Appendix

広告

Entries

送電分離できていないことによる問題点1 ~新規参入事業者への妨害~


★2011/7/24 送電分離できていないことによる問題点1 ~新規参入事業者への妨害~
★2011/7/24 送電分離できていないことによる問題点2 ~安定供給を目指さない場合がある~


★2011/7/24 送電分離できていないことによる問題点1 ~新規参入事業者への妨害~

 しつこく送電分離・電力自由化についてですが、今は記事が豊富なので仕方ありません。

 ただ、この話題は最初の送電分離などはもっと議論されなくてはいけないで述べたように、議論されなくてはいけないのにされていないから書いておこうと思ったというのが、書き始めた理由です。そういう消極的な姿勢だったのは、今何が何でも決めるべきと思っていたわけでなく、むしろ拙速に決めてしまって良いものだとは思っていなかったからです。

 何より今は優先してやらなくてはいけないことがありますし、一連の文章はそのときが来たら再び読んでもらえれば良いと思っています。

(余談ですが、脱原発も同様です。私はこの動きに反対しているわけではありませんし、なるべく早く決着させるべきだと思いますが、障害になる意見を駄目だと決めつけて無理やり押し通すようなものは危険です。こんなことを言うと怒られるかもしれませんが、反原発の人と原発推進の人は、結論が反対なのに行動はよく似ている人が多いと思います)


 で、今日取り上げる記事は妙な題名ですけど、「みんな平等に電力を使えません」 山根小雪 2011年7月19日 日経ビジネスオンライン(閲覧に登録が要るかもしれません)で、送電分離されていないことで実際に起きた問題を報告しています。


 福島第1原子力発電所事故を起こして供給力不足に陥ったため、東電は計画停電を実施しました。東日本大震災でダメージを受けたのは、東電の発電所であって、電力を運ぶ送電網の大半は、問題なく使える状態でしたので、理屈で言えば、計画停電は東電だけのはずです。

 しかし、実際には無事だった送電網を使い電力供給を行う、新興の電力会社である「PPS(特定規模電気事業者)」のユーザーも、東電ユーザーと同様に計画停電の対象になったそうです。


 このPPSとは、2000年3月から段階的に始まった電力自由化によって誕生した新規参入の電力事業者のことで、企業の自家発電装置で使い切れなかった電力を購入したり、自前の発電所で電力を作り、電力会社よりも安い料金で、企業や官公庁、自治体などに電力を販売しています。取引の大半は相対契約ですが、一部は日本卸電力取引所(JEPX)を通じて売買しています。

 PPSが電力を販売する際には、電力会社の送電網を、利用料金(託送料)を支払って利用しています。それなのに、東電は事前の相談なく、決定事項として通達し、送電網の利用者の不便を勘案せず、送電を止めてしまったようです。

 理解できないことですが、この決定に対しては、経済産業省も政府も"「最大シェアの電力会社のユーザーが不便を被るのだから、みんな平等に不便を被りましょう」と“悪平等”を選んだのだ"と記事には書かれています。(これが記事のタイトルの意味です)


 さらに、震災明けの3月14日月曜日のこと。「東電から送電網の運用、監視ができないので停止してほしいと要請があった」(JEPX)ため、日本卸電力取引所(JEPX)が東京電力管内での電力取引を停止してしまいました。

 電力自由化は、「需要家は電力会社をサービスの内容や料金で選択できように」し、「複数の電力会社と契約することは、自家発電装置を持つのと同様に、停電などへの備えであった」はずなのに、「本来の役割を一切、発揮できなかった」と記事は言います。


 実はJEPX停止の話については、私は他で読んで知っていました。確かJEPXが悪いみたいな流れの記事だったので、今回これを読んでびっくりしているんですが、今探しても見つかりません。

 ああ、ありました、ありました。弱小マスメディアだったのでなかなか出なかったのかも、電気新聞の需要家PPS、JEPXから脱退相次ぐ 2011/05/10という記事でした。


 記事ではまず概要を、

自社の電力コスト引き下げを狙いに特定規模電気事業者(PPS)事業を営む「需要家PPS」が、日本卸電力取引所(JEPX)から相次ぎ脱退を表明する事態に陥っている。今春の計画停電開始後からJEPX東京市場の閉鎖が続き、東西の地域間取引も実質不可能になるなど、取引市場は本来の機能を果たしているとはいえない。JEPXから電力の一定割合を調達する需要家PPSの脱退表明の背景には、取引市場からの安定的・継続的な調達が困難との判断があったようだ。

と説明し、以下、脱退する企業を挙げています。

 そして、

JEPXからの調達も含めた割安な電力を自社施設に供給する「需要家PPS」は10年度から登録が増加していた。だが、東電エリアの3月14日からの計画停電開始後、需給バランスの崩れにより、東京市場の託送が不可能になったため、JEPXは同日から東京市場のスポット・時間前取引を中止。現在も再開見通しは立っていない。

周波数変換設備(FC)も応援融通で能力上限いっぱいまで使われたため、取引市場の電気が東西を流れる余地もなくなった。分断状態になった東日本(50ヘルツ)地域市場では約定がほぼ成立しなくなり、価格の高騰・乱高下も起こっている。50ヘルツ地域の取引環境が特に不透明なこともあり、安定的な電力調達が不可能と判断、3社は脱退を決めたようだ。

と書いています。記憶と違い、JEPXの非を直接責めるものではありませんでしたが、肝心なときに機能しないんだなという悪印象は持つ記事です。

 何より東電の責任については一切触れられていないというのは、大きな印象の違いを生んでいるところです。


 この電気新聞は「日本電気協会」新聞部が発行する新聞だそうで、「日本電気協会」の代表者は八島俊章さんという「元東北電力代表取締役社長」です。(八島俊章 Wikipediaより)

 「だから」と決め付けるわけにはいかないものの、 電気業界内でのパワーバランスを想像してみても、新規参入会社よりも既存の電力会社側に傾いているということは充分に有り得そうです。


★2011/7/24 送電分離できていないことによる問題点2 ~安定供給を目指さない場合がある~

 送電分離できていないことによる問題点1 ~新規参入事業者への妨害~から引き続いて、「みんな平等に電力を使えません」 山根小雪 2011年7月19日 日経ビジネスオンライン(閲覧に登録が要るかもしれません)についてです。


 送電分離できていないことの弊害はまだあります。7月1日からの電力使用制限令において、先の理屈同様に東電の発電所の影響を受けないはずの、PPSユーザーにも電力会社のユーザーと同じ15%削減を強いたということです。

 6月16日に社長を退任したエネットの武井務・前社長は、

「通常のビジネスなら、東電が電力を供給できない分、我々PPSが通常時よりも好条件で電力を販売したり、新規顧客を獲得できるはず。ところが政府は、PPSのユーザーも15%の節電対象だという。しかも、節電で余った電力は東電に売ってやってくれと。政府が敵に塩を送れと言うとはどういうことなのか。自由化したという意識がないことを象徴している」

「計画停電といい、15%節電といい、我々はボランティア組織のようだ」

 と憤りを見せています。


 記事ではこの後、「原発や水力を最優先に稼働させ、次に石炭火力を動かす」ため、「電力会社は、普段使っていない火力発電などの設備を大量に保有して」おり、「民間企業なら、設備稼働率を高めることは経営の至上命題だ」としています。

 ただ、これに関しては私はただちに同意しません。今回のような事態に備えた何らかの発電余力は必要であり、完全な自由競争にすることは危険性が高いです。そういう意味でこういった無駄を持つことは、危機に備える一つの選択肢として検討されて良いと思います。(無論、これで決定というわけでなく、他の選択肢と合わせて比較がなされるべできです)


 一方、この後に続く

 電力会社は、「総括原価方式」によって、設備などにかかった費用を電力料金で回収できることになっている。設備稼働率が低くても、設備投資を必ず回収できる。総括原価方式は、かかったコストに一定の利潤を載せて電力料金から回収する仕組みであるため、設備投資が大きくなればなるほど、電力会社が得られる利潤も大きくなる。無理して設備稼働率を高めるのではなく、止めておこうと考えても不思議はない。

については、不公平であることに同意します。安定供給を支える手段という点では理解できても、電力会社だけを優遇するという理屈は成り立ちません。また、制度の考え方にも問題があるのかもしれません。


 最後の方は除いて、今回分の最初の15%節電や、前回分の計画停電、JEPX停止について考えてみると、これらは純粋に技術的な問題であり、意図的にしたものではないといった反論があるかもしれません。

 ただ、これから先も確実に起きる可能性がある非常時の安定供給を想定した場合、解決を目指さなくてはいけない問題であり、「できません」で済まして良いものではありません。

 そして、その解決にかける意気込みを想像してみると、送電分離がされている場合とされていない場合では全く異なってくることがわかると思います。


 送電だけを行っている送電会社の場合は、部分的に発電所が止まっただけで全体に影響を出していては、顧客に迷惑をかけてしまうだけですから、当然技術的な解決を目指します。手間がかかる、金がかかるという点はデメリットでしょうが、積極的に問題を放置する理由はありません。

 ところが、これが送電と発電を分離していない現状では、全く違ってきます。

 冒頭で「東電が電力を供給できない分、我々PPSが通常時よりも好条件で電力を販売したり、新規顧客を獲得できるはず」とあったように、ライバル会社に顧客を渡さなくて済むというはっきりとしたメリットが存在します。何もそんな自分たちの損になることに、手間暇お金をかける必要はないのです。


 これらの話は実際に東電がそうしたという話ではなく、飽くまで想像に過ぎませんが、送電分離実施の有無で送電を担う会社の利害関係が異なってくることは否定できないと思います。

 送電分離のメリットでも一つ書きましたが、これもまた送電分離しない方が電気を安定供給できるんだと言いながら、安定供給できていないケースの一つだと思われます。


 関連
  ■本当に電力は地域独占が望ましいのか?
  ■電力自由化の問題点1 ~イギリスの場合~
  ■送電分離などはもっと議論されなくてはいけない
  ■送電分離のメリット
  ■発送電分離をする理由
  ■政治・政策・政党・政治家についての投稿まとめ

Appendix

広告

ブログ内 ウェブ全体
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示









Appendix

最新投稿

広告

定番記事

世界一スポーツ選手の平均年収が高いのはサッカーでも野球でもない
チャッカマンは商標・商品名 じゃあ正式名称・一般名称は何?
ジャムおじさんの本名は?若い頃の名前は?バタコさんとの関係は?
ワタミの宅食はブラックじゃなくて超ホワイト?週5月収10万円
朝日あげの播磨屋、右翼疑惑を否定 むしろ右翼に睨まれている?
レーシック難民は嘘くさいしデマ?アメリカの調査では驚きの結果に
赤ピーマンと赤黄色オレンジのパプリカの緑黄色野菜・淡色野菜の分類
アマゾンロッカーってそんなにすごい?日本のコンビニ受け取りは?
就職率100%国際教養大(AIU)の悪い評判 企業は「使いにくい」
ミント・ハッカでゴキブリ対策のはずがシバンムシ大発生 名前の由来はかっこいい「死番虫」
移動スーパーの何がすごいのかわからない 「とくし丸」は全国で約100台
ビジネスの棲み分け・差別化の具体例 異業種対策には棲み分けがおすすめ
主な緑黄色野菜一覧 と 実は緑黄色野菜じゃない淡色野菜の種類
タコイカはタコ?イカ?イカの足の数10本・タコの足8本は本当か?
トンネルのシールドマシンは使い捨て…自らの墓穴を掘っている?
ユリゲラーのポケモンユンゲラー裁判、任天堂が勝てた意外な理由
好待遇・高待遇・厚待遇…正しいのはどれ?間違っているのはどれ?
コメダ珈琲は外資系(韓国系)ファンドが買収したって本当? MBKパートナーズとは?
大塚家具がやばい 転職社員を通報、「匠大塚はすぐ倒産」とネガキャン
不人気予想を覆したアメリカのドラえもん、人気の意外な理由は?

ランダムリンク
厳選200記事からランダムで









アーカイブ

説明

書いた人:千柿キロ(管理人)
サイト説明
ハンドルネームの由来

FC2カウンター

2010年3月から
それ以前が不明の理由