そりゃそうだろうという話ではあるのですが、十分な科学的根拠がある治療法である「標準治療」を受けずに、十分な科学的根拠がない「代替療法」を中心に治療をした方は、がんで亡くなる確率が非常に高いということが、研究で確かめられました。
研究ではきちんと条件が等しくなるように調整しています。その結果、がんの部位によっては、標準治療の6倍の死亡率というかなり高い数字になっていました。ただ、この数字すら低く出ているのではないか?という指摘もあり、実際にはもっと悲惨なことになっているのかもしれません。(2017/08/24)
●がん専門医「代替医療ががん患者を殺す」
2017/08/24:米エール大学医学大学院の研究者らが、がんに対する治療効果が確認されている「標準治療」ではなく、標準治療に含まれない「代替療法」をがん治療の主体とした患者は、標準治療を受けたがん患者より死亡率が高いという分析結果を発表しました。
今回の結果について、専門家らは「驚くような結果ではない」という反応。効果が確認されている「標準治療」ではなく、効果が定かではない「代替医療」を受ければ、死亡率が高くなるのは当然のためです。
米国の医療情報サイト「Science-Based Medicine」で、がん専門医のデビッド・ゴルスキー医師は今回の調査について、異例の強い表現をしていました。
「代替医療ががん患者に悪影響を与えるかはわからないが、少なくとも生存率の改善には寄与せず、がん患者を殺す治療法である」
(
がん「代替療法」、標準治療より死亡率高い 部位によって最大で5倍の差 J-CAST ニュース | 2017年08月24日より)
●標準治療の6倍の死亡率など代替医療が悪い結果
具体的な死亡率の違いについて。今回の研究では、まず「米国立がんデータベース(NCD)」に蓄積された患者データから、米国で一般的な「転移していない乳がん」「前立腺がん」「肺がん」「直腸結腸がん(大腸がん)」の4つのがんにり患した患者データを抽出。
「標準治療を受けていない」とされていた患者を「代替医療を受けていた患者」と想定。それから、「末期がん(ステージ4)ではない」など死亡率に影響を及ぼしそうな条件が均等なものを抽出しています。
さらに、治療を受けるタイミングで効果に差が出ないよう、「(生存の可能性が低く)緩和目的で治療を受けているわけではない」「標準治療を受けた後(治療効果がなかった後)に代替医療を受けているわけではない」といった条件も設定しています。これらは、代替療法が不利にならないように配慮したものです。
しかし、その結果は、代替医療を受けた患者の死亡率が、乳がんは5.68倍、肺がんは2.17倍、結腸直腸がんは4.57倍と著しく悪いものとなりました。まさに「代替医療ががん患者を殺す」になっています。
●だが実態はさらに悪い?
しかも、先に出ていたゴルスキー医師は、さらに悪い可能性も指摘。前述の通り、かなり条件が等しくなるように調整されていたように見えるものの、「最初に代替医療を受けていたが、途中で標準治療に切り替えた例なども想定され、完全に実態を示していないかもしれない」としていました。
つまり、実際には、代替医療を選択することによる死亡率の上昇は、もっと大きい可能性があるということです。
なお、代替医療を受けていた患者の傾向も分析されていました。その傾向の中には、「教育レベル・社会経済的地位が高い」「平均的な米国人よりも健康(がん以外の既往歴がほとんどない)」といった皮肉な結果になっているものもあります。
スティーブ・ジョブズ、すい臓がん、スピリチュアル、マクロバイオティックでやったように、代替療法に凝って手術を拒否した有名なアメリカ人としては、アップルのスティーブ・ジョブズさんがいます。彼は明らかに「教育レベル・社会経済的地位が高い」に当てはまるでしょう。
●前立腺がんは基本的にほとんど亡くならない
あと、今回調べた中では、唯一前立腺がんについては、有意な差は出なかったとしていまいた。理由については、進行が比較的遅いため調査期間中に有意な差は出なかったという推測が出ています。
参考のためにと、進行に関する記述を検索。
前立腺がんのステージ(進行度)別生存率一覧 | メンズヘルスクリニック東京(旧城西クリニック) AGA専門外来によると、4段階のうち最も進行が進んでいないステージⅠの場合、5年相対生存率は100%でした。基本的に誰も亡くならないという状態です。
では、それ以降で亡くなる人が出るのが一般的か?というとそうではなく、なんとステージⅡ、ステージⅢにおいても、5年相対生存率は100%。
初めて亡くなる人が増えてくるのは、最もがんの進行が進んだ状態であるステージⅣであり、5年相対生存率は54%まで減少します。ただ、前述のように、今回の研究では、「末期がん(ステージ4)ではない」が条件であり、このステージは分析の対象外でした。
前立腺がんを分析対象にしたのは誤解を招きかねず、良くなかった気がします。
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