公式戦ではないのですが、話題の藤井聡太四段は羽生善治三冠に勝ってしまっているという話。当時はまだ藤井フィーバーがなくて、意外に大きなニュースになっていなかった印象です。
2017/6/29:
●羽生三冠「檜舞台で顔を合わせる日を楽しみにしています」
●藤井聡太四段は天才?既に羽生善治三冠との対戦でも勝利している
●実はすごくない可能性も…非公式戦の戦いは公式戦といっしょにできない?
2018/01/22:
●藤井聡太四段が名人破り、タイト保持者からの勝利の最年少記録更新
●朝日杯のルールは藤井聡太四段に有利…と思いきや実は苦手なのに勝利
2018/02/17:
●主人公無双アニメみたい…天才藤井聡太氏、羽生善治竜王らに勝利し、史上最年少優勝
2018/05/19:
●藤井聡太氏、史上最年少で七段に昇格 15歳なのに新人王戦出場の資格がなくなる
2018/12/24:
●今度は一気に3つの新記録、最速・最年少・最高勝率で通算100勝を達成!
2020/07/17:
●将棋連盟会長「更新は無理…」、史上最年少記録で初タイトル獲得
2021/07/04:
●記録保持者に3連勝し、タイトル防衛と九段昇段の最年少を同時達成! 【NEW】
●羽生三冠「檜舞台で顔を合わせる日を楽しみにしています」
2017/6/29:
藤井聡太四段の強さ 詰め将棋日本一の終盤力と将棋AIの分析と影響では、以下のようなエピソードがありました。
"難解な詰め将棋を驚異的なスピードで解く“怪物少年”が愛知県にいるという噂は、何年も前から羽生善治棋聖らトッププロの間でも広まっていた"
藤井聡太四段のデビュー後負けなしの29連勝を達成では、多くの将棋関係者がメッセージを出しています。その中には、この羽生善治三冠の「対戦を心待ちにしている」という趣旨のコメントもありました。
「29連勝は歴史的な快挙です。結果も素晴らしいですが内容も伴っていいる点でも凄みがあります。この記録は時が経つにつれ重みを増して来るはずですし、将棋界の新しい時代の到来を象徴する出来事になりました。檜舞台で顔を合わせる日を楽しみにしています」
(
藤井聡太四段29連勝、歴代単独トップ|棋戦トピックス|日本将棋連盟 更新:2017年06月26日 21:33より)
●藤井聡太四段は天才?既に羽生善治三冠との対戦でも勝利している
もっと早く書いておけば良かった話かなと思うのですが、非公式であれば、実は二人はもうすでに対戦しています。そして、なんと藤井聡太四段の方が勝っているのです。
この対戦は、"AbemaTV 将棋チャンネルが企画した「藤井聡太四段 炎の七番勝負」"でした。放映されたのは、2017年4月23日みたいですね。
(
羽生三冠が負けた!14歳プロ藤井四段が快挙...非公式戦で格上棋士つぎつぎ、なぎ倒す : J-CASTテレビウォッチ 2017/4/24 15:59 より)
羽生三冠は初めから苦戦していたようで、"持ち時間を使い切って、一手1分以内という状況に"。藤井四段の111手目で、「負けました」と頭を下げたそうです。
●実はすごくない可能性も…非公式戦の戦いは公式戦といっしょにできない?
アルファ碁、世界トップ級イセドルに勝利 実は囲碁が弱い日本人でも書いたように、ルールが異なれば強さも変わってきます。非公式戦ゆえの何かがあるみたいな説明もあるかもしれないと思いました。
しかし、藤井四段の師匠、杉本昌隆七段は「全く隙がない将棋を指した。羽生三冠にしても、どこが敗因かわからないと思われるほど、藤井の出来がよかった」というコメントであり、「普通に強かった」 という評価。一方、野上慎平アナは、「ただし、タイトル戦となると、待ち時間も8時間(テレビマッチだと2時間)と変わる。戦い方も変わる」としてルールの違いに触れていました。
とはいえ、やはりこの結果は予想外でした。もともと"このテレビ企画は、藤井四段が、羽生三冠のほか、若手のホープから中堅エース、将棋連盟会長などの長老までが、14歳に胸を貸す、というもので、「1勝できればいいか」などとみられていた"そうです。それが、全勝にまではならなかったものの、6勝1敗という最終成績になりました。最高クラスを含む先輩棋士相手に7戦6勝ですから、やはり驚異的だと思います。
Aクラス
羽生善治三冠(46)
深浦康市九段(45)
佐藤康光九段(47)
B1クラス
斎藤慎太郎七段(24)
B2クラス
中村太地六段(28)
C1クラス
永瀬拓矢六段(24)
C2 クラス
増田康宏四段(19)
ちなみに唯一負けたのが、C1クラスという今回の対戦相手の中では高くないクラスの永瀬拓矢六段(24)であることがおもしろいですね。詳細な説明がなく、藤井四段の攻略法となるのか、このルールならではの戦法なのかは不明ですが、「奇襲戦法に敗れた」と書かれていました。特別な対策を講じていたようです。
●藤井聡太四段が名人破り、タイト保持者からの勝利の最年少記録更新
2018/01/22追記:藤井聡太四段(15)が佐藤天彦名人(29)を破りました。今回は本当に公式戦であり、公式戦で初めてタイトル保持者を破ったことになります。これは、2018年1月14日の朝日杯将棋オープン戦の本戦2回戦の出来事。そして、次は2月17日に東京で行われる準決勝で羽生善治竜王(47)との対戦だというから、ドラマチックです。
(
藤井四段、佐藤名人破り4強 朝日杯将棋、次は羽生竜王:朝日新聞デジタル 村上耕司 2018年1月14日16時17分より)
解説がほしくて、
はてなブックマークを見ると、「公式戦で15歳が名人を破ったことはかつてあるのだろうか?」(augsUK)という質問に、「加藤一二三五段(当時)が大山康晴名人に15歳11ヶ月で勝利」(Josui_Do)という回答が出ていました。天才と呼ばれた加藤一二三さんですね。ただし、「藤井四段は15歳6ヶ月なのでこちらも最年少記録更新」とのこと。やはりすごいです。
(関連:
加藤一二三九段、新たな伝説 75歳にして前代未聞の定食ダブル注文)
同じ方は、「今期の佐藤天彦名人は成績が芳しくない(この対局まで勝率5割)のを差し引いても凄い」という感想を漏らしていました。これについては、「そうは言っても、佐藤名人が対戦するのは強豪ばかりなので勝率5割が直ちに低いとは言えないかと。相対的に弱い棋士は佐藤名人と対戦するまでに負けるので」(h5dhn9k)というコメントもありましたが、私は将棋に詳しくないのでよくわかりません。
●朝日杯のルールは藤井聡太四段に有利…と思いきや実は苦手なのに勝利
私が気になっていたのはルール。大会によってルールが違うはずですし、ルールが違えば強さも変わってくるでしょう。これは、もともと書いていた羽生善治さんに勝ったとは言え公式戦じゃないから…と言われた理由にもなっています。
で、はてなブックマークの人気コメントによると、なんと今回の勝利はむしろ藤井四段が苦手のルールでのものなんだそうな…。<藤井四段が不得手と言われている早指し棋戦&負けが込んでいる横歩取りで、後手番横歩取りを原動力に名人となった天彦(引用者注:佐藤天彦名人)に勝ったってのが凄い>(ippeichangg)とのことです。
「1クールアニメでいう10話あたりのドラマティック展開」(kousyou)が、はてなブックマークでの1番人気のコメントでしたが、マジでいろいろとできすぎたストーリーです。
●主人公無双アニメみたい…天才藤井聡太氏、羽生善治竜王らに勝利し、史上最年少優勝
2018/02/17追記:羽生さんにも公式戦で勝っちゃうんじゃないかと思っていたら本当に勝ってしまい、そのまま史上最年少優勝。本当漫画のようですけど、あまりにも主人公が順調すぎて逆に編集担当者にダメ出しされそうな展開です。
…と最初書いていたのですけど、最近は主人公が最強でチートというタイプの作品が1ジャンルと認知されていたのを思い出しました。なので、「主人公無双アニメみたい」などと言った方が良いのかもしれません。
なお、羽生善治竜王とは準決勝での対戦でした。決勝の相手は、広瀬章人(あきひと)八段(31)。15歳6カ月での一般棋戦優勝は、史上最年少記録。また、「全棋士参加棋戦で優勝」という条件を満たしたため、六段昇段も決まっています。これも同じく史上最年少記録だそうです。
(
藤井五段、朝日杯V 最年少15歳で棋戦優勝 六段昇段:朝日新聞デジタル 佐藤圭司 2018年2月17日16時41分より)
ともに過去の記録を持っていたのは、加藤一二三さんです。加藤一二三さんが棋戦で優勝したのは、昭和30年に当時あった「六・五・四段戦」で優勝した15歳10か月。藤井さんは現在15歳6か月で、加藤さんが優勝したときより4か月若く、63年ぶりに最年少記録を更新しました。
また、過去の記録としては、次いで、谷川浩司さんが昭和54年に当時の「若獅子戦」で優勝した16歳10か月。羽生善治さんが昭和62年に同じく「若獅子戦」を制した16歳11か月などとなっているそうです。
六段への昇段も、これまで加藤さんが最も早く、昭和31年に打ち立てた16歳3か月が最年少記録となっていました。藤井さんは、この時の加藤さんよりも9か月早く六段になり、62年ぶりに記録を更新。ちなみに、谷川さんは17歳11か月、羽生さんは19歳0か月で六段に昇段しているとのこと。
("将棋 藤井聡太五段 棋戦初優勝 六段昇段 2月17日 19時04分 NHK"より)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180217/k10011333201000.html
また、今月1日に昇格したばかりだった「五段」も中学生で初めてだったということで、記録だらけとなってきました。
(
藤井五段、羽生竜王を破る 将棋・朝日杯で公式戦初対戦:朝日新聞デジタルより)
●藤井聡太氏、史上最年少で七段に昇格 15歳なのに新人王戦出場の資格がなくなる
2018/05/19:出世のペースが早すぎて、何段なのかわからなくなってきました。また上がって今度は七段だそうです。
2018年5月18日、藤井聡太さんは、第31期竜王戦ランキング戦5組の準決勝で、船江恒平六段に勝利。竜王戦のランキング戦は最上位の1組から6組まであり、成績優秀者は上位の組に昇級できます。藤井さんはこれで4組への昇級が決定。2017年の5組への昇級と合わせて「六段昇段後、竜王ランキング戦で連続昇級」とする昇段規定を満たしたため、七段昇段が決まりました。
日本将棋連盟によると、15歳9カ月での七段昇段は史上最年少記録。加藤一二三(ひふみ)・九段(78)の17歳3カ月で七段昇段の記録を61年ぶりに塗り替えることとなりました。
(
藤井聡太六段、史上最年少で七段昇段 船江六段を下す:朝日新聞デジタル 佐藤圭司 2018年5月18日21時13分より)
あと、はてなブックマークで反応を見ると、15歳なのに今期以降はもう新人王戦出場の資格がなくなるという話題が出ていました。
inose660 まだ新人王戦に参加している途中なのだが、これどうなるんだろう (参加条件=26歳以下かつ六段以下)
fujifavoric 棋戦参加資格はエントリー時の状況で判断されるので今期新人王戦(現在16強)は続行です。エントリー時四段(!)なので敗退しても優勝しても今期限りで参加資格がなくなるはず。
tecepe ほとんどの子供の頃から将棋の天才って呼ばれるような人が奨励会三段リーグ突破出来ずにやめていって、突破したとて大多数のプロがB級にも行けず六段止まりで引退するのに15歳で新人王の資格も無くなるとかなんなの。
(
はてなブックマーク - 将棋の藤井聡太さん 15歳で七段に 最年少記録を61年ぶり更新 | NHKニュースより)
●今度は一気に3つの新記録、最速・最年少・最高勝率で通算100勝を達成!
2018/12/24:藤井聡太七段(16歳)が12月12日に行われた第27期銀河戦で阿部健治郎七段に勝ち、公式戦通算100勝を達成していました。藤井フィーバーもだいぶ収まってきたのか、最初見逃していたニュースです。
中学生棋士の中では羽生善治竜王を抜いて最速・最年少、また中原誠十六世名人を抜いて最高勝率での達成ということで、一気に3つの記録を更新しています。
<通算100勝達成記録 (達成年齢の若い順)>
棋士名 通算100勝達成日 達成日年齢 四段昇段後から達成までの期間 100勝達成時の勝敗数
1 藤井聡太 2018年12月12日 16歳4ヶ月23日 2年2ヶ月11日 100勝18敗
2 羽生善治 1988年4月16日 17歳6ヶ月20日 2年3ヶ月29日 100勝27敗
3 谷川浩司 1980年7月2日 18歳2ヶ月26日 3年6ヶ月12日 100勝46敗
4 加藤一二三 1958年5月9日 18歳4ヶ月8日 3年9ヶ月8日 100勝34敗
5 渡辺明 2003年9月8日 19歳4ヶ月16日 3年5ヶ月7日 100勝48敗
(
藤井聡太七段、最速・最年少・最高勝率で通算100勝を達成!|将棋ニュース|日本将棋連盟より)
記録を破られた中原誠十六世名人は、「100勝の記録は当時はあまり話題にならなかったし、私も意識はしませんでした」とおっしゃっていました。他の記録と比べると地味なようで、これまでほど大きなニュースにならなかったというのはそういうことなのかも。むしろその地味な記録すらニュースになるのですから、まだまだ藤井フィーバーが健在と考えるべきかもしれませんね。
●将棋連盟会長「更新は無理…」、史上最年少記録で初タイトル獲得
2020/07/17:久しぶりの追記。書かなくてはいけないだろう!という記録が出ました。高校生棋士、藤井聡太七段(17)が2020年7月16日、棋聖戦五番勝負の第4局で、渡辺明三冠(36)に勝ち、棋聖位を奪取。初めてのタイトル獲得で、17歳11カ月での獲得は史上最年少記録です。
今回はただの優勝ではなくタイトルなので、以前の優勝と違います。棋聖は将棋界に八つあるタイトルの一つでした。1990年に屋敷伸之九段(現在は48歳)が作った18歳6カ月のタイトル獲得最年少記録を7カ月更新しています。
(
【詳報】藤井聡太七段「実感が…」読めない手連発で逆転:朝日新聞デジタル 2020年7月16日 19時13分より)
藤井聡太さんはとにかく記録だらけなのですが、今回は特にすごいものかもしれません。日本将棋連盟・佐藤康光会長は、「藤井新棋聖はさまざまな記録を打ち立てていますが、これは破られることはないのではと感じます」としていました。
(
藤井七段 タイトル最年少記録更新!/棋聖戦詳細 - 社会ライブ速報まとめ : 日刊スポーツより)
●記録保持者に3連勝し、タイトル防衛と九段昇段の最年少を同時達成!
2021/07/04:節目の記録だったので追記。<将棋 藤井聡太二冠 棋聖戦制す 史上最年少で初防衛 九段昇格>(2021年7月3日 23時21分 NHK)によると、将棋の藤井聡太 二冠が、「棋聖戦」の五番勝負で挑戦者の渡辺明 三冠を相手に3連勝し、自身初となるタイトル防衛を果たすとともに、史上最年少の18歳11か月で「九段」に昇段しました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210703/k10013118461000.html
藤井聡太 二冠(18)は、2020年、八大タイトルのうち「棋聖」と「王位」を立て続けに獲得して史上最年少で「二冠」を達成していました。そして、今回は初めての防衛戦となる「棋聖戦」。この五番勝負では、渡辺明 三冠(37)を相手に3連勝し、ストレート勝ちで防衛に成功しました。強いですね。
藤井二冠は「18歳11か月」で自身初となるタイトル防衛を果たし、これまでのタイトル防衛の最年少記録、「19歳0か月」をわずかに更新。さらに、藤井二冠は今回のタイトルを防衛したことで「タイトル3期獲得」の条件を満たして、将棋の段位で最上位の九段に昇段しました。
九段昇段のこれまでの最年少記録は今回の対戦相手である渡辺明 三冠が16年前に記録した「21歳7か月」だったということで、これもドラマチック。藤井二冠はこれを大幅に更新して10代で初めての「九段」の棋士になります。藤井二冠は「『タイトルを防衛して一人前』ということばも将棋界にはあるので、防衛できてよかったです」と語る一方、「段位のことは全く意識していなかった」としていました。
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