権が当時一掃していた民主党政権時代の数少ない生き残りということで、そういう意味でもかなり特殊な存在であったようです。
わいせつ事件絡みということで、
圧力?強制わいせつ事件で東大生逮捕も山谷えり子の親族は不起訴の件も思い出しました。ただ、今回の方がさらにおかしい話。日本はどんどん悪くなっていきますね。
●やはり政治介入?警察が被害者に示談を勧める異常さ
2017/06/02:
警察が被害者に示談を勧めて弁護士の事務所に連れて行くことは普通はない - 弁護士三浦義隆のブログでは、今回の事件で「警察が詩織氏に示談を迫り、頼まれもしないのに詩織氏を警察車両に乗せて、警察の伝手がある弁護士の事務所まで連れて行った」という部分に注目しています。
というのも、"警察が示談を勧めて、示談交渉をさせるためわざわざ弁護士の事務所まで連れて行くというのは、民事不介入原則に反する"行為であるため。「警察は民事紛争には介入しない」のが原則なのです。
このような"事案は、少なくとも私の業務上見聞きした範囲では存在し"ていなかったそうですし、そもそもあってはならないことです。ゆえに、"仮にそんなことが本当にあったとすれば、その異例さゆえに政治的介入を示す話だ"と感じたとのことでした。
なお、江川紹子さんのツイート見ていると、以下のような話もあったようです。警察はかなり露骨に動いていたように見えますね。
●与党幹部「読売の前川潰し報道は、菅官房長官が北村滋氏と中村格氏に依頼したもの」
2017/06/14:加計学園の「総理の意向」文書の内部告発でも、中村さんの名前が出ていました。読売新聞が、加計学園問題で積極的に発言している前川喜平前文部科学事務次官について、出会い系バーに出入りしていたと大々的に報じた件に絡んでです。
(関連:
加計学園問題 小泉進次郎「日本にもフェイクニュースは蔓延」と主張 規制改革うんぬんは論点のすり替えの詭弁)
この報道は、通常は報じないかなり昔の情報であること、同種の報道は淡々と事実のみなのに対し悪いことをしたと印象を植え付けるものであったこと、通常は地域によって文章が異なるものなのにどの地域でも全く同じ内容であったことなど、異例づくしでした。したがって、読売新聞が、加計学園問題で安倍政権を助けるためにスキャンダルをぶつけたと考えられています。
(なので、貧困調査目的だったかどうかは問題の本質じゃないのですが、この出会い系バーに行った人の話をいくつか読むと、実際に貧困女性が集まる庶民的な店とのこと。政治家や官僚が来るという秘匿性の高い会員制パーティーの主催者は、官僚のような人が性欲のために行く店としては「考えにくい」としていました)
で、その仕掛け人の1人がまた中村さんであろうという話。週刊文春のネット記事は見つからなかったのですが、"週刊現代(6月10日号)は、与党幹部の証言として「北村滋内閣情報官、中村格警察庁刑事局組織犯罪対策部長が情報を流したと聞いている」と報じた"そうです。
(読売社員「政権べったり」前川前次官報道に困惑〈AERA〉
「読売社員『政権べったり』前川前次官報道に困惑」(AERA) - kojitakenの日記より)
同様の話は、
前川・前事務次官に激怒して、安倍官邸が使った「秘密警察」(週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(2017.6.7)にもありました。やはり与党幹部が「菅長官から『前川潰し』の依頼を受けた彼ら(引用者注:北村滋氏と中村格氏)が、『出会い系バー通い』の情報を流したと聞いています」と答えています。
また、この与党幹部は、「この二人は、『いま安倍総理に最も近いジャーナリスト』といわれる山口敬之氏が、『週刊新潮』に『準強姦疑惑』を報じられたとき、『揉み消し』を依頼したとされる相手」とも言っていました。北村滋さんは、山口さんの不起訴にも絡んでいたんですね。
●本部の刑事部長の介入で不逮捕…元検事「異例中の異例」ベテラン刑事「ありえない」
もう一つ、山口敬之さんの事件の話も追加。
【元TBS記者によるレイプ疑惑】不可解な点が続々露呈…真相解明に求められる重要ポイントとは? | ビジネスジャーナル(2017.06.06)という記事です。
一時はかなりネトウヨ的な記事を出していたビジネスジャーナルなのであれ?と思ったら、ジャーナリストの江川紹子さんの記事でした。捏造したのがバレて叩かれたので、ビジネスジャーナルも今はあまりネトウヨっぽいのはやっていないのかもしれません。
(関連:
NHK貧困女子高生はやらせ…と叩く記事が完全捏造だったと判明)
中村格さんは、「(逮捕は必要ないと)私が決裁した。(捜査の中止については)指揮として当然だと思います。自分として判断した覚えがあります」としていました。いつもやっていることだといった説明です。
しかし、元検事の落合洋司弁護士は、「直前に人違いがわかったとか、容疑者が急病の場合ならともかく、(逮捕状の)執行寸前にとりやめ、というのは普通ありえない。しかも、本部の刑事部長が介入して(執行を)止めるなんて、異例中の異例」としていました。やはり今回は異常なのです。
警視庁のベテラン刑事も「逮捕状の執行を直前に止められるなんて、今まで聞いたことがない。高輪署がやっていた捜査を、署長を飛び越えて本部の刑事部長がストップをかけるなんて、ありえない」と証言。やはり今回の異常性が際立ちます。
また、「嫌疑不十分」として不起訴処分が決まるまでに約11カ月もかかったことについても、落合弁護士は「検察はずいぶん長く(未処理のまま)事件を持っていた、という印象」と引っかかりを覚えていました。やはり異例づくしなようです。
●慶応大の強姦疑惑事件で全員不起訴に大ブーイング
2017/11/29追記:最初にも書いたように、皆さんの印象と異なり、性犯罪で罪を証明することはかなり難しいです。なので、不起訴になったからといって、必ず不正があるという話ではありません。もちろん痴漢冤罪問題が話題になっているように、全くの無実というケースもあるでしょう。
(痴漢問題では指摘されただけでほとんど罪になると誤解されていますが、こちらも報じられないだけで不起訴になっているケースがあります。有罪率が高いのは、難しいケースを不起訴にしているためです。そもそも日本の有罪率は、性犯罪以外でも非常に高くなっています)
ただ、こうした不起訴では、「怪しい」と叩かれることがあります。慶応大の強姦疑惑事件がそうなりました。まとめサイトでは、以下のような反応をピックアップしていました。
痛いニュース(ノ∀`) : 慶大生6人を不起訴=横浜地検 女子大生を酔わせて集団強姦 - ライブドアブログ
9: 名無しさん@1周年 2017/11/28(火) 17:53:26.01 ID:6UBc/YN00
なんだそりゃ?
仕事しろよ
10: 名無しさん@1周年 2017/11/28(火) 17:53:32.30 ID:x3qb42pI0
金で黙らせたか
16: 名無しさん@1周年 2017/11/28(火) 17:54:47.06 ID:Ix4nphIa0
慶應の力は凄いなw
24: 名無しさん@1周年 2017/11/28(火) 17:55:51.32 ID:dvp8BQeU0
金の力は偉大だな
27: 名無しさん@1周年 2017/11/28(火) 17:55:56.52 ID:ZbTfZsBI0
酷いなあ不起訴かよ
神奈川は県警だけでなく地検も腐ってるな
41: 名無しさん@1周年 2017/11/28(火) 17:59:36.30 ID:fTuY7BqL0
これはひどい
48: (; ゚Д゚)コロ猫映画(仮)2 ◆EFvlPnIYE33o 2017/11/28(火) 18:00:09.18 ID:DmnwfDgs0
(; ゚Д゚)こえ~!!
性犯罪者をそのまま野放しか
71: 名無しさん@1周年 2017/11/28(火) 18:02:18.47 ID:LQpHZBVh0
金でもみ消せる良い例
72: 名無しさん@1周年 2017/11/28(火) 18:02:25.92 ID:gAcCbjOF0
日本に正義なんてないんですね
85: 名無しさん@1周年 2017/11/28(火) 18:03:41.81 ID:UHX18YBf0
不起訴の時は理由を国民に明らかにしなきゃいけないようにしろよ
で、この話をなぜここに追記したのか?というと、山口敬之さんの不起訴では、かなりひどく被害者の女性の方が叩かれていたためです。対照的な反応になりました。
圧力?強制わいせつ事件で東大生逮捕も山谷えり子の親族は不起訴のときは、まとめサイトの反応がどうだったか忘れたのですけど、このようにネットの反応は結構分かれがちです。
●山口敬之氏の供述は当時の証拠と矛盾と判決 恫喝訴訟も棄却
2019/12/18:伊藤詩織さんが、山口敬之さんから性暴力被害にあったとして、慰謝料など1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2019年12月18日、東京地裁であり、裁判長は330万円の支払いを命じました。判決は、山口さんの供述について「不合理に変遷しており、信用性には重大な疑念がある」と指摘し、合意のないまま性行為に及んだと認定しています。
また、伊藤さんがおこなった記者会見などについて、山口さんは名誉毀損だとして慰謝料など1億3000万円と謝罪広告を求めて反訴していましたが、「公共性および公益目的がある」として棄却しました。恫喝訴訟的なものだと考えられます。1億3000万円というのは、金額が大きすぎだとも感じます。
(
伊藤詩織さん勝訴 「性暴力被害」裁判、山口敬之さんに330万円賠償命令 - 弁護士ドットコムより)
「伊藤さんは、友人や警察に被害を相談していて、性行為が意思に反して行われたことを裏付けるものといえる。一方、山口氏の供述は、当時送信したメールと内容が矛盾し、核心部分について不合理に変遷していて信用性には重大な疑いがある」
「伊藤さんが性犯罪の被害者をめぐる状況を改善しようと被害を公表した行為には、公共性や公益目的があり、内容は真実だと認められる」
(ジャーナリスト 伊藤詩織さんが勝訴 元TBS記者に賠償命令 2019年12月18日 11時34分より)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191218/k10012219011000.html?utm_int=all_side_ranking-social_001
ただ、今回は飽くまで地裁判決。控訴することが予想されますので、確定ではありません。性犯罪の話ではないものの、一般的に高等裁判所や最高裁判所では国の意向に沿った判決が出やすい傾向にあります。この事件の場合、山口さんの説明の不合理さがあるために通常ならこのまま確定だと思われますが、ひょっとしたら逆転もあるかもしれません。
●「私は、なんでここにいるんでしょうか」発言、なぜか山口さん側が主張
2020/05/09:裁判の件を補足。右派の人たちは、自分たちの主張が極めて不合理であるのを無視する一方で、相手の主張に関しては大げさに難癖つけてきます。しかし、多くの場合は、相対的にどちらが確からしいかが問題。完璧な説明でなくても、もう片方があまりにもひどければ信頼できない…ということになります。これは裁判に限らず言える話です。
以前も書いたように、残念なことに日本の裁判は、高裁、最高裁と上がるにつれて、政府側に有利な判決が出ると言われており、このまま行くかどうかは不明。ただ、とりあえず、地裁判決では、あまりにも山口敬之さん側の説明は不合理すぎと判断された、ということについて今回は追記します。
例えば、山口さんは、伊藤さんが午前2時ごろホテルで目覚めた際に「私は、なんでここにいるんでしょうか」と述べ、酔っている様子は見られなかったと証言しました。これはどうも山口さん側は「伊藤さんは酔っていなかった」と主張したいがために、証言した模様。しかし、これが見事なブーメランになっています。
というのも、伊藤さんが「私は、なんでここにいるんでしょうか」と述べたということは、伊藤さんが同意してホテルに来たわけではない、目覚める前の記憶も残っていない…という伊藤さんに有利な証言になっているため。こうした証言が山口さん側から出ている時点でもう確定的。この時点ですでに自滅しています。
<判決は、伊藤さんの発言自体「伊藤さんがホテルの部屋に入室することについて同意をしていないことの証左というべき」とし、伊藤さんが約2時間という短時間で酔った様子が見られないまでに回復したという点も「疑念を抱かざるを得ない」と指摘した>
(
【判決詳報】伊藤詩織さん勝訴、「合意ないまま性行為」と判断された理由…元TBS記者の証言に疑念 - 弁護士ドットコム 2019年12月18日 13時49分より)
●伊藤さんが勝手にベッドに入った…という重要な主張がいつの間にか変化
また、判決では、山口さんの供述について「不合理に変遷しており、信用性には重大な疑念がある」と指摘していたんですよ。メールの説明と法定の証言で食い違ってきてしまいました。伊藤さんの供述から、山口さんが合意のないまま性行為に及んだと認定したのに関係するのが以下の部分です。
<性行為直前の伊藤さんの言動について、山口さんは2015年4月18日に伊藤さんに送ったメールで、伊藤さんの方から山口さんが寝ていた窓側のベッドに入ってきたと説明していた。
しかし、山口さんは法廷で、「伊藤さんに呼ばれたために山口さんが窓側のベッドから伊藤さんの寝ている入口側のベッドに移動した」と証言していることから、判決は「性行為の直接の原因となった直近の伊藤さんの言動という核心部分について不合理に変遷している」、「信用性には重大な疑念がある」と評価した>
判決は、伊藤さんの供述は山口さんの供述と比較して「相対的に信用性が高い」としています。前述の通り、「相対的に」というのがポイントなんですよ。自分たちに不都合な重大部分を無視した上で、枝葉末節だけをとりあげて、相手側が悪いと叩くのはフェアではありません。
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