富士フイルムでも不適切会計、決算発表を延期 粉飾決算の疑いもというのも書きましたが、もう一つ。
「不適切会計」という時点で東芝を思い出す話だった、富士フイルムホールディングス傘下の富士ゼロックスの販売子会社で起きた不適切な会計処理問題。
続報によって、東芝と似たような感じで問題となっている金額が拡大。また、東芝ともう一つ似ているというのが、背景に売上高を上げるという本社からのプレッシャーがあったのではないか?と指摘があったことです。子会社の固有の問題というよりは、富士フイルムそのものに問題があるということですね。
あと、そもそも一度もみ消されていたということも書かれており、会社としての問題の闇は深そうです。
●東芝と同じく富士フイルムも当初発表の過大計上額より拡大
まず、発表金額の拡大という話。富士フイルムホールディングスは12日、海外のグループ会社で見つかった不適切な会計処理を巡り、新たにオーストラリアのグループ会社でも不適切な会計処理が判明したと発表しました。当初問題になっていた子会社は、富士ゼロックス傘下のニュージーランドの販売会社であり、別の会社です。
これにより、2016年3月期までの数年間に純損益ベースで約220億円の利益の過大計上があった可能性があるとしていたのを、利益の過大計上は375億円と拡大することになりました。
(
富士フイルム、利益過大計上375億円 豪でも判明:朝日新聞デジタル 2017年6月12日12時03分より)
400億円未満であり、富士フイルムの規模からすると大きな金額ではないものの、1.7倍になっていますので、増え方はかなりのものです。このような当初言っていたより増加…というのは、東芝っぽさがあります。
●富士ゼロックスの不適切会計は富士フイルム本社が原因か?売上プレッシャーの存在指摘
また、より東芝っぽかったのが、富士フイルム本社からの圧力があったこと。東芝では「チャレンジ」というワードが使われていましたが、今回の調査報告書は「売上プレッシャー」という言葉を使っています。
富士ゼロックスは1兆円台達成を中長期の目標としており、社内の会議資料などでは「もう1丁(兆)やるぞ!!」の記述がみられるそうです。さらに決定的なのが、複数のインタビュー対象者から、本社からの業績達成圧力が非常に強いとの証言を得たという話。
(
富士ゼロックス不適切会計 背景に売上高至上主義 :日本経済新聞 2017/6/12 18:18より)
子会社が勝手にやった…というよりは、東芝同様に上層部からの圧力が不正へと走らせた格好です。そっくりですね。
●告発メールをもみ消し…富士フイルムの問題の闇の深さ
同じ記事によると、実は2015年7月、ニュージーランド販社が不適切な取引を行っているとの内容の告発メールが、富士ゼロックス副社長らに届ていました。
しかし、専務は「悪い部分をチェリーピッキングした記載にするな」などとコメント。副社長も「まずは問題ないと書け」「ニュージーランドの第二章はちゃんとやる」などと述べ、実質的な問題先送り。最終的に、倉庫や工場の売却による利益で損失を相殺して、隠蔽してしまったようです。
なお、「チェリーピッキング」というのは、普通は都合の良いところだけ取り上げる不正を指します。今回の場合は、専務側の処理の仕方が不正であり、本来とは逆になっています。
それから、このもみ消し行為にも関わらず、後に損失が判明したのですが、これも自浄作用が働いた結果ではないというのがまた腐敗を示す話。ニュージーランドの複数の報道機関が損失発生の事実を指摘して、警察省が捜査を行ったから明らかになったわけで、外部に言われて仕方なく…といった感じです。
こうやって経緯を見ていくと、富士フイルムという組織は、もうすでにかなりヤバイことになっているように見えます。
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