准教授の内部告発を金沢大学に国がバラしてしまうということがあったそうです。で、検索していると、同じ金沢大学で准教授の内部告発にパワハラで報復したという事件もありました。内容を見ると、別件かもしれません。
さらに、これまた別件かどうかがわからないのですが、准教授への嫌がらせのために、暴行を受けて負傷という虚偽の被害届を出したというめちゃくちゃな話も、金沢大学で見つかりました。金沢大学の准教授の方は悲惨な目にばかり遭うようです。
冒頭に追記
2022/02/23追記:
●金沢大学が准教授を出勤停止3カ月の懲戒処分の記事、速攻で削除 【NEW】
●「意見が食い違うと警察に通報」などの迷惑行為と大学側は主張 【NEW】
●金沢大学が准教授を出勤停止3カ月の懲戒処分の記事、速攻で削除
2022/02/23追記:<意見食い違うと“警察に通報”も…金沢大学が准教授を出勤停止3カ月の懲戒処分「職務遂行妨げた」>(石川テレビ)というニュースが出ていました。タイトルの通りであればとんでもない准教授…なのですが、金沢大学の場合は大学側が嘘をついているという可能性も疑う必要があるかもしれません。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e9ff426a7aad0da4d64b72ab95ea97d79fdb6e96
このページで書いていたように、金沢大学側と准教授側で揉めている件があり、主張が完全に食い違っていたんですよね、こういう場合、片方の主張を一方的に信じるというのは危険です。で、ここらへんは注意して読まないといけないな…と思ったら、このニュースはすでに削除されていました。やはり何か問題があったみたいですね。
もともとテレビニュースは削除が早いのですが、今回は早すぎで異常なんですよ。ヤフーニュースの配信は、2022/2/22(火) 16:15だったのに、私が見た22時間後の時点で消えていました。ツイッターで検索すると、同日午後5:51に削除されたというツイートを発見。2時間経たずに削除されており、やはり異常です。
一般的に記事が削除されるのは、「誤報」のため。今回も当然可能性があります。また、准教授と大学とでトラブルがあった場合、准教授がテレビ局に「事実ではない一方的な情報」などと抗議した可能性も考えられるでしょう。少なくとも記事にする前に、あらかじめ准教授にも取材してある程度中立的な内容にしておくべきでしたね。
●「意見が食い違うと警察に通報」などの迷惑行為と大学側は主張
ということで、信頼性に問題がある可能性がありますが、ログからどのような報道だったかは確認できます。これによると、出勤停止3カ月の懲戒処分となったのは医薬保健研究域医学系の男性准教授。以前も医薬保健研究域医学系の男性准教授を大学側が問題視する報道があったので、同一人物の可能性が高そうです。
<学長との面談を拒否したり話し合いの最中に警察に通報したりするなど職務遂行を大きく妨げたとして、金沢大学は所属する准教授を懲戒処分にしました>
<大学によりますと、この准教授は去年7月中旬から9月までの間にあった学長からの複数回の呼び出しに応じなかったということです。
さらに大学の事務局からのメールに対して「迷惑メール扱いとし開封しない」との内容のメールを大学側に返し業務を放棄したということです。
さらに過去数年間、複数回にわたって教員の立場を濫用して事務職員に厳しい要求を繰り返し、強圧的な言動を行っていたということです。
また教員同士で話し合いをした際に意見が食い違うと緊急性がないにもかかわらず警察に通報するなど大学内の秩序を乱したとされています。
これに対し、男性准教授は一部の事実関係を認めているものの、「いくつかの項目については記憶がない」と否定しているということです>
記事では最後に男性准教授側の話が書かれていますが、文体からして大学発表をそのまま記事にした感じです。おそらく男性准教授本人には確認していないでしょう。それでも記事にクレームがつくなどした可能性はあるものの、やはりあらかじめ准教授にも取材して言い分を聞いておいた方が良かったと思われます。
●暴行を受けて負傷という虚偽の被害届を出した金沢大学教授
2017/6/6:まず、今年の3月に報じられていた
准教授へのパワハラ、金沢大と元教授に支払い命じる判決:朝日新聞デジタル(塩谷耕吾 2017年3月30日20時58分 塩谷耕吾)から。金沢地裁では、ハラスメント行為を一部認め、大学と元教授に計385万円の支払いを命じました。
違法行為が認定されたのは6件で、記事で紹介されていたのは以下3件。特に虚偽の被害届なんてのはとんでもない話で、普通に犯罪者です。
・2008年に准教授から暴行を受けて負傷したとする虚偽の被害届を金沢中署に提出した。
・嫌がらせ目的で准教授の担当授業数を大幅に減らした。
・研究に必要な共同実験室の鍵を貸与しなかった。
●金沢大学の准教授の内部告発にパワハラで報復
上記の記事では、内部告発については触れられていません。なので、同じかどうか判断できないのですが、検索していると、
金沢大准教授が上司ら提訴 内部告発で嫌がらせ 報復への制裁強化を~消費者庁が改正検討|オリンパス現役社員のブログ 「公益通報者が守られる社会を!ネットワーク」(2015-01-10 09:41:47)というページを見つけました。
個人サイトですが、当時報じられていた東京新聞記事(特報面 平成24年11月5日)の写真がありますので、信頼して良さそうな感じ。記事は、不正経理を通報後に内部告発で嫌がらせを受けた金沢大准教授が、上司らを提訴したという内容でした。
あと、「オリンパス現役社員」というタイトル見て同一人物だろうと確かめてみたら、やはり過去に書いた
オリンパスの内部告発者いじめ・報復・パワハラ 裁判の判決も無視の方のブログでした。オリンパスでも内部告発者を吊るし上げていたんですよ。というか、オリンパスの場合は裁判で負けても反省なしというひどさでした。
●准教授の内部告発を国が情報漏洩する事件も
このオリンパスのケースもそうなのですが、内部告発の情報を得た側が、不正を正すのではなく、内部告発者を叩くのに協力するということがあります。ここらへんは日本政府からして意識が低く、大学に情報を漏らしてしまっているという事件も起きていました。
こちらは、金沢大医学系の准教授が"2013年10月、大学病院の臨床試験で死亡事故が発生していると電話で厚労省に告発した"という内容ですので、少なくとも最初の件とは別件と考えて良さそうです。
で、電話を受けた厚生労働省の担当者は、准教授から告発があったことをそのまま大学の当事者にメールで伝えてしまいました。これをやっちゃうと、真ん中のケースのように報復を受ける可能性があるので、絶対してはいけないことなのです。
今回ニュースになっていたのは、准教授が国などに損害賠償を求めた訴訟が、東京地裁で和解したというもの。准教授の弁護士は、「国が支払い義務を負うのは、情報漏えいの非を認めたことと同じであり、実質的な勝訴」と話していました。
(
東京新聞:不正告発の漏えい、国が和解金 金沢大准教授「実質勝訴」:社会(TOKYO Web) 2017年6月5日 19時20分より)
なお、この国がやばいというのは、同じように内部告発者をバラしてしまっているのを他にもやっているということ。
J-ADNIデータ改竄で厚労省田村憲久大臣、内部告発のもみ消しをはかるでやっています。
このケースの場合は、告発者が報復を受けてしまっていましたし、国自体が内部告発潰しをやるというハチャメチャなことになっていました。以前から書いているように、日本は研究不正が非常に多い国なのですけど、国からして不正をした人の方に味方して告発者を叩く意識ですからね。無理もないことかもしれません。
●報復で嫌がらせ受けていたのは小川和宏准教授だった
2018/08/05:准教授の件で実名報道しているものがありました。
内部告発者に「報復」する社会 法の欠陥、修正できるか - Yahoo!ニュースというものです。これ読むと、私が書いた3件とも同じ人だったのかもしれません。
薬理学研究室主任の准教授・小川和宏さんへの嫌がらせは2度の内部告発に起因しています。最初は2006年1月で、東北大の助手から金沢大の助教授に転じたときに、「薬品業者との架空取引で研究室の裏金をつくっている」ことを知ったとき。当然そんなおかしなことは許されないので、大学本部に通報。
ところが、大学は不正をやっていた教授に味方して情報漏えい。不正はなかったという結論も出します。さらに、教授らによる嫌がらせ、パワハラが横行。実験機器がない研究室以外の出入りを禁じられ、授業をする機会もほとんど奪われました。
●不正経理確定後も告発者への嫌がらせは改善されず
その後、地元メディアの報道で、抹殺されていた裏金疑惑は再調査に追い込まれます。結局、約525万円の不正経理が認定され、教授は出勤停止2カ月の懲戒処分。大学側も会見で「非常に重大なこと。再発防止に努めたい」と謝罪しました。
ただ、この謝罪は嘘っぱちだった模様。その後も小川准教授の授業数は回復されず、孤立状況は改善されず。オリンパスと似たような感じで、全然反省していませんね。
小川准教授はこの後さらに別件で内部告発します。2010年3月、金沢大学付属病院で骨肉腫だった16歳の少女が死亡する事故がありました。少女には先進医療とされる「カフェイン併用化学療法」が過度に施されており、これが原因で死に至った可能性があり、業務上過失致死で遺族から刑事告訴されていました。(最終的には不起訴)
ところが、大学側はこの時点で同じ療法を続けており、第2、第3の死亡事故が発生する危険性があるということで、厚生労働省に電話連絡。すると、担当者が「内部告発者は小川さん」とメールでバラしてしまいます。本当クソですね。
その後、こちらの件でも、大学側が主治医らの治療には倫理指針違反の疑いがあったと発表することに。直接的な死亡の原因だとは認定されなかったようなのですけど、厚労省も問題の療法について先進医療の認定を取り消しました。
●パワハラで損害賠償認められた後も金沢大学はいじめ続行
また、パワハラの件で訴えた裁判でも、「職場環境の改善に向け、具体的な対応をしていたとは言えない」と賠償金約220万円の支払いを命じられてます。
ただ、それでもやはり大学側は反省せずに悪質ないじめを続けています。大学側に言われて医学部生のテストの点数をコンピュータ入力しようとしたものの、入力に必要なID番号やパスワードを教えてもらえず。それなのに入力ができていないという理由で、懲戒審査にかけようとしているとのこと。
記事では、公益通報者保護法で告発者への「報復」に罰則なしであることを問題視しています。この記事での反応では、「先進国で唯一懲罰的賠償をしない国」との指摘も見かけました。ただ、前述の通り、担当大臣が自ら内部告発つぶししている国ですからね…。政治家が問題点の是正に動いてくれることは、期待しづらいところがあります。
●学生の試験点数提出しない准教授を出勤停止・提訴と読売新聞報道
2019/03/02:以前書いたところで、大学側に言われて医学部生のテストの点数をコンピュータ入力しようとしたものの、入力に必要なID番号やパスワードを教えてもらえず、その上入力ができていないという理由で、懲戒審査にかけられそうになっている…という話がありました。
で、この件じゃないかな?という"准教授、学生の試験点数提出せず「混乱と不安」"(2019/03/01)という 読売新聞オンラインの記事がありました。所属学科も一致しています。小川和宏准教授の件だったら、読売新聞はまずいですよ…。以下のような内容でした。
・金沢大は、試験の点数を提示しなかったとして、医薬保健研究域の男性准教授を出勤停止14日の懲戒処分にしたと発表した。
・准教授は2017年4~9月、医学類の中間試験と期末試験で、再三の注意を受けても学生の試験点数を大学側に提出しなかった。学生らの単位認定や進級に影響はないという。
・大学は2018年3月、試験点数の開示を求めて金沢地裁に提訴。係争中のため「詳細は差し控える」としている。
・山崎光悦学長は、「学生に混乱と不安を与えたことは極めて遺憾。適正な環境の維持に全力をあげたい」とコメント。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20190301-OYT1T50148/
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