蓮コラやトライポフォビアの説明を最初にやりますが、要するにブツブツしたものがキモくて仕方ないという症状。これはまだ多く研究された話ではなく、わからないところだらけで、正式な恐怖症としても認められていません。ただ、一応ちょくちょくと研究は出てきているみたいですね。
例えば、以前、これを恐れる理由として、有毒生物を避けるためという説明が出ていました。一方、今回の新たな研究では、病気への嫌悪だという仮説が提示さています。ただ、どちらかで決まりとはまだ言えず、不完全なもの。結局、まだ謎のままのようです。
2022/05/11追記:
●トライポフォビアと違うの?「集合体恐怖症」という言葉も登場 【NEW】
●本当に怖いのは「蓮コラ」ではなく「蓮コラみたいな病気」か? 【NEW】
●蓮コラを恐れるトライポフォビアの理由 有毒生物への恐怖
2017/7/22:「蓮コラ」というのは、蓮の花托を模したコラ画像。この「蓮」に代表されるようなぶつぶつの穴や斑点がたくさんある画像を異常に気味悪がるという人が結構います。こうした小さな穴の集合体を恐れる症状を「トライポフォビア」というようです。ギリシャ語で「穴掘り」を意味する「トライポ」と、「恐怖症」を意味する「フォビア」を掛け合わせた造語で、小さな穴や斑点などの集合体に対する恐怖を意味しています。
しかし、
ブツブツ恐怖症の原因に新説、トライポフォビア | ナショナルジオグラフィック日本版サイト(2017.07.18 文=Sarah Gibbens/訳=米井香織)によると、米精神医学会はトライポフォビアの存在を認めていません。専門家の間では意見が割れており、本物の恐怖症ではなく特異体質あるいは異常行動だと言われることも多い状態です。
このナショナルジオグラフィック記事は、「新説」という話です。それ以前はどうだったのだろう?ということで、先に別記事がないかと検索。その検索で出てきた
蓮コラがゾワゾワするのはなぜ? 英エセックス大が研究 - ねとらぼ(2013年09月06日 20時28分)から見ていくことにしました。
2013年の記事では、英エセックス大学で視覚科学を専攻しているジェフ・コール博士とアーノルド・ウィルキンス教授が発表した「こうした症状は人類が進化する過程で得られた教訓かもしれない」とする説を紹介しています。「Psychological Science」に掲載された研究です。
エセックス大学の研究チームが実施したある実験では、参加者の16%にトライポフォビックな反応がありました。また、「ヒョウモンダコを見たときに、苦手な穴だらけの画像と同じ衝撃を受けた」というトライポフォビア患者にヒントを得て、ヒョウモンダコをはじめ、オブトサソリやキングコブラなどさまざまな有毒生物の画像についても調査。その結果、同様の反応があることを確認しました。
そして、人類が過去に遭遇した有毒動物に起因する可能性があり、我々は危険をもたらすものを警戒する生まれもった素質があると結論付けたそうです。たぶんヒョウモンダコ、オブトサソリやキングコブラなど、有毒生物への恐怖がある方が、人類で生き残る上で有利に働いたから…といった感じなんでしょうね。
●トライポフォビアに新説 有毒生物への恐怖ではなく、病気への嫌悪説
では、ナショジオに載っていた新説というのは、どのようなものでしょう? 記事によれば、今回の仮説は、英ケント大学のチームが7月6日付けの科学誌「Cognition and Emotion」に発表しています。「嫌悪感は感染症や病原体の回避に役立つことがよく知られています」と論文を執筆したトム・カプファーさんは説明してます。これは有毒生物を避ける先程の話とも似た感じなのですが、「病気を回避する反応」ということで避ける対象は異なっていました。
研究チームは、天然痘やはしか、チフスなどの病気の症状として現れるブツブツの集合体が、日常生活で目にするよく似た模様への過剰な反応を引き起こしているかもしれないと理論付けています。そういや、病気でもああいうブツブツありますね。私も苦手に感じる見た目です。
トム・カプファーさんらがなぜこう考えたのか?というのは、実験の詳細を読むとわかります。実験では、ハスの花床などの写真に不快感を示したのはトライポフォビアのグループに、具体的にどのような気分かを質問したところ、恐怖というより嫌悪を感じる人の方が圧倒的に多かったのです。
そこで、研究者らは、命を奪う動物への恐怖ではなく、病原体への嫌悪がトライポフォビアを引き起こしている可能性が高いと結論づけたというわけでした。確かに有毒生物を避けるためであれば、嫌悪だと弱いかもしれませんね。恐ろしいと感じないと生き残れそうにありません。もとの説より説得力を感じます。
●嫌悪と恐怖症の関係 恐怖と嫌悪は全く別個のものではない可能性も
一方、米フロリダ大学の精神医学の教授で、不安障害を専門とするキャロル・マシューズさんは、最も一般的な恐怖症はクモやヘビ、高所に対するもので、これらの嫌悪が一種の防御として働いている可能性があると説明。嫌悪と恐怖は全然違うものかと思いきや、この説明を見ると、関係してるように見えます。
さらに「進化の過程で獲得した危険なものへの嫌悪が恐怖症へと発展する」とも書かれており、じゃあ、嫌悪でも恐怖でもどっちでも似たようなものじゃないかと思っちゃいいます。マシューズさんは寄生虫や病気への恐怖という仮説は興味深いとしながらも、トライポフォビアの完全な解明にはほど遠いと指摘していました。
うーん、結局、わからずじまい…。ただ、途中でも2つの仮説が「似た感じ」と書いたように、人類が生き残る上で有利だった何らかのネガティブな感情が関係している可能性は高そうでした。
●トライポフォビアと違うの?「集合体恐怖症」という言葉も登場
2022/05/11追記:うちで紹介したふたつの記事では「トライポフォビア」という病名(?)でしか呼ばれていませんでした。ただ、その後和訳が定着したのか、「集合体恐怖症」という言葉を使っている記事を発見。他にも「ぶつぶつ恐怖症」「つぶつぶ恐怖症」といった言い方がされることもあるようです。
その記事というのは、
集合体恐怖症とは…小さい穴やブツブツが怖いトライポフォビア [メンタルヘルス] All About(更新日:2022年01月17日 中嶋 泰憲医師)というもの。<「集合体恐怖症」「トライポフォビア」といった言葉はいかにも病名らしく聞こえるかもしれませんが、まだ正式な病名ではない>とも説明されています。
<「恐怖症」は、実は精神疾患の中では最も頻度の高い問題の1つです。その頻度に関しては、仮に100人の人がいれば、そのうちの5~10人に関しては、日常、強い不安や恐怖を覚える何かがあり、それに対する恐怖症が成立していると推定されています。
今回は恐怖の対象が、小さな穴の集合体やブツブツなどの、いわゆる「集合体恐怖症(トライポフォビア)」を詳しく解説します>
小さな穴がブツブツ集まる、蜂の巣や蓮の実などが苦手な人は、かなり以前からいたはずですが、それを意味する集合体恐怖症が世間に出てきたのは、比較的最近の話で、それは10数年ほど前、ネット上で誰かがこの言葉を使用したのが、きっかけだとも言われています>
●本当に怖いのは「蓮コラ」ではなく「蓮コラみたいな病気」か?
中嶋 泰憲医師によると、一般的に恐怖症を発症する年齢にはピークが2つあるとのことでした。まず5歳から9歳までの小児期が最初のピークで、もう1つは20代前半です。5歳から9歳までの小児期では、恐怖症の対象は、動物や雷、地震など自然の中の何か、あるいは自然現象に関わるものが多いといいます。
一方、何か社会的な状況を恐怖の対象にするケースは、恐怖症のもう1つのピーク、20代で現れやすい問題。集合体恐怖症の原因のブツブツ模様は、社会的な状況ではなく、自然の中に存在するものなので、「小さな子供の頃から、ブツブツをかなり苦手にしていたかもしれません」と中嶋 泰憲医師は推測していました。
また、恐怖症の対象は、その当人が恐怖を覚えている本来のものの代わりになっている可能性も指摘。例えば、父親に恐怖することが許されない息子が、父親の代わりに馬を怖がる…といった例が出ていました。集合体恐怖症の場合、感染症などで起き得る皮膚の病変など、自分が危険に感じる何かを想起させているという説もあるそうです。
なお、精神科で診断できるようなレベルの恐怖症を持っている人の場合、深刻なストレスは、それ自体が、うつ病やアルコール依存症などのリスク要因となり、別の精神科的な問題が現われやすいとのこと。目にしただけで気分が急に悪くなったり、飲酒やニコチンなどを求めてしまう場合は病院へ…と勧められていました。
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