今回は、ジューンブライドの日本の理解がおかしいと聞いたことがあったを急に思い出して調べてみた…という話です。諸説ありというものですが、やはりヨーロッパ由来というのは怪しい感じでした。
また、日本でそんな伝統が捏造されたというのも、結婚業界の陰謀という嫌な話が有力です。夢も希望もない話になってすみません。
↓バチカンのユノ像
●ヨーロッパではそんな伝承なし?怪しいジューン・ブライドの由来
6月の英語名ジューン(June)は、
6月 - Wikipediaによると、ローマ神話のユピテル(ジュピター)の妻ユノ(ジュノー、ギリシャ神話ではゼウスの妻ヘラにあたる)から取られた"ものです。
そして、ジューンブライドもこのユノが関係するとされています。"ユノが結婚生活の守護神であることから、6月に結婚式を挙げる花嫁を「ジューン・ブライド」(June bride、6月の花嫁)と呼び、この月に結婚をすると幸せになれる"というわけです。
ただし、
フランス人の結婚は「ロマンのかけら」もない | 恋愛・結婚 | 東洋経済オンライン(岩本 麻奈 :皮膚科専門医 2017年06月04日)は、これに否定的でした。
岩本麻奈医師によると、ジューンブライド(June Bride)という言葉はフランスで聞かないそうです。しかも、6月に結婚すると幸せになるという言い伝えもありません。
さらに、ヨーロッパではキリスト教の国が多いために、"ギリシャ・ローマの神々がヨーロッパの人々の生活に影響を与えるというのは考えにくい話"ではないかと、岩本医師はおっしゃっていました。
また、"6月に結婚したら幸せになれる"という話は、前述のものの他に、農繁期の3~5月の結婚は禁じられており、解禁される6月に集中したといった説があるそうです。ただ、これもヨーロッパ起源説に乗っかったものであり、フランスで幸せになれるの話を聞かないというのは、いずれにせよ妙なことには違いありません。
●フランスの結婚は超合理的?
話がそれてしまうのですが、岩本医師は、フランスの結婚は、「非常に合理的に行われます」とおっしゃっていました。ただ、以下のように内容を見ると、むしろ合理的ではないものもある気がするんですけど…。
・フランスでは、事前に結婚を公知のものとする義務があり、その結婚に異議のある者は申し立てを行う。
・法的な婚姻手続きの際に、市役所で市長が主宰して簡素なセレモニーを行う。
・婚姻手続きをするための書類として、医師が作成した婚前健康診断書がある。持病を隠していたといったトラブルを防ぐだけでなく、将来子どもを持てるかどうかを証明する目的もある。
・「もし離婚することになれば、持ち家はどうする、財産はこうする」「どちらか一方が先に死去した際は、財産分与はどうする、他の一方が家にそのまま住み続けるか」といった結婚契約書を交わすシステムがある。
●6月の結婚がヨーロッパで多いのは単に天候が良いから
ジューンブライドの話に戻って、また別の由来説について。
コトバンクの知恵蔵では、「ヨーロッパでは気候が良いから」という説を挙げていたのです。
実を言うと、先の岩本医師も、"フランスでは実際6月や7月に結婚式が(こと土曜日に)多く行われ"ることを紹介した上で、"梅雨のないフランスではいい季節である"としていました。
また、"パートナーたちが長い夏のヴァカンスを前にして「本格的にガンバルか」と決意するから"といった理由も推測。さらに「合理的」である「この時期に結婚すると所得税の率が低くなるから」というロマンスの欠片もない理由も想像していました。
ただし、フランスでは、「雨の日の結婚式は幸せになる」というジンクスがあるそうです。その理由は「天から祝福された証拠で、天使の粒が降り注ぐから」とも、「これから先の一生分の涙をこの雨が流してしまうから」とも言われているとのこと。
いずれの理由にせよ、雨の少ないシーズンにやるのは「日本の幸せな結婚ができる6月」のイメージと異なることになってしまいました。
●ジューンブライドの由来は結婚式に不向きな6月の売上増加のため?
上記のように「ヨーロッパでは天気が良いから」も怪しさがあるのですけど、この説を取った場合に日本のジューンブライドはむしろ最悪だと言えます。梅雨のシーズンであるためです。
そして、先の知恵蔵では、これに関して非常に嫌な話を書いています。
ヨーロッパでのジューンブライドの真偽はともかく、日本でジューンブライドが定着したのは、"1967年~68年に、ホテル業界やブライダル業界が売り上げ向上を狙ってジューンブライドを打ち出したのがきっかけといわれている"としていました。
売上増加目的という時点でロマンチックな話とは縁遠いのですが、もっと最悪なのがなぜ6月を強化する月として選んだのかという理由。前述の通り、"日本の6月は梅雨の時期で、雨が多く多湿"です。さらに、"当時の婚礼を挙げる施設では空調設備などが整っていなかったため、挙式をする人が少なかった"という事情がありました。
つまり、ブライダル業界が本来結婚式に不向きで人気のない6月にも挙式するカップルが増えるよう、"ジューンブライドの言い伝えを広めたとされている"そうです。
ということで、恵方巻きや初詣といっしょで、宣伝目的の捏造された伝統だった可能性があるという話でした。
(関連:
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●結婚式に向かないがゆえに費用的にはおいしいジューンブライド
知恵蔵によると、この宣伝戦略は、"当初は、あまり効果が上がらなかったようだが、近年では空調設備が整い、室内での演出も豊富になってきたことから、ジューンブライドが浸透していった"としています。
一方で、"厚生労働省の統計では、2010年時点で、6月の挙式はそれほど多くないという統計が出ている"とのこと。ただ、もともと結婚式に不向きなシーズンの売上増加が狙いなのですから、その役割は十分に果たしたと言えるでしょう。まんまと騙されてしまいました。
なお、この結婚式に不向きなシーズンというのは、費用面ではオトクなところがあるという指摘もあります。
憧れの“ジューンブライド” 費用で考えると実は狙い目!? |ネット銀行関連ニュース|オリコン日本顧客満足度ランキング(2017年06月04日 10時50分 武藤貴子)という記事で、そういう話がありました。
これによれば、6月に挙げる挙式費用は、"安く設定されている式場が多い"そうです。理由はもちろん、"梅雨の時期であること"から。"雨の影響で、屋外での挙式や演出、写真撮影は難しい場合が多く、足元が悪くなることなどを考慮し、この時期を避ける人が多い"ためです。
なお、"挙式費用が高いのは、3~5月や9~11月"。"特に、3~5月や10~11月は気候が穏やかで、比較的安定しているため、ハイシーズンとなる"そうです。
結局、ヨーロッパで6月が多いのといっしょで、天気の影響が一番なのかもしれませんね。
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