曽野綾子氏「加害者が傷つくから被害者の自殺もいじめと同罪」

　本当に困ったことだと思うのですが、いじめに関して「いじめられる方にも問題がある」と主張する人が結構いらっしゃいます。今回はそれとはちょっと違うのですが、作家である曽野綾子さんがいじめられていた子を攻撃していたという話。やはり理解できない類の主張でした。

　なお、2016年に書いたものの使っていなかった投稿であり、当時やっていて今はやっていないクイズが最初にあります。


【クイズ】熊田裕通衆院議員が、学生時代に女性教師をトイレに閉じ込めた後にしたこととして正しいのはどれでしょう？

(1)大声で悪口を言い続けた。
(2)戸をどんどんと叩いた。
(3)爆竹を投げ込んだ。


●「高齢者は『適当な時に死ぬ義務』がある」で批判浴びた曽野綾子氏

2017/6/25：実を言うと、元記事は、「高齢者は『適当な時に死ぬ義務』がある」という曽野綾子さんの発言に関するもの。タイトルも全文表示 | 「高齢者は適当な時に死ぬ義務あり」84歳曽野綾子発言がブーメランに　ネットで「あなたからどうぞ」 : J-CASTニュース(2016/2/ 2 18:59)です。いじめの話はメインではありませんでした。

＜ 作家の曽野綾子さん（84）が「週刊ポスト」のインタビュー記事で語った「高齢者は『適当な時に死ぬ義務』がある」との主張がネット上で大反発を受けている。 高齢者は権利や機会を若者に譲り、死と向き合うべきだ――そんな「生き方」の主張だったが、「あなたからどうぞ」など厳しい意見が相次いでいるのだ。
インタビュー記事は、2016年2月1日発売の「週刊ポスト」（2月8日号）に掲載された。「高齢者は『適当な時に死ぬ義務』を忘れてしまっていませんか？」との問いかけで始まり、曽野さんは「『いくらでも生きたい』は傲慢」「権利を『求め倒し』、医療を『使い倒し』、他人を『頼り倒す』ことは肯定されない」との持論を展開する＞


●曽野綾子氏「加害者が傷つくから被害者の自殺もいじめと同罪」

　ただ、私が上記の話よりもっと気になったのは、いっしょに出ていたいじめの話でした。これがあまりにもひどいのです。

＜15年7月、岩手県矢巾（やはば）町の中学2年の男子生徒（当時13）がいじめを苦に自殺した問題では、「自殺した被害者は、同級生に暗い記憶を残したという点で、彼自身がいじめる側にも立ってしまった」と同年9月11日発売の「ポスト」（9月18日号）に語り、問題視された＞

　WHOは自殺に関して慎重な報道を求めています。今の報道は自殺をポジティブに思わせかねないところがあり、いじめ自殺の報道そのものは私も見直しが必要だと考えています。ただ、もちろんWHOが言っているのは、曽野綾子さんのような観点ではありません。私やWHOが懸念しているのは、報道による自殺の誘引。曽野さんの発言は自殺被害者の遺族をさらに傷つけるようなものでもあり、理解できません。

　政治と結びつけてしまうと、いじめ自殺の政治利用的で気が引けますが、思い出してしまったのが曽野綾子さんが保守派・右派の論客であることです。保守派の人たちがいじめる側に立っているとわかった事例は、以前もありました。中川雅治,熊田裕通がいじめ自慢 橋本聖子,義家弘介も問題視せずで書いたものです。

　この投稿では自民党議員のいじめの話が複数登場。まずはクイズにした熊田議員。こんな行動思いつきもしませんわ。「女性教師トイレに閉じ込め、爆竹投げ込む」　自民・熊田議員のヤンチャ自慢が大炎上し、謝罪 : J-CASTニュース(2015/8/ 5 19:56)では、熊田裕通衆院議員（50）の以下のような話が出ていました。

＜「女性教師をトイレに閉じ込め、爆竹を投げ込んで快感だった」。自民党の国会議員がホームページ上で、若いときのこととしてこんな発言をしていたことが分かった。イジメなどを肯定しているのではないか、とネット上で批判が相次いでおり、議員が不快な思いをさせたと謝罪する事態になった＞


【クイズ】熊田裕通衆院議員が、学生時代に女性教師をトイレに閉じ込めた後にしたこととして正しいのはどれでしょう？

(1)大声で悪口を言い続けた。
(2)戸をどんどんと叩いた。
(3)爆竹を投げ込んだ。

【答え】(3)爆竹を投げ込んだ。



●しばしばいじめに肯定的な発言をする右派…教育いじめ自慢

　また、同じところで紹介したのは、中川雅治議員(中川正春議員とは違います)。(cache) 参議院議員 中川雅治 公式ホームページ　教育鼎談で、紹介したものですが、鼎談であるために、問題視しない他の自民党議員らにも疑問を感じるものでした。よりによって全員教育担当議員ってのがやばいですね。

中川　私の中学時代は男子校でしたが、クラスの悪ガキを中心に皆いつもふざけていて、ちょっと小さくて可愛い同級生を全部脱がして、着ていた服を教室の窓から投げるようなことをよくやっていました。脱がされた子は素っ裸で走って服を取りに行くんです。
当時、テレビでベンケーシーという外科医のドラマがはやっていました。ベンケーシーごっこと称して、同級生を脱がして、皆でお腹やおちんちんに赤いマジックで落書きしたりしました。やられた方は怒っていましたが、回りはこれをいじめだと思っていませんでしたね。今なら完全ないじめになり、ノイローゼになったりするケースもあるのかなあと思います。いじめられている方も弱くなっているという側面はありませんか。

　中川雅治,熊田裕通がいじめ自慢 橋本聖子,義家弘介も問題視せずでも書いたように、中川雅治議員の発言をとがめなかった橋本聖子議員は、柔道日本代表の暴力問題(体罰ではなく暴力)のときに、告発で告発者が名前を出していないのは卑怯だとして、告発者側を攻撃していました。
(関連：橋本聖子の内部告発者の名前公表要求に見る日本のパワハラ・いじめの背景)

　いじめる側にシンパシーを感じてしまうところがあるのでは？という発言が多く、問題を感じます。

(最後に関連投稿を探していたら、150万円支払いでもいじめではない…の横浜市教委、つくる会教科書採用していたが出てきました。本当、いじめと右派の親和性が高すぎてびっくりしますわ…)


【本文中でリンクした投稿】
　　■中川雅治,熊田裕通がいじめ自慢 橋本聖子,義家弘介も問題視せず
　　■150万円支払いでもいじめではない…の横浜市教委、つくる会教科書採用していた

【その他関連投稿】
　　■いじめは自衛隊や防大の文化 耐えることが自衛官の修行になる
　　■いじめで警察への通報と録音を禁止する学校、刑事告訴の限界など
　　■教師はむしろ性格悪い？ いじめに加担どころか率先、わいせつ行為など
　　■いじめられた経験がある人ほど、いじめられている子に厳しい
　　■学校・教育・子どもについての投稿まとめ